自称コラム 1 膝が痛いのである

 コラムと書くとなにやら、大上段に構えているというか、コラムですよ、コラム、それはなんだかなんだかカルチャーな感じがする。私はカルチャーな要素をまったく持っていない。昼寝て夜寝てるだけのおじさんなのだ。昼寝て夜寝るのがカルチャーだとは思えませんな。ということで、自称とつけました。自称とつければ何をいってもいいと思うのです。自称医者、自称国務長官、自称田上あきら、どう言おうが自称だ。自称田上明とこの人は言っている、そういう人に対して
「お前は田上あきらではない」
など言うのは無粋である。
自称天才に意見をするとろくなことがないように、つまり、まあ、そういうことだ。

 で、自称コラム。

 あのですね、苦手なものを書きます。自分を高めると言う人が苦手です。自己啓発が好きな方もいますが、どうもこうもなかなか親しくなれませんな。よりよく生きるためにああだこうだと理屈をこねて値打ちをこく方がいて、それに惹かれる方がいて、そういう人の思いで地球はまわるが、よりよく生きるための答えはものすごく近くにあると思います。親が口うるさくいってきたあれです。ではよりよく生きる答えをいいます。
「はよ寝る」
ほんとにね、この歳になると、睡眠時間が短いと鬱鬱鬱鬱して、もう嫌だ、いやだ、次の選挙には幸福実現党と書いてやるなんてなげやりおじさんになる。なによりもかによりも大事なことはよく寝ることだ。

 以上だと思います。

 しかしですね、それだけのことをいっては誰も惹きつけませんな。こういうことを言うと、こういわれます。
「そらそうやけど」
そらそうならそれを良しとしろよ、と思いますが、魅力がないのでしょう、よく寝るには。

おじさんは面倒くさい。仕事をしないおじさんは家族に疎まれますが、自分は仕事がすごくできると思っているおじさんは面倒くさいですな。仕事ができるってのはよく分からない言葉ですな。言葉としては仕事をすることができるじゃないのか。なんだ、できるって。嵐が通りすぎたので田植えができる、というならわかるが、仕事ができるってのはよくわからない。それはまいい。いい。仕事ができると思っているおじさんがいかに面倒くさいかというと
「-----さんて仕事ができますね」
「-----さんてすごいですね」
と言わそうと言わそうとしてきますな。あれはなんでしょう。自称仕事ができるじゃさびしいのかもしれない。誰かに言われたいのだろう。そういう人は40過ぎでも平然とこういうことを言う。
「若い頃は全然寝ずに仕事してたからねえ、最近はさすがに4時間はねてるけど」
つまりだ、人は寝ないと
「すごいですねえ、仕事できますねえ」
と言ってもらいたくてしょうがないおじさんになるのである。
そんなおじさんにならないためにも寝なければならない。一日15時間は寝なければならない。そして15時間寝て起きればこう思うのだ。
「腰が痛い」
と。

 腰のヘルニアで病院に行ったとき医者にこういわれたことがある。
「たくさん寝れば治りますよ」
と言われたのが10年前。
いっこうによくならんな。
そして最近膝も痛い。

関本ぶりき

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