国家財政を考えてみよう その2 予算は本当に赤字なのか?

前回の稿で、「巨額の財政赤字が積みあがっている」と言われる日本の国家財政の一般会計は、決算で見れば実は巨額の黒字であることを確認した。

では予算はどうなっているのだろう?

予算が赤字か黒字かと言われる基準は、基礎的財政収支(プライマリーバランス)と呼ばれるもので、財務省による定義は以下の通りだ。

「基礎的財政収支(プライマリー・バランス)とは、税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用)を除く歳出との収支のことを表し、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれだけまかなえているかを示す指標となっています。」
https://www.mof.go.jp/faq/budget/01ad.htm

では実際の予算はどうなっているのか。

前回決算を見た平成30年度の予算はどうだったか?

平成30年度一般会計予算;
税収   59兆0790億円
一般歳出 58兆8958億円
(下記リンク2ページ)
平成30年度予算のポイント:財務省
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2018/seifuan30/01.pdf

なんと、歳入と歳出のバランスは「黒字」である。

では今国会で議論される最新の令和2年度予算案はどうか?

令和2年度一般会計予算案;
税収   63兆5130億円、
一般歳出 61兆7184億円
(下記リンク2ページ)
令和2年度予算案のポイント: 財務省
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/seifuan2019/01.pdf

なんとやっぱり黒字である。

ではなぜ赤字だと騒がれるのか?それは一般会計の歳出には本来の国家行政の歳出に加えて、地方交付税交付金等が毎年約16兆円も計上されているからだ。

つまり、本来の国家行政を賄う財政は黒字であるにも関わらず、地方行政を賄うための地方税収が不足している分を巨額に穴埋めするために、国の財政全体を見ると赤字ということになるのだ。

これっておかしくないですか?

地方行政の歳出を賄うためなら、地方税を増税する、または地方自治体が公債を発行することが本筋であるはずだ。それなのに何故、国税の税収の26%、1/4以上もの金額を地方に渡さなければならないのか?

地方交付税交付金なるものが、世界の他国でどうなっているのかは次回見ていくことにして、今回はまず、日本の一般会計は、歳入と本来の国家行政を賄う一般歳出のバランスでは黒字なのだということを確認しておきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?