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未完こそ最高の完結かもしれず

今日は未完小説のお話を。
芥川龍之介の『邪宗門』を読み進めながら、
これは……! なんと……! おもしろい展開に……!!!
でも残りページ数少なすぎないかい……?
と思っていたら、なんと、未完で終了。
若殿「応」で庭に下りたけど、これからなにするの、なに言うの、
一番大事なところ!!!
と叫びたくなりました。

そういえば、ドストエフスキーも一番好きな作品はやっぱり『カラマーゾフの兄弟』だし、
夏目漱石も個人的には『明暗』が一番心躍りましたが、こちらも未完。
旅立つところ、出会ったところ、ここからいよいよ……!
というところで未完のまま終了した小説たち。

でもふと思うわけですが、
なんやかんやで未完だから、絶頂ポイントで強制終了させられたから、
印象に残っているのかも?
どうなるの、こうなるかも、いやいやどうかな、
そんな想像を膨らませてくれるところが、
おもしろポイントになっているのかもしれない。
想像力を掻き立てるのが文学であり、小説の醍醐味だとするのなら、
未完こそが最高の小説の完結なのかもしれず。
なんてことだ!
そうとは知らず、まんまと手中のど真ん中に立ち尽くしているではないか。

それでもやっぱり、
できることなら作者の手による展開をもう少し、読んでいたかったなあと、
そんなことを思う今日この頃。
小説の、文学の、芸術の、奥深さをまたひとつ痛感したのでした。


CALAMVS GLADIO FORTIOR
The pen is mightier than the sword.

Kamoi

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