かもがわ出版メルマガ2024年Vo.152
ジェノサイドと非難されるイスラエルのガザ侵攻、2年を超えたロシアによるウクライナへの侵攻、長く続くアフガン紛争…。世界の不均衡と衝突が最も先鋭化する3国におけるルポを多くの写真とともにリアルに伝える『イスラエル、ウクライナ、アフガン 戦地ルポ』が8月上旬に刊行されます。
イスラエルのルポは24年3月。イスラエル側パレスチナ側の双方で取材し、パレスチナへの攻撃を批判し和解を望むエルサレム市民へのインタビューや日本在住のダニーさんとの対談も掲載しています。
ウクライナルポは23年5月・23年10月。戦禍の跡も生々しいキーウ、ブチャ、ハルビン、ハルキウ、へルソン、リビウなどを取材。ロシアとの戦争を止めるための具体的な平和へのロードマップも提示します。
アフガニスタンルポは2010年1月・2020年10月・2022年8月。2010年の取材で中村哲さんと邂逅し、用水路工事の現場を取材、中村さんが凶弾に倒れた後にも現地を訪れ、タリバン政権樹立後の街の様子を取材します。
吹田市役所勤務を経て、2004年からフリージャーナリストとなった異色の経歴の持ち主である著者の中村さんは、20年間の取材を通してこう実感します。「すべての戦争は話し合わないと止まらない」
では武器を捨てて和解するためにはどうしたらいいのか?
アフガニスタンで取材した中村哲さんの言葉がよみがえります。
『銃で押さえ込めば、銃で反撃されます。〜中略〜 憲法9条があるから海外ではこれまで絶対に銃を撃たなかった日本。それが本当の日本の強みなんですよ。』
NATOに加盟せず、欧州や中東の戦争に参加せず、憲法9条のもと平和主義を貫き、国際的な影響力をもつ日本が果たせる役割があるはず。
いまこそ私たち一人ひとりが政治や経済、国際情勢に関心を持ち、語り合い、連帯して、市民の力で護憲政府をつくり、憲法9条を基軸とした平和外交の先頭に立ち、紛争を解決していくべきだと西谷さんは訴えます。
【新刊案内】
●「かみつき」問題は乳児保育の大きな悩みです
『新版・「かみつき」をなくすために』
西川 由紀子 本体価格1,600円
既刊本から20年経つが「かみつき」問題はいまだに保育の悩み。新たなアンケート結果を元に乳児保育の課題と大切にしたい事を考える。
●特集 気候危機は、子どもの権利の危機
『子ども白書 2024』
日本子どもを守る会 本体価格2,800円
特集「気候危機は、子どもの権利の危機」。昨年好評だった「いま、子どもの声を〈きく〉」は小特集で。トーヨコ問題などのテーマも。
●本の刊行を理由に共産党から除名され東京地裁に提訴した
『共産党除名撤回裁判の記録Ⅰ』
松竹 伸幸 本体価格1,800円
本の刊行を理由に共産党から除名され東京地裁に提訴した著者が、最高裁で勝利するまで毎週、記録として配信しているメルマガの第1集。
●子ども支援のあり方を提案
『子どもの学習支援ハンドブック』
地域における子どもの学びの支援共同研究会・南出吉祥・大村惠・橋本吉広
本体価格2,000円
子どもの貧困対策として始まった学習支援の取り組み。受験対策や塾費用補助ではなく、学びの主体としての子ども支援のあり方を提案。
●価値があるから集めるわけじゃない!
『持ってたところで何になる?』
辻井 タカヒロ 本体価格1,700円
価値があるから集めるわけじゃない。捨てるんだったら持っときたい。謎のモノたちが増殖する日々を描いた私小説的コミックエッセイ。
●室内で体も指先も使っておもいっきりあそぼう
『わくわくどきどき新聞紙あそび』
熊丸 みつ子 本体価格1,800円
新聞紙をまるめる・ちぎる・ちらばす!思いっきり遊べば笑顔で心すっきり!室内あそびにお困りの保育者、保護者に最適の1冊。
●未来を生きる若者らしい人生を選択しましょう!
『高校生からわかる日本経済』
金子 勝 本体価格1,700円
日本経済衰退の原因は教科書では分からない。不連続的に変わる歴史の中で、どんな社会を創るのか、若者に分かりやすく問いかける。
●Kinder psychisch kranker Eltern stärken
『親の精神疾患とともに生きる子どものレジリエンスを高めるために』
アルベルト・レンツ・宮崎 直美・田野中 恭子 本体価格2,400円
不安のなかにいる子どもに手を差し伸べるための、ドイツ語圏での最先端の知見をまとめた参考書。日本の支援機関情報・書籍情報も掲載。
●アセスメントから指導までのポイントを解説
『通級指導教室の実践アセスメントから指導まで』
山田 充 本体価格2,200円
通級指導教室に通う困難を抱えた子どもに的確な支援をするため27の事例をもとにアセスメントから指導までのポイントを著者が解説。
【重版案内】
●窓抜き しかけ絵本で「メディアリテラシー」を身につけよう!
『窓をひろげて考えよう』
下村 健一 本体価格2,800円
メディアを正しく受け止める方法とは?ページがくり抜かれた8つの例題で、メディアのつたえる情報と実際の情報を比べてみよう!
【総合ランキング】
●保育・教育書 第1位
●特別支援教育のワーク教材
『SSTワークシート自己認知・コミュニケーションスキル編』
LD発達相談センターかながわ 本体価格1,500円
社会性の課題を抱える幼児から中学生くらいまでを対象にしたSSTワーク。子どもの相談からできたオリジナルな内容。コピーしてすぐ使える。
●人文・社会 第1位
●それ、やりたい「支援」になっていませんか?
『子どもと女性のくらしと貧困』
中塚久美子 本体価格2,000円
子どもや女性の貧困に向き合い、当事者に伴走を続けている大阪の2人の女性に焦点をあて、支援や寄り添いの在り方を考える。
【読者より】
はじめまして 貴出版の書籍を拝読いたしました。
中塚久美子様の貴出版『貧困の中でおとなになる』も学校の福祉のお手伝いの1人としてわかりやすく実践の場の机上にありました。
現在、女性とこども・若者に 他愛もない場づくりの中の「受援力」を広めるふんわりした大切さが広がることを少しでもできるといいなとつながりを持ちたいなと読み終えて改めて実感できました。
子どもと女性のくらしの中で「連携」「協働」「チーム○○」の実践者のまなざしの方向性が「いま」に寄り添い言葉や行動が対象になる方々の思いに安心や自分の思いを受け止め育んでいるのかなと現場で受けていました。
「問われていること」について文章化、話し伝えている方々がいらっしゃる心強さを読み終えて持つことができました。
ありがとうございます。
今回の表表紙のイラストもほっこりしてますね。わかりやすい現状とこれからについての課題を端的に文章化なさった貴書籍をこれからも大事に扱わせて拝読いたします。
今後のこれからのご活躍の広がりも祈念しております。
【編集より】
『子ども白書2024』刊行にあたって
1964年創刊の『子ども白書』が今年で60周年を迎えます。
〇特集テーマは、「気候危機は、子どもの権利の危機」
今年も、日本各地で酷暑が始まりました。「地球沸騰化」といわれるほどの猛暑、豪雨や極度の乾燥など異常気象が常態化しつつあります。国連子どもの権利委員会は昨年8月、これらの気候変動によって子どもがあらゆる面で被害を受けやすいことに警鐘を鳴らしました(「一般的意見26号」)。気候危機は、まさに今、目の前で起きている子どもの権利の危機です。
国連の子どもの権利委員会の動きを後押ししたのが、気候変動への真剣な対策を促す子どもたちの声の高まりでした。今年の子ども白書では、「未来のための金曜日」(Fridays For Futures、スウェーデンのグレタさんが国会前で座り込みを始めたことをきっかけに始まった、若者による気候危機対策を求めるムーブメント)に参加経験のある若者お二人に登場してもらいました。
「気候危機って本当に深刻なの?」と思われている方は、気候変動の基礎知識・背景がすっきりわかる江守正多さん(東京大学未来ビジョン研究センター)のインタビューをぜひ。江守さんは、ユーチューブを始め各種メディアで科学的知識をわかりやすく解説されています。気候変動により、保育や療育、学童保育、小学校の現場がどういう影響を受けているのかを語り合う座談会も必読です。さらに、小児医療、先住民族の権利、生物多様性、有機給食、自然保護活動などさまざまな角度から気候危機の問題に迫ります。
〇小特集「いま、子どもの声を〈きく〉」、10領域の定点観測、カラー綴じ込みすべての子ども・若者が幸せに育ち、生活していくことができるような社会を実現するための総合的な子ども政策をめざして、昨年こども基本法およびこども家庭庁がスタートしました。それから1年。こども家庭庁で政策形成にかかわってきた方たち、現場で子どもの参加や居場所づくりをすすめてきた方たちは、それぞれどのような思いを抱いているのでしょうか。この1年の子ども施策を重層的に読み解きます。
毎年の10領域(健康・医療/家庭/福祉/保育・学童保育/司法/学校/地域社会・まち/文化/メディア/ジェンダー・セクシュアリティ)からの定点観測にも、特集・小特集のテーマと連動する内容を盛り込みました。
カラー綴じ込みの子ども生活年表(2023年度)の項目は、本書の関係論文との紐づけがされているので参照に便利。『子ども白書』60年の歩みは、これまでの60冊分の表紙が一覧になっていて、壮観です。