ジャムセッション、特に私の志向するジャムセッションは、大変ヴィゴツキー的であるといえる。
あるとき、これまで私がジャズの演奏・ジャムセッションにおいて志向してきたこと(ふんわりと考えたり実践してきたこと)が、ヴィゴツキーの社会構成主義で説明できる/可視化できることに気づいた。
ヴィゴツキーはソビエトの心理学者で、ピアジェと並び発達心理学における20世紀前半の二代巨頭といえる人物である。その理論はいまでも古びることなく、派生する種々の理論や考えの基礎になっている。
教育学者である佐藤学の「学びの共同体」はヴィゴツキーに端を発する社会構成主義的学習観に基づくものであり、現在の教育指導要領における「協働的な学び」はまさにここから生まれたものだといえる。
さて、ではジャムセッションがどうヴィゴツキーに結びつくのか、Googleの生成AIであるGeminiに聞いてみた。
プロンプト:
ジャズのジャムセッションにおける協働についてヴィゴツキーの社会構成主義に基づいて説明して
出力結果:
生成AIにおいて最も注意すべきはハルシネーション(誤った情報の生成)だが、この回答には「発達ゾーン」という用語以外には概ね誤りと呼べる箇所はない。
対話なしの一発目でこの回答、やるやんGemini。
「発達ゾーン」というのも単なる呼び名の誤りで、正しくは「最近接発達領域」(Zone of Proximal Development: ZPD)である。出力結果内でそのまま置き換えれば何ら問題ない。
ヴィゴツキーの社会構成主義は、人間の認知や学習は社会的な相互作用の中で生まれるという考えに基づいている。
音楽は人の内側から生まれるものだという認識がされがちなように思うが、少なくともジャムセッションにおいては、他者との相互作用により生まれる・引き出される部分が大きいと考える。
佐藤学の「学びの共同体」でも語られることであるが、必ずしも初心者が熟達者から学ぶという一方通行ではなく、むしろ熟達者が初心者との関わりによりあらたな発見を得るといったことが期待される。
この記事をもって、上述のようなヴィゴツキー的な意識・観点をもってセッションしませんか?というお誘いとしたい。