エピローグ
「ダンさん珈琲入れるけどブラックにする?」
「全部入れで」
「オッケー」
「ダンさん〜これダンさんの?」
手狭になったアパートから引っ越しの荷造りの最中に嵐田理恵が珈琲と一緒に一冊の日記帳を手渡した。
「どこにあった?」
「本棚の奥」
「なんで俺のじゃ無いと思った?」
「だってダンさんの趣味じゃ無いのモノ」
理恵の怖いところは1つの事から10を理解する...
最近は特にそうだ。
辛くて辛くて仕方なかった
いつかこの苦しみが癒されるとは思っていなかった
だけど時間が経つうちに
少しずつその人の事を思い出さない日が過ぎていく
1時間が1日
1日が1週間
気がつくと普通に話して普通に笑ってる
薄情だと思うよ
だからこそ何かの拍子で
思い出した時の痛みと失望感は言いようが無い
「大事な人が亡くなった痛みが癒やされる事は無いよ皆んな心に傷を背負って生きて行くんだから彼女の形見なモノなんだからしっかり保管しなさいよね!」
(ほんとよ!こんな良い人もう現れないんだからね)
窓からの風が
澱んだ部屋を
空気を外に運んでくれた様な気がした...
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