強い雇用統計でもFRBは政策変更しないだろう
10月4日に発表された9月の米雇用統計では、雇用者数増加や賃金上昇率が市場の予想よりも強く、長期金利は上昇し、ドル高になりました。
この動きは現在の米連邦準備理事会(FRB)の政策を決める委員の見方におおむね沿った内容で、FRBは今年11月、12月にそれぞれ0.25パーセント程度ずつ緩やかに政策金利を引き下げるという予想と整合的です。
市場が大きく動いたのは、もともと市場がFRBの示す以上に早いスピードでの政策金利引き下げを予想していて、それが変わったからです。景気後退を恐れる金融市場は、11月、12月それぞれ0.5%の引き下げを想定していたようですが、この統計発表を契機に、市場はFRBの想定に近い予想に切り替えたと言えます。それゆえ、今回の雇用統計は、FRBの金融政策に影響を与えないと予想しています。
景気後退と景気減速は違います。景気後退はマイナス成長のことで失業者が増えるなど社会的な問題が起こります。景気減速は成長率が低下することで、コロナ禍後の回復が一巡すれば、成長率の低下は正常化の結果で当然と言えます。
8月の雇用統計では景気後退懸念に振り回されてドル安、今回の雇用統計でその逆のドル高となりましたが、インフレ懸念再燃で今後政策金利引き下げが止まると予想するほどでもありません。次の雇用統計は、ハリケーンやストライキの影響で悪化するとの見方もあります。この統計発表により為替、金利の見通しを変更する必要はないと考えています。
〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
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