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地政学リスクと株価の先行き

イスラエルとハマスの紛争がイランのイスラエル攻撃に繋がり、中東の地政学リスクは明らかに高くなっています。原油価格は、中国の需要停滞などからそれほど上昇してきませんでしたが、紛争拡大懸念から一時的な原油高も起こる可能性があります。また、輸出企業の販売数量が減る恐れもあるでしょう。

ただし、メインシナリオは変わらないと見ています。

まず、日本の輸出企業の輸出数量は揺れるとしても、イスラエルとイランの現時点の紛争のみであれば大きなリスクとは言えません。日本への最大のリスクはイランによるホルムズ海峡封鎖です。これは原油供給が危うくなる大ショックのシナリオですが、今のところ、イランがそのような拡大に進む理由は見当たりません。

日本企業の利益については、アメリカのインフレ率の低下と米連邦準備理事会(FRB)の利下げの開始時期、それに関わるドル高継続の程度にも依存しており、地政学だけで決まるわけではありません。また、一時的に原油高となっても、中国の経済減速で需給面からは価格上昇が続かないでしょう。

また、ロシアとウクライナの紛争開始のころに一時的な原油高がありましたが、当時のコロナ禍の供給不足と財政出動による物価高、FRBの金利引き上げスタンスと、今回のイスラエルとイランの紛争、アメリカのインフレの収まりとFRBの緩和検討、とを並べると、日本にとって状況がずいぶん違うことも確認できます。

これからイランがイスラエル以外への攻撃を大幅に拡大しないならば、市場に一時的なもの以上の影響はないと見ています。

〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
■KAMIYAMA Seconds! ~90秒でマーケットニュースをズバリ解説 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-seconds
■「投資ってなんだ!?」 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-investment
■神山解説 https://www.nikkoam.com/products/etf/we-love-etf/#1:category:113 

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