見出し画像

【エッセイ】積読が70冊ある読書好きの成人男性がそれでも図書館を利用する理由

 本を読む楽しみを取り戻してから、早いもので5ヶ月が経過しました。
 3日坊主ならぬ「3ヶ月坊主」になるのでは、という不安は通り越して、もう安定期に入ったと言っても良い時期でしょう。元々のベースがある行動は定着しやすいですね。ちなみにこれも行動理論の1つです。

 現在は、月に12冊から16冊程度を読んでいて、無理して読んでいる感もないので、これが僕にとってのいいペースなんだと思っています。

 さて。
 安定的に本を読むようになってくると、そもそもの「読書を楽しむ」に由来する困りごとも出てくるもので。
 その1つが「読みたい本が多すぎて本の購入費がかさむ」問題です。

 基本的には古本で購入することも多いので、全部が新刊本というわけではないです。それでも「読書を楽しむ」が般化されたことで、「あれも読みたい」「この作家さんの他の作品はどんな感じなんだろう」「え、そんな本あるんですか?!」と本に対する興味・関心がパラボナアンテナ級に展開され、次々と欲しい本が出てくるとなると、それなりに費用もかかってきます。

 そんな時、読書会のメンバーが図書館を使っているという情報を知り、自分も使ってみようと思い立ちました。

 ただし。そんな僕の心配事が1つ。

 「ただでさえ、積読が多い」

 前述したとおり、本に対する興味・関心が高くなった結果、本屋や古本屋、Kindleサイトを頻繁に覗くようになり、当然(?)のように、「行ったら買う」「見たら買う」を繰り返した結果、かなり積読が増えてしまっていました。しかも、電子書籍は積んでも積んでも場所を取らないから、いくらでも積める。これまでの人生で経験したことがない積読量を随時更新しています。(現在この文章を書いている時で70冊程度です。※1週間くらいかけて書いたら、5冊増えました)
 ただでさえ積読があるのに「図書館で本を借りてどうするの?」「借りるのは良いけど、本当に読むの?」と自問自答をしながら、図書館を利用し始めました。

 今日は、そんな僕が図書館を利用するようになって良かった点についてまとめたいと思います。「まだ図書館を利用したことがない」「図書館ってメリットってあるの?」「安く本が読めるだけでしょ?」そんな方に読んでもらえると嬉しいです。

【図書館を利用して良かったこと】
 ①どんな本でも無料で読める
 当たり前ですが、図書館は全部無料です。つまり、どれだけ借りようが無料。こんな素晴らしいことあるでしょうか。これまでは、本に関する興味・関心の赴くままに、ちょっとでも気になったら「とりあえず買う」をしてきました。その結果、積読量も購入費も増えていたのです。
 なので、まず僕は、気になったら「とりあえず買う」をやめて「とりあえず借りる」にしました。
 それだけで、図書館を利用し始めた最初の目的である「読みたい本が多すぎて費用がかさむ」問題の大半がクリアできました。

 ②本の「味見」が容易にできる。
 これは、①に近いですね。ここ最近は、古本以外は電子書籍を中心に買っていた僕にはなかなか斬新な体験でした。電子書籍って試し読みがあんまりできないんですよね。
 もちろん目次や最初の数ページが読めるというのはあるんですけど、目次や最初の数ページを読んだだけで、本の中身ってわからないものです。なので、余計に「とりあえず買う」に拍車がかかっていたんですね。
 「これってどんな本なんだろう。気になる。えぇい買ってしまえ!」という行動がなくなり、「とりあえず図書館で探して、最初だけみてみよう」という行動が増えました。そして、少し読んでいることで、続きが気になって、その後購入しても積読化することが少ないように感じています。
 加えて、「味見」が容易になったことで、「シリーズものを読むハードルが下がった」ということもあります。既刊のシリーズものを読もうとした時、ハードルの1つになるのが、「これを全部揃えるのか」問題だと思います。既刊本が多ければ多いほど、それはハードルになりますよね。
 図書館を使うと、揃えなくていいんです。借りて読めばいいんですから。費用だけではなく、お家の省スペース化にも寄与してくれます。あと、シリーズからはぐれても(※飽きるの婉曲表現)、義務感で揃える必要もありません。また合流できたら(※やっぱり興味が出てきたの婉曲表現)、図書館で続きを借りて読みましょう。

③選択する本のジャンルが拡がった
 図書館を利用するようになって、さらに色々な本に興味が湧いてきました。
 興味を持った本を手に取るようになった、という方が正確かもしれません。
 僕はミステリ小説を中心に読んでいるんですが、購入中心の時には、「興味はあるんだけどなーでも今まで読んだことないジャンルなんだよなー面白くなかったらもったいないよなー」と思い、なかなか他ジャンルに冒険ができていませんでした。
 図書館では無料なので、どんなジャンルでも臆することなくチャレンジができます。安心してチャレンジできるって素敵なことですよね。
 ここ最近は、海外古典SFや純文学も読む割合が増えてきました。あとは理系の実用書や買うには至ってなかったラノベ、短歌集や俳句集、哲学書なんかも読んだりしています。
 これは僕にとって大きな変化で、読書ライフの質が大幅に向上しました。
 特に短歌集や俳句集はストレスマネジメントにも良い効果があると感じています。これについては、何かの機会に詳細にシェアしたいと思います。

④これまでよりも読書に寛容になった
 自分の中では、これが一番大きな変化だと思います。
 皆さんはこんなセルフトーク(心の中の呟き)に心当たりはありませんか?

 「あぁ…また本を積んでしまった」
 「買ったはいいけど、本当に読むの、これ」
 「あれもこれも読みたいけど時間が足りない…」

 どうでしょうか。特に本を積むタイプの方にはグサグサとくる方もいらっしゃるのではないかと思います。
 自分は本を積むことに対して、そこまでネガティブな想いはないんですが、それでも、時折、こんなセルフトークが頭を走り、後ろめたい気持ちになることがありました。
 でも、図書館を利用するようになってから、このようなセルフトークはスッキリと消えました。
 なぜか。それはこんなことに気づいたからです。

 「公的図書館は市民の税金で運営されている。つまり、図書館の本は市民のもの。みんなの積読が置いてある場所だ!」

 知らぬ間に、どんなに本を積まないと豪語している人でも、実は大量の本を積んでいたんですね。まさに積読のクラウドです。
 そう思うと、自分の手元にある精々70冊程度(!)の積読が可愛いく思えてきました。
 人生には色々な局面があります。喜怒哀楽といった割り切れる感情だけでなく、混沌として言語化できないような感情・思考もあるでしょう。
 そんな時の何かがきっかけで刺さった本たち。きっと選ばれた意味のある本たちだと思います。そんな本に対して、罪悪感を抱いたり、それがネガティブな感情の引き金になるのはもったいないですよね。

 こんな風に図書館を積読場所と思うようになると、本という存在がより身近で自分の好きなものに感じられて、思考の底にあった澱のような読書に対する義務感から解放されたように感じています。

 「読み終わらなかったけど、満足」
 「借りたからと言って読まなくてもいい」
 「また今度借りたらいいや」

 そして、こんなセルフトークが頭を走るようになって、自分の読書ライフに対して、自分が寛容になったと思います。
 積読しててもいいじゃない。読みたい時に読みたいものを読もうよ。

 だから、僕はこの2点を、あらゆる本好きな皆さんに、声を大にして言いたいと思います。

「図書館は市民の積読の場」
「積読をしている人こそ、図書館に行こう」


 以上が図書館を利用するようになって、僕が良かったと思った点です。
 利用し始めた目的は、本の購入費の削減でしたが、実際に利用し始めてみると、それ以上に大きな効果がありました。特に、読書の幅が拡がったことや、読書に対するスタンスが寛容になったのは大きいですね。

 誰でも、自分の好きなことをやる時に苦痛があるのは嫌なものです。ただ、そうであったとしても、自分で自分を苦しめるような思考をしてしまうもの。
 自分の好きな時間は、自分で自分を苦しめることなく、とことん我がままにやっていきたいなぁと思います。
 これからも自分なりの快適読書ライフを目指していきたいと思います。

 何か楽になる考え方・ツールなどが見つかったら、また皆さんとシェアしたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?