【エッセイ】読書が好きなのに本を読まなくなった成人男性が1か月で11冊を読書できた方法③(全4回)
※これは本好きなのに本を読まなくなった成人男性が、自分が大好きな「本を読む時間」を取り戻した方法を記録した連作エッセイです。
【前回までの「読書が好きなのに本を読まなくなった成人男性が1か月で11冊を読書できた方法」は】
(その1:自分のこと、概略)
・本が好き。ミステリとラノベが好き。サイコスリラーとか大好きだよ。
・本屋行き、本を買えども、読みはせず(季語なし)
・積読。積読また積読。読書が好きなのになぜ。これが大人の階段なの?
(その2:自分のこと、分析)
・環境が変わった。時間の使い方が変わった。生き方が変わった。
・時代もだいぶ変わったよね。スマホってすごい。
・だけど自分の「好き」は変わらない
第3回の今回は「自分のこと、戦略」と題して、
・どうやって「読書する時間」を取り戻すか。
・何を持って「読書する時間」を取り戻したというか。
という方法とゴールについて考えます。
あくまでも戦略ですので、具体的な方法には触れません。
この全4回の中で、この自己改革を成功させるための大事なパートだと思っています。
がむしゃらに頑張る、もいいですが、その1でも触れたように「好きなことができる」というのは出発点です。出発点にたどり着くまでにエネルギーを消耗したり、挫折したりしたら、目も当てられません。なので、なるべく効率的かつ努力なくできる方法を考えます。好きなことをするのに無理してもしょうがないですからね。
③ 自分のこと、戦略
さぁ、自己改革を始めよう。ただそれはハッピーラッキーなものでないといけない。なぜか。続かないし、やろうとすら思わないからだ。
まずは自己改革のゴールを決めることから始める。「読書する時間」を取り戻すといっても人によってその定義は様々だろう。「1日1時間は読むようにしたい」や「1か月で好きな作家の著作を読破したい」などなど、ゴールは人によって違う。このゴールを定めておかないと、何をやっても「まだ足りない」思考に陥ってしまい、迷走する。迷走の先には、失敗と不全感しかない。何をやるにもまずはゴール設定。これが重要である。
僕の場合のゴールは「毎日、本を読む」にした。あえて、時間設定や読書量設定はしなかった。なぜなら、「あぁー読むはずだったのに読めなかった」なんて思いたくないからである。毎日、どんな時間であっても、どんな量でも本を読む。それでいい。それに元々本が好きな僕のことである。ちょっとでも読めば、のめりこむに違いないという確信もあった。
ゴールが決まれば、次は方法だ。どうやって「読書する方法」を取り戻すか。
ここでもハッピーラッキーはポイントだ。例えば「夜に読むから疲れているんだ!朝4時に起きて本を読めばいい!」なんてやってしまうと、毎朝4時に起きる必要が出てくる。しかも「毎日、本を読む」というゴールに対して、わざわざ時間制限をつけてしまっている。本末転倒だ。
楽しい日々を取り戻すために取り組むことが自分にマイナスになってはいけない。自己改革はハッピーラッキーに行うべきだ。これが僕の主義である。
方法の決め方は色々あるが、僕は一番シンプルな方法で行うことにした。それは「自分の強みを利用する」である。そして、僕の強みはそう、心理学である。大学4年間、大学院2年間合計6年間分の学費のもとを取る時だ。こまめに学んだことを使っていくことで、人生における学費のペイも早くなる。そんな気がする。
一口に心理学といっても色々な分野がある。僕が専門としていたものの1つが「行動科学の臨床応用」という分野である。行動療法や認知行動療法などがそれにあたる。
一般的に心理学やカウンセリングというと、フロイトの精神分析やユングの夢分析、ロジャースの来談者中心療法なんかが有名だろう。それらは、創始者が打ち立てた「人間観」をベースとして、人間の発達や生きづらさなんかを理解する。
一方、行動療法、認知行動療法は特定の「人間観」を持たない。ベースとなるのは学習や認知に関する実験的な研究に基づいた理論である。その事実を組み合わせていきながら、人間を理解し、生きづらさにアプローチする。
行動分析や認知行動療法は「実験でわかった理論を組み合わせる」ことにその真髄がある。大鉈をふるうような「人間観」がない代わりに、どこまでも個別具体的な事象に寄り添っていく。1つ1つの実験でわかった事実はそうたいしたことではないことも多い。しかし、それらは使い方の発想次第で大化けする。ある有名な学習理論を例に説明しよう。
学習理論の1つにオペラント条件付けというものがある。例えば、とある熱帯夜を想像してほしい。寝苦しくて起きたあなたは、次の日も仕事があるので、早く寝付きたい。そこで色々な方法を試してみる。布団をめくったりするかもしれないし、うちわでパタパタするかもしれない。冷たい水を飲むかもしれないし、氷を頭にのせるかもしれない。色々試す中で、エアコンのボタンを押す。すると、たちまち冷気が出てきて部屋の温度は急激に下がる。そしてあなたはスヤスヤと眠りにつく。さて、次の日の夜になった。今夜も熱帯夜だ。次の日に仕事があるのは変わらない。あなたはどうするだろう。おそらく大半の人は、いきなりエアコンのボタンを押すと思う。
これは「その行動が生じた直後の、刺激の出現もしくは消失という環境の変化によって行動頻度が変化する」という学習理論である。なんてことない理論ではあるが、これを実際に応用するとどうなるか。
勉強が嫌いな子どもがいたとする。授業中は喋るわ、遊ぶわ手がつけられない。そんな時、授業でたまたまその子の大好きな恐竜の話が出てきた時に、その子は大人しく先生の話を聞いていた。そこですかさず先生が「先生の話が聞けてえらいね!」と褒める。すると、その子どもの行動はどう変わるだろうか。「先生の話を聞く」という「行動が褒められる」という結果によって、その行動の頻度が上がるのである。
まぁそんなにすぐに行動が変わるとは言えないが、このように活用できる。
そんなわけで、心理学という強みを持つ僕は、ハッピーラッキーな自己改革のために今までの学びをフル活用していくことにした。
この方法の良さはその人にピッタリとフィットした方法を作れることだ。第1回目で話した通り「できなくなる理由はみんな違う」。だからこそ、この個別具体的な事象に強い行動療法・認知行動療法はまるでオーダーメイドキッチンを作るかのように、個人のニーズにピッタリとフィットするのだ。
僕はこのシンプルかつ応用力の高い技法を好み、スキルを磨いてきた。そのスキルを、費やした学費を今取り戻す時である
自己改革のゴールと方法が決まったら、いよいよ僕が行った具体的に紹介していきます。キーワードは「ハッピーラッキー」です。おそらく、全然苦労せずに手に入れたことに皆さん驚くかもしれません。でも意外と簡単なことで好きなことって手に入るんですよね。
いよいよ次回最終回。その4「自分のこと、方策」。お楽しみに。
【その3のまとめ】
・好きなことは取り戻したい。でも努力も苦労もしたくない。
・目標は自分を信じて設定しよう。
・高かった学費を少しでも取り戻せ!