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神棚のススメ②神棚の基本的な祀り方とポイント

私たちの暮らしを、神様に一番身近な場所で見守っていただくために設ける「神棚」という文化。

「どのようにお祀りすればいいのか」
「具体的に何を準備すればいいのか」
「気を付けなければならないことは何か」

自宅に設置を考えている方でも、このような悩みを抱えたまま、次の一歩を踏み出せずにいらっしゃることがあるかもしれません。

今回は、神棚のススメ①に続くシリーズ②として、神棚の基本的なお祀りの仕方や押さえておきたいポイントを解説したいと思います!


神棚にお祀りする御札の種類

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神棚とは、神様をお祀りするための「小さなお家」のようなもの。
その中には、神様の御霊(みたま)が宿る「神札(=御札)」を納めていただきます。

「御札」には大きく分けて、次のような3種類があります。

➤神宮大麻(伊勢神宮の天照大御神様の御札)
➤氏神神社札(居住地域を守る氏神様の御札)
➤崇敬神社札(その他に信仰する神社の神様の御札)

中でももっとも重要なのは、日本の国全体の氏神様であり、太陽の女神として恵みを与えてくださる天照大御神(あまてらすおおみかみ)様をお祀りする「神宮大麻」です。

伊勢神宮は、皇室の御祖神(みおやがみ=ご先祖様にあたる神様)であり、日本国民を守ってくださっている天照大御神様をお祀りしていることからも、全国各地にある神社の中でも特別な存在。
その御札を神棚にお迎えすることは、家庭の守護をさらに強めることにもなります。

そして「氏神神社」は、あなたの住む地域を守ってくださる、大変身近な神様です。
平和に穏やかに、日々の暮らしを営むことができるよう、常に見守っていただきたい存在ですね。
(※氏神神社についての詳しい解説は、こちらの記事をお読みください!)

最後に「崇敬神社」は、あなたがご縁をいただいた神社の中でも、特に大好きで神様との絆を深めたいと思った神社です。
今風に言うなら「推しの神社・神様」といったところでしょうか。笑

崇敬神社は、決して一社に絞る必要はなく、複数重ねていただいて構いません。
あなたも、より深いご縁で繋がっていたい神社の御札を受けてきて、ご家庭でお祀りしてみてはいかがでしょうか?


神棚に御札を祀る順序(御札の並べ方)

御札の並べ方

神棚と言ってもシンプルな「御札立て」をはじめ、納める場所が一つの「一社造り」、三つであるなら「三社造り」などと多様な種類があります。

「御札立て」や「一社造り」なら、御札はすべて重ねてお祀りすることになり、一番手前の見える場所に「神宮大麻」が来ます。続いて氏神様の御札、その次に崇敬する神社の御札の順序で後ろに重ねていきましょう。

「三社造り」の場合は、御札は三つ並べてお祀りします。中央に「神宮大麻」を置き、向かって右に「氏神神社の御札」、左に「崇敬神社の御札」を並べましょう。


神棚を置くのに相応しい場所とは

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神棚を設置する場所で意識していただきたい条件は、次の3点。

➤目線よりも高い場所(神様を見下ろさないため)
➤明るく清らかな場所(神様は清浄を好むため)
➤家族の中心となる場所(皆でお詣りしやすいため)

できれば家族の中心となる居間・リビングといった部屋が好ましく、誰からも目に入り、お詣りしやすい場所に置くことをおすすめします。
家庭の中で、それぞれが「神棚に向かって手を合わせるひととき」を、自然に持てるようになると素晴らしいですね。

ちなみに、御札を納める「神棚」を用意していない場合でも、高い場所にある棚の上などを綺麗にして、半紙や白い布を敷いて御札をそのままお祀りすることも可能です。
(※壁などに貼るときには、御札に直接針を刺したり、穴をあけたりすることのないように注意してください)

最初は「できる形」で家庭の中に神様をお迎えし、日々手を合わせる習慣を作ることが大切。
少しずつ、家に相応しいように神棚の形を整えていくのが良いのではないでしょうか。


神様に失礼の無い神棚の置き方

神棚をお祀りする際の基本のひとつに、神様(神棚)の上を人が歩くという失礼がないようにする、というものがあります。
つまり、一軒家の場合は最上階に神棚を置くことが望ましいということですね。

ただし家の造りや、マンションやアパートなどの場合は、必ず最上階に……というわけにもいきませんよね。
そのような場合は、神棚の真上の天井に「雲」という文字を書いた紙を貼り付けて、その上を「天上」とすることも可能です。

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また、棚板があるような本格的な神棚を準備した場合は、その上に「雲板」と呼ばれるものを取り付ける方法もあります。
こうすることで、神様に向かって「大切にお祀りしています」という想いを伝えるのですね。

その他にも、神棚がある上階の同じ位置にタンスや書棚などの家具を置くことによって、自動的に「その場所を人が歩かない」ようにすることもできます。

あとは、扉やふすまなど「出入り口」の上に神棚を置いて、その下を人が潜り抜けることも、よろしくないとされています。

このように、神棚は厳密に言えばさまざまな設置のルールがあるのですが、まずは各ご家庭の中で、無理なく神棚の置き場所を決めてみていただければと思います。


神棚で気を付けたい「向き」とは

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神棚の祀り方で重要な基本に、もうひとつ「向き」があります。
これは「神様(御札)の側」から見たときに、どちらを向いて置くのがいいかということ。

御札が「南側」か「東側」を向くように、設置を心掛けましょう。
つまり、神棚の向きは「南向き」か「東向き」、部屋の「北側」か「西側」を背にしていただくことになります。

この理由は、神様が向く方角が「南」なら「太陽がもっとも高く昇る方角」ですし、「東」なら「太陽が昇る日の出の方角」だからです。
多くの神社も、この方角を意識して建てられていると言います。

ただし、どうしてもそれらが難しい場合は、気に病みすぎることはありません。神社であっても、その方角ではないケースもありますから。
それよりも丁寧に心を込めて、神様をお迎えしていることが重要です。


神棚のお祀りは「完璧さ」より「心」

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神棚を設置しようとして調べていただくと、きっとさまざまな決まり事やルールのようなものが存在すると気づくことでしょう。

でも、家庭によって事情はそれぞれ。
あまりにも頭でっかちに考えすぎてしまえば、「こんなんじゃ神棚を置くなんて無理!」とお手上げ状態になってしまいかねません。

大切なのは、神様を大切に家の中にお迎えして、「日々の暮らしを見守っていただく」こと。
私たちが目に見えない存在を意識して、日々の恵みや人生の中に感謝の心を忘れずにいることなのです。

「完璧さ」を求めるよりも、神様に真摯に向き合う「心」の方を、どうか一番大切にしていただけたらと思います。
神様は、神棚の完璧さを求めているわけではなく、あなたからの真っ直ぐな想いを何より喜んでくださるはずですから。


神棚を「お気に入りの場所」に

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思えば私も、最初は神棚を持っていなかったところからがスタートでした。
家の小さなスペースに御札をお祀りしはじめ、叶えられるところから「神棚の基本」を実現していきました。

新居に移るタイミングで、しっかりとした形の神棚をお迎えしたいと思い、新しい神棚をどこにどのようにお祀りするのがいいか、家族で話し合ったものでした。

今では、家の中で一番お気に入りの場所が、神棚です。
それが見える場所に居るだけでも、なんとなく安心して、ご機嫌な心で居られるのがとてもありがたいと思っています。

一つひとつのご家庭に、そんな「素敵で心がホッとする場所」が生まれたらいいなと願い、今回も記事を書かせていただきました。

次回は、しつらえた神棚にお供え物をするときのお話をしたいと思います!


文/巫女ライター・紺野うみ


※神主や巫女が監修・執筆を手掛ける、くらしに役立つ神道や神社の情報を届けるWebメディア「神様が宿るくらし」のコンセプトは、こちらの記事をご覧ください。

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