見出し画像

神社に響く音の秘密!玉砂利・鈴・拍手など…邪気を祓う音のいろいろ

あなたは、神社で聞こえてくる「音」に、耳をすませてみたことはありますか――?

多くの神社が、風にさざめく豊かな草木の杜(もり)に抱かれ、流れる水音の響く神池や滝があることも珍しくはありません。
自然と一体になっている空間だからこそ、神社にはあちらこちらから心安らぐ音が聞こえてきます。

それだけでなく、神社で行う参拝作法から生まれる音、神社にある鈴や太鼓、敷き詰められた玉砂利に至るまで……。
その一つひとつが「邪気や魔を祓う」意味を持つ、神聖さを宿した音だと言われています。

今回は、そんな「神社で出会う音」について、ご紹介をさせていただきます。
皆様も神社に足を運ばれた際には、出会う「音」にも耳をすませながら、心地よい神社参拝をしていただけたら幸いです。


境内で出会う「音」のいろいろ

画像1

神社でお詣りをするにあたっては、鳥居をくぐることから始まり、手水に至るまでさまざまな「浄め」の作法がありますね。
ですが、その作法以外にも「音」の力によって、心身を浄めていただく方法も存在しています。

具体的には、どのようなものがあるのでしょうか?


【玉砂利】

画像5

神社では、参道に玉砂利が敷き詰められていることもよくあります。
これは「おしゃれだから?」とか「神社っぽいから?」などと、なんとなくの理由で思っていらっしゃる方も多いことでしょう。

でも実のところ、玉砂利の「玉」には「美しい」「立派な」といった意味が込められており、魂の「タマ」にも通じるところがあるのです。
細かい石を表す「砂利」は、国歌『君が代』にも登場する「さざれ石」の「さざれ」という部分がなまって転じたものだと言われています。

美しくて細かい石を敷き詰めることで境内を清浄に保ち、それを人が歩くたびに踏みしめる音には「魔を祓って、場を清める」という効果があるのです。
何気なく踏みしめていた方も多いかもしれませんが、もし神社で玉砂利に出会ったら、その上を歩きながら「音」を聴いてみてくださいね。


【鈴】

画像3

境内には、さまざまな場所に「鈴」を見かけることも多いのではないでしょうか?
一番印象的なものとしては、拝殿前の賽銭箱の上に吊るされている大きな鈴があるかと思いますが、これを「御鈴(みすず)」と呼び、そこから垂れ下がっている紐は「鈴尾(すずお)」という名前です。

神社によっても、その音の雰囲気はさまざま。
「ガランガラン」「カラカラカラ」、また鈴尾にたくさんの小さな鈴がついているような場合は、「シャンシャンシャン」といった音色もあります。
このような場所にも、ひとつの「神社の個性」が現れているような気がしますね。

この鈴は、神様にご挨拶をする前に「神霊」を呼び出す神聖な道具であり、言うなれば玄関先の呼び鈴のような役割があるとされています。
その音色で邪気を祓い、鳴らした人の心身をも浄めてくれる、大切なものなのです。

また、御神前で「御祈祷」をあげていただく際には、「鈴振りの儀」といって神職や巫女が神楽鈴を参拝者の頭上で振ります。
あれは、清らかな音を注ぐことで「災を退け、福を招く」ことを祈願する、とってもありがたい儀式なんですよ。

神楽鈴はもちろん、巫女が御神前で舞う「神楽舞」にも使われたりします。
鈴の音が響くたびに、その場所が浄められていくような、神聖な気持ちになりますね。


【太鼓】

画像5

ほとんどの神社では、神事の際にも太鼓を用いますが、その音にもきちんと意味があります。
御祈祷の最初と最後には、「号鼓(ごうこ)」と言って太鼓を厳かに打ち鳴らし、その音ではじまりとおわりを告げるのです。

日本では古くから、歌舞伎などの拍子木を思いうかべても分かるように、鳴り物や打ち物を使って「物事のはじまり」や「時間」などを知らせるという習慣があります。
夕方に聞こえてくるお寺の鐘も、学校で鳴るチャイムも、玄関の呼び鈴なども、そのひとつですね。——「音」で知らせる、という文化です。

御祈祷における「号鼓」は、今から祈祷が始まります、という合図であるとともに、その音の波動で場を清め、参拝者の心を鎮めて気持ちを正すための音なのです。

あなたも御祈祷を受ける際には、ぜひその太鼓の音色を、体全体で感じてみてくださいね。


【拍手】

画像6

神社参拝の作法の中には、「二拝二拍手一拝」というものがあります。
これの中に含まれる「拍手」というのは、皆様もよくご存じの通り両掌を打ち鳴らす仕草を指しています。

これを「拍手(かしわで)」とも呼びますが、これは拍手の「拍」の字が「柏」の字と混同されたことによって生まれた呼称であるともされています。

意味としては、神様への感謝や喜びを表現し、願いを届けるためや、邪気を祓うため――。
拍手の回数などは、神社によっても異なる場合がありますが、多くは「二拍手」が一般的ですね。

細かな作法の違いも、神様にお祈りを捧げる気持ちには関係ありません。
あまり不安になりすぎず、その神社で推奨されている作法があるならば、柔軟にそれを取り入れながら、神様にご挨拶をしてみてはいかがでしょうか。


神社でいろんな「音」を感じてみましょう

画像4

日本人が大切にしてきた「音」による浄化の工夫も、神社ではたくさんのものに反映されていますね。
その一つひとつを、何気なく聴くのもいいのですが、その瞬間に「自分の心身が清らかになっていく様」をイメージしていただくと、きっとその効果はひとしおだと思います。

素敵な「音」の力で清められたあなたを、きっと神様も歓迎してくださることでしょう!

そして、心が荒れ模様のとき、どうしても元気が出ないときには……。
神社に足を運び、風の音や水の流れる音、植物や動物たちのたてる音など――自然が奏でる美しい音にも、ぜひ耳をすませてみてください。

きっと、季節を五感で感じ、何気ない音や声に癒される……素敵なひとときが過ごせることでしょう。
神社で過ごす時間が、より特別なものになるはずですよ!


文/巫女ライター・紺野うみ


※神主や巫女が監修・執筆を手掛ける、くらしに役立つ神道や神社の情報を届けるWebメディア「神様が宿るくらし」のコンセプトは、こちらの記事をご覧ください。

※よろしければ、「神様が宿るくらし」アカウント、マガジンのフォローで、応援をよろしくお願いいたします!



「神様の宿るくらし」は、心を込めて神様と向き合いながら、神社神道に関する情報を伝えていくことを使命としています! いただきましたご支援はすべて、そのための発信活動に役立ててまいります。心から御礼申し上げます。