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漂う編集者

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千倉書房という地道(地味?)な出版社のお世話になっている編集者が、本と編集にまつわるエピソードを紹介します。普段は鍵のかかった別ブログのエントリから、差し障りの少なそうなモノをア…
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2019年9月の記事一覧

思えば遠くへ来たものだ

(2017/03/02記)  白鳥潤一郎さんと初めて出会ったのは、中央大学で行われた服部龍二さんの…

タックマンの次に読む本

(2013/03/28記)  第一次世界大戦は、敵国内に在留する非戦闘員(民間人)が組織的かつ大量…

昨日生まれた男

(2009/08/21記)  昔気質と言うか、私は割と因縁を気にし、大事にするタイプの編集者である…

老大家の教養

(2008/03/27記)  著者の書き癖、というのは編集者にとってどこまで手を入れてよいか常に悩…

明日の全集を探せ

(2007/12/07記) W   読書の楽しみの源泉を探るのに最も手軽で確実なのは「全集を読むこ…

お前たち、どこから来たの?

(2005/05/07記)  今日こそ本を整理しよう。不要不急の本をまとめて古本屋に持っていこう。…

読書名人傳

(2005/01/29記)  本屋の店頭であまり悩まない。極端に値の張るものについては躊躇もするが、気になった本はなるべく購入するようにしている。  一見、手当たり次第に思われそうだ。でも以前に比べ、確実に無駄な本を買わなくなっている。すべてに目を通すわけではないものの、タイトル、装丁、版面、目次、書き出し、著者プロフィール、版元などを頼りに面白そうな本のアタリをつける。その勘が長年の蓄積、精進、投資で多少なりとも磨かれたのだと信じたい。  以前はやっとの思いで読了

マンガを読めない子供たち

(2010/12/18記)  活字離れが言われて久しいが、先日、あるライトノベル作家氏から不思議な…

如何なる戦後を共有するか

(2010/11/23記)  渡邉昭夫さんや御厨貴さんとお話ししていると、ときどき思い出したように…

本屋風情

(2010/07/30記)  戦前、民族学や人類学などを得意とする岡書院、山岳関連書籍専門出版社で…

さよなら20世紀と日本研究会

(2018/03/03記)  ただいまご紹介に与りました千倉書房の神谷でございます。  今日、こ…

私の修業時代

(2019/08/08記)  猪瀬直樹事務所での修業時代、最初に教わったのは国会図書館と大宅文庫の…

山崎塾修了

(2017/5/16記)  山崎正和さんが15人の若き学徒を集めた研究会をスタートさせたのは2015年9…

謎の使者

(2012/03/07記)  渡邉昭夫さんにお誘いいただいて劇団四季自由劇場へ。もちろん浅利慶太さんからの特別招待チケットである。毎度ありがたいことだ。  で、お懐かしい、福田恆存の『解ってたまるか』を見ることに。  金嬉老事件を枕にした、三島由紀夫の『金閣寺』を思わせる動機の虚空をめぐる物語は、アプレと政治の季節を巧みにカリカチュアライズしていた。  全編を通じて嘲笑の対象となる「文化人」の類型が、大学教授、人権派弁護士、映画監督、劇作家(!)という痛烈は、