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漂う編集者

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千倉書房という地道(地味?)な出版社のお世話になっている編集者が、本と編集にまつわるエピソードを紹介します。普段は鍵のかかった別ブログのエントリから、差し障りの少なそうなモノをア…
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記事一覧

人名の母国語読みについて

(2022/07/18記)  一九七〇年代に小学生、八〇年代に中高生であった私にとって、李承晩は「…

学会・研究大会のこれから

(2024/06/24記)  この週末参加した日本比較政治学会で、ちょっと驚くような発表がありまし…

難しくなる歴史研究

(2005/07/30記)  七〇回、足かけ七年に及んだ立花隆さんの連載「私の東大論」が文藝春秋二…

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『国際経済と冷戦の変容』の読みかた

(2024/05/28記)  いまどき「カーター・ドクトリン」と言われて「あぁ、アレね!」と膝を打…

教科書販売の憂鬱

(2022/06/07記)  この春の教科書販売の成績を分類すると「2020年並みの堅調だった大学」「…

生態系の変化

(2023/05/28記)  出版業界や書籍の全般について語ることは出来ないが、とにかく我が身を置…

2022年の総括

(2022/12/30記)  2022年、販売額、販売冊数いずれも前年度を上まわる成績だった当社も、取次通し、つまり一般市場での売上金額では久々のマイナスを記録してしまいました。  コロナ禍に入っても、全ての数字で前年度比プラスを続けていただけに、ちょっと全身から力が抜けるような無念さ、敗北感があります。  正直、数字上は秋口から危機感がありました。しかし、刊行点数が落ちているわけでも、重版がかからないわけでも、広告や販売展開に遺漏があるわけでもなく、ただただ書店の店頭

「巣鴨の父」の息子

(2024/03/12記)  書籍の編集をお手伝いをするなかで、たまたま著者の思いがけない過去や一…

懐かしい作品に還る昼下がり

(2024/03/30記)  嵐が去った土曜日、春(初夏?)の陽気が心を誘うが、ここ十年で最もひど…

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勝手なアンソロジー

(2019/10/15記)  無謀なことを思い立ったものだ。  何しろ池内紀さんには、すでに『池内…

三つの叢書

(2023/11/24記)  2000年代の終わり頃、NTT出版に叢書「世界認識の最前線」というシリーズ…

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二度とこんな本は作れない

(2021/06/30記)  明日7月1日に結党100周年を迎え、ここしばらくは「神話作り」に力を入れ…

いつまで続く泥濘ぞ

(2023/03/29記)  2011年のアラブの春に際し、もし池内恵さんが敢然と立たなかったら、日本…

写真集『MINAMATA NOTE』について05

(2012/09/17記)  石川武志さんの写真集『MINAMATA NOTE 1971~2012』(千倉書房)には、いくつか大きなストーリーの流れがある。  ひとつは既に紹介したように、1970年代と2010年代の風景や患者の姿の対比による「終わらない水俣」ということなのだが、もう一つ重要なのが「写真家ユージン・スミスと水俣」というテーマだ。  ユージン・スミス。1918年、カンザス州に生まれ、1957年から世界的報道写真家集団マグナムのメンバーとなっている。  1