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漂う編集者

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千倉書房という地道(地味?)な出版社のお世話になっている編集者が、本と編集にまつわるエピソードを紹介します。普段は鍵のかかった別ブログのエントリから、差し障りの少なそうなモノをア… もっと読む
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記事一覧

教科書販売の憂鬱

(2022/06/07記)  この春の教科書販売の成績を分類すると「2020年並みの堅調だった大学」「…

生態系の変化

(2023/05/28記)  出版業界や書籍の全般について語ることは出来ないが、とにかく我が身を置…

2022年の総括

(2022/12/30記)  2022年、販売額、販売冊数いずれも前年度を上まわる成績だった当社も、取…

「巣鴨の父」の息子

(2024/03/12記)  書籍の編集をお手伝いをするなかで、たまたま著者の思いがけない過去や一…

懐かしい作品に還る昼下がり

(2024/03/30記)  嵐が去った土曜日、春(初夏?)の陽気が心を誘うが、ここ十年で最もひど…

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勝手なアンソロジー

(2019/10/15記)  無謀なことを思い立ったものだ。  何しろ池内紀さんには、すでに『池内…

三つの叢書

(2023/11/24記)  2000年代の終わり頃、NTT出版に叢書「世界認識の最前線」というシリーズがあった。  国際政治学者の猪口孝さん、猪口邦子さんの持ち込み企画で、世界的に定評を得ている基本書にもかかわらず日本に紹介されていない書籍をピックアップし、解題を付けて翻訳出版するという触れ込みだった。私はその前半部の刊行に、サポート的に関わっている。  ラインナップを挙げてみよう。 ◆叢書「世界認識の最前線」 池上英子(森本醇訳) 『名誉と順応――サムライ精神の歴

二度とこんな本は作れない

(2021/06/30記)  明日7月1日に結党100周年を迎え、ここしばらくは「神話作り」に力を入れ…

いつまで続く泥濘ぞ

(2023/03/29記)  2011年のアラブの春に際し、もし池内恵さんが敢然と立たなかったら、日本…

写真集『MINAMATA NOTE』について05

(2012/09/17記)  石川武志さんの写真集『MINAMATA NOTE 1971~2012』(千倉書房)には、い…

写真集『MINAMATA NOTE』について04

(2012/09/16記)  水産加工場、干された漁具、珍しくもない日本の漁師町の風景だ。しかし、…

写真集『MINAMATA NOTE』について03

(2012/09/15記)  水俣訪問初日の夜、石川武志さんの被写体である患者さんたちが集まり、地…

写真集『MINAMATA NOTE』について02

(2012/09/14記)  漁師町をうろついていた猫たちが、あるとき腰を抜かしたようにフラフラし…

写真集『MINAMATA NOTE』について01

(2012/09/13記)  いま熊本空港で著者待ちをしている。私の乗ってきたANAを追いかけるように、ソラシドエアが羽田から熊本を目指しているはずだ。  私が熊本に来たのは高校の修学旅行以来、ピッタリ四半世紀ぶり。あの時は阿蘇をまわるのが目的だったから熊本城はバスから眺めただけだった。  著者と合流したら、バスで熊本駅へ出て九州新幹線に乗り、新水俣から水俣市へ入る。水俣病資料館や医療福祉施設をまわることになっている。  自分で魚を食べて水俣病を発症したという世代の人