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漂う編集者

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千倉書房という地道(地味?)な出版社のお世話になっている編集者が、本と編集にまつわるエピソードを紹介します。普段は鍵のかかった別ブログのエントリから、差し障りの少なそうなモノをア…
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記事一覧

学会・研究大会のこれから

(2024/06/24記)  この週末参加した日本比較政治学会で、ちょっと驚くような発表がありまし…

難しくなる歴史研究

(2005/07/30記)  七〇回、足かけ七年に及んだ立花隆さんの連載「私の東大論」が文藝春秋二…

『国際経済と冷戦の変容』の読みかた

(2024/05/28記)  いまどき「カーター・ドクトリン」と言われて「あぁ、アレね!」と膝を打…

教科書販売の憂鬱

(2022/06/07記)  この春の教科書販売の成績を分類すると「2020年並みの堅調だった大学」「…

生態系の変化

(2023/05/28記)  出版業界や書籍の全般について語ることは出来ないが、とにかく我が身を置…

2022年の総括

(2022/12/30記)  2022年、販売額、販売冊数いずれも前年度を上まわる成績だった当社も、取…

「巣鴨の父」の息子

(2024/03/12記)  書籍の編集をお手伝いをするなかで、たまたま著者の思いがけない過去や一面に気づくことがある。  それは日頃、あまり他者に見せることのない姿だったりして、意外な発見に胸を打たれたりする。  先日、成城大学の田嶋信雄先生の新著『ドイツ外交と東アジア 1890~1945』(千倉書房)をお手伝いしている折、ネットで氏の著作歴を検索していると、そこに意外な文字列を見つけた。  『巣鴨の父 田嶋隆純』は文藝春秋の企画出版から2020年に刊行されており、

懐かしい作品に還る昼下がり

(2024/03/30記)  嵐が去った土曜日、春(初夏?)の陽気が心を誘うが、ここ十年で最もひど…

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勝手なアンソロジー

(2019/10/15記)  無謀なことを思い立ったものだ。  何しろ池内紀さんには、すでに『池内…

三つの叢書

(2023/11/24記)  2000年代の終わり頃、NTT出版に叢書「世界認識の最前線」というシリーズ…

二度とこんな本は作れない

(2021/06/30記)  明日7月1日に結党100周年を迎え、ここしばらくは「神話作り」に力を入れ…

いつまで続く泥濘ぞ

(2023/03/29記)  2011年のアラブの春に際し、もし池内恵さんが敢然と立たなかったら、日本…

写真集『MINAMATA NOTE』について05

(2012/09/17記)  石川武志さんの写真集『MINAMATA NOTE 1971~2012』(千倉書房)には、い…

写真集『MINAMATA NOTE』について04

(2012/09/16記)  水産加工場、干された漁具、珍しくもない日本の漁師町の風景だ。しかし、それらはただちに違和感を醸し出す。  遠いのだ。海から。不自然に。原因は埋めたてである。工場排水とともに流れ出た水銀のヘドロが、それ以上、海洋を汚染しないように、国と県は巨額の資金を投入し、チッソの排水口があった水俣湾一帯を埋め立てた。  いや、埋め立てた、では生やさしい。埋め立て尽くした、とでも言うほかない。そこに証拠と記憶を隠滅しようという、きわめて強い悪意を感じないで