理系なB2Bマーケティングとデータマネジメントを追求した先にあるもの
こんにちは、カミムラです。ブレインパッドで2016年からB2Bマーケティングのマネジャーをしてます。noteを書くと自分の考えがまとまっていくのでちょこちょこ書いています。このnoteは自己紹介代わりに。
僕の書くnoteは1つの共通テーマがありまして。『B2Bマーケティングを科学する』こと。数学や物理の問題を解くように現実の裏側にある「再現性の法則」を紐解いて、これから起こる事象を予測・コントロールしていくこと。
その実現に向けて考えていることや、システム活用などを思うままに書いています。
理系とB2Bマーケティングの繋がりは?
法人向けマーケティングの分野は多岐に渡りますが、僕の関心分野は「データマネジメント」。
SFAやMAを活用したデマンドセンター作りに取り組んでいます。どうシステムに記録していき、データからプロセスを改善していけるか。そしてそれをチームで分業しながら持続的に無理なく実行していけるか。
根底にあるのは製造業で1950年代から先人が実践し続けた工程管理の考え方。専門分野が理工学部の機械工学でしたので製造業における生産技術や工程管理が大好きです。それをホワイトカラーの業務プロセスで再現することで、強いセールス&マーケティング組織を作りたいです。
実務としては、どんなことから取り組んでいるのか?
良いデータ管理は、良い業務プロセス定義から
定義できないものは、管理できない。
管理できないものは、測定できない。
測定できないものは、改善できない。
~エドワーズ・デミング博士~
というわけでまず最初はプロセス定義から。B2Bマーケティングの業務プロセスはいろんなフレームワークが出ていますね。
その中でも最も有名になったのは『THE MODEL』かもしれません。
引用:営業効率を最大化する「The Model」(ザ・モデル)の概念と実践
THE MODELはSalesforceが提唱しているだけあって分業モデルとしてすごく有名になりました。そしてもう1つはシリウスディシジョン社の『デマンドウォーターフォール』のフレームワークでしょう。個人的にはこちらの方が好きです。MQLとかSQLの概念を生み出した源流ですね。
引用:ノヤン先生のマーケティング講座 ファネルの物語【前編】
(出典:SiriusDecisions)
これらの業務プロセスを自社に当てはめて、プロセスごとの進捗を管理して改善していけるようにすることがB2Bマーケティングのデータマネジメントだと思っています。
実務としては、SFAなどのDBにどうデータを入れ込んでいくかのデータモデルを考えねばなりません。このとき、商談管理のプロセスはSFAのパッケージをそのまま使ってもまあまあいけると思いますが、リード獲得から商談獲得までのプロセスは各社各様の設計をしないとうまくいかないかもしれません。
※ちなみにうちではリードオブジェクトは使わずキャンペーンメンバーのオブジェクトを使ってプロセス管理しています。
>> B2Bマーケのデータマネジメントvol.1 -THE MODEL的な可視化のために-
データ収集でつまづかない工夫
データを入れるハコが決まったら、次はデータを収集する仕組みづくりです。B2Bマーケティングにおいては、人間による手入力が必要になる部分も多いです。人が入力してくれなくて運用がなかなか定着しないのはよく聞く話。理論だけでは現場は動かず。理論と現実の橋渡しをするには工夫が必要です。
活用メリットを現場に浸透させる、みたいな理想論もありますが現実的には以下の3種類を活用することになるでしょう。
1.入力してる人が賞賛される空気(入力してないと気まずい空気)を作る
2.入力の負荷を極限まで下げる
3.入力していないと上司に怒られて評価が下がるようにする
空気作りの最たるものは、営業会議などで状況を可視化することになるでしょう。もちろんその場で影響力のある人、営業マネージャーとかからの賞賛をセットで。
入力負荷を下げるのはアドミンの出番になります。
入力の負荷を極限まで減らす技法
僕も過去に営業をしていましたが、まあまあマメにSFAを更新する方でした。けど同時に「めんどくさいなぁ、、」とも思っていました。入力するのは営業のコア業務じゃありませんしね。
怠け者の僕はいかにしてラクをするか?を考えるのが大好きです。ましてSFAは複数の人が使うシステムですから、1日5秒でもラクになる工夫を複数考えて実装していけば、積み上げるとけっこうな効率化になっていきます。
過去の登壇でも、入力の負担感を減らす5つのコストとその対処をつらつら話した回はえらく満足度が高かったようです(5段階評価で4.89 !!)
>> 2019-04-19開催「匠に聞け!Trailblazerウェブセミナー第10回~「使いたくなる!」にこだわった ブレインパッドの定着化手法~」
このWebinarの前半で話したインサイドセールスでのプロセスビルダー・フロー活用の詳細がこちら。細かすぎて登壇中は説明ができなかったので文章にしました。
>> B2Bマーケのデータマネジメントvol.2-データを入れてくれる仕組み-
もう一段前の工程にあたる、リード獲得のための集客施策データをキレイに自動取得する方法がこちら。メールでセミナー集客とか資料請求とかを促している人には使えると思う。
>> B2Bマーケのデータマネジメントvol.3-集客施策の寄与度を可視化する-
最後に、Salesforceのデータを1つ1つ入力するのではなく一括更新する方法がこちら。最近これがあるので僕はデータローダー使わなくなりました。
>> Salesforceデータをスプレッドシートから一括編集する方法
アドミンが勉強して工夫した分だけ、現場の入力がラクになって持続的な仕組みになっていきます。事務作業はラクにしてもっとお客さんと会うこととか、考えることに時間を使いたい。
理系なB2Bマーケティングの行き着く先にあるもの
理工学的に捉えると、これらのデータマネジメントで得られるものは「ボトルネックの正確な特定」と「持続的で効果的な成果改善」になるわけなのですが、B2Bマーケティングにおいては別の側面での効果もあると思います。
それは「組織間での共通認識作り」
営業とマーケティングの壁とか。マーケとインサイドの壁とか。現場と経営陣の壁とか。分業するとすぐに壁ができます。社内に壁だらけ。お互いミッションや観点が違うのだから壁ができるのは当然なのでしょうね。
けれど、1つの企業ですからできれば一枚岩になりたいし、そもそも同じチームで壁があるなんて心地よくない。楽しくない。そんな時に役立つのが溜めていった「ファクトデータ」だと思っています。
データで示せば印象による誤解もない。データで全体感を示せば1件の印象に引きずられない。データで時系列に並べれば小さな進歩も示せる。データで確率を示せば未来の期待値も揃う。データが協力姿勢を作る。
データマネジメントの行き着く先には、共通認識を持った協力的な組織があります。平和な世界を目指してこれからも工夫を積み重ねたいです。