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「黎明の学師」書籍化への道のり3

0. 目次
1. Amazon PDO + Kindle 出版について
1.5  Amazon KDPが日本でペーパーバックの印刷開始
2. 書籍化への流れ
3. 加筆改稿・編集作業(本記事)
4. 装丁について
5. 表紙について
6. 発売までの道のり

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加筆改稿

 「黎明の学師 混沌の惑星」は元は「混沌譚一 ティエラ山篇」として小説投稿サイトで公開していた作品です。
 一番最初は72,000字程度の作品でした。初稿の公開後に、前半が後半に比べ抑制的な調子で進むこと、前半の情報量が相対的に多いことなどを改善するために改稿し、78,000字程度の作品となっていました。

 その後、続編を書きつつも、シリーズの入り口となるこの作品のことがずっと気になっていました。初めて公開した小説でしたので、振り返ると嫌でも拙い点が目につきます。それ以上に気になっていたのは、途中でジャンルを変更したことにより、二作目以降と作品の雰囲気に乖離があった点です。

 「混沌譚一 ティエラ山篇」
を公開した当時、私はこのシリーズのジャンルをファンタジーだと考えていました。公開後、読者の方から「ジャンルはSFではないか」という指摘を頂き、SFに変更しました。「SFを名乗るには細かい設定の説明を省きすぎたな」というのが「ティエラ山篇」に対する私の率直な考えです。ジャンルをSFに変更してから書いた続編では自然と、詳しい説明を避けていた細かな設定を提示したり、あまり登場させてなかったSF的ガジェットも書き込むようになりました。ですので、改稿前の「黎明の学師」とシリーズ二作目以降では、作品のSF度に大きな乖離があったのです。
 いつか電書化したいという思いはありましたから、その前に大幅な加筆改稿が必要だという意識を自分の中にずっと持っていました。

 あだん堂ゆきさんに編集を依頼し、書籍化の計画が具体的になった途端、「いつか加筆改稿したい」という私の思いは文字通り溢れ出しました。
 最初にあだん堂ゆきさんに原稿を送った後、ゆきさんが原稿をチェックする暇も与えず、「加筆しました」「直しました」と何度も何度も改稿原稿を送り続けるという行為を繰り返しました・笑。もちろん「暫くは加筆を続けるので、原稿は読まなくて良いです。私なりの加筆が終わってから原稿チェックして下さい」とはお伝えしましたよ!
 ゆきさんはネット上でドキュメントファイルを共有するためのツールや、訂正やコメントをリアルタイムに共有する方法を教えて下さってたのに、全く無視して黙々と執筆を続けてしまいました。たぶんゆきさんも途中からは慣れて、暫く放っておこうと思ってたんじゃないかな・笑。

 そんな訳で、折角あだん堂ゆきさんに編集を依頼した割に、最初の数ヶ月は私が一人でひたすら加筆改稿を続ける期間が続きました。最終的に98,000文字程度まで加筆したところで、書き加えたかったところはだいたい書き終えたと判断し、ゆきさんに編集をお願いしました。

編集

 さて、ここからようやくあだん堂ゆきさんによる編集の始まりです。
 最初はあだん堂ゆきさんから紙に印刷した原稿に手書きで書き込みをしたもののコピーが送り返されてきました。あまり大きな改変の指示はなくて、「この辺の説明をもう少し詳しく欲しい」という指摘が多かったように感じます。

 「黎明の学師」
は完全オリジナル設定のSFなので、まあまあ情報量の多い作品です。あまり書き込みすぎては読者の方が読んでいて嫌にならないか? という不安があったのですが、ゆきさんから「WEBの読者と書籍の読者層は違う。書籍は一冊の本としてじっくり読むので、ある程度詳しく書いても大丈夫。読者を信じて書きましょう」という助言を頂き加筆を行いました。
 この過程でゆきさんから「混沌の惑星」シリーズの詳しい世界設定について聴取がありました。「ここはこういう設定です、説明は二作目に出てきます」「ここの設定は番外編に詳しく書いてます」など説明していくと、「番外編……」と絶句され、一作目でシリーズの世界観をしっかり提示するように指導を受けました。

 元々「黎明の学師」はシリーズ三作目「星躔の王国(仮)」のプロローグ的な位置付けで書き始めた中編です。最初は三作目と併せて一つの作品にするつもりだったので、この二作を通して世界観を説明できればいいと考えていました。また前述のようにファンタジーのつもりで書いていた頃は、細かな世界設定に関する説明をあまり書き込んでいませんでした。結果的にシリーズ一作目での情報開示が不足していたのですね。
 この辺の問題は一人で書いていては気づけなかったと思います。ずっと「読みやすくするためには情報量を減らした方がいい」という考えに囚われていたため、「読者が疑問を抱えたまま話が進む」「読者がもっと知りたいと望む」という点への配慮が欠けていたのです。

 ゆきさんの編集が入った後に更に細かな描写を増やし、最終的には10万字を超える作品になりました。WEBで公開していた頃よりかなりパワーアップしていると自負しています!!!

* 書籍版冒頭の試し読みはこちらから出来ます。

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