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上久保ゼミのクリティカルアナリティクス:離婚後共同親権のあり方について(2014年4月18日)

学生の議論

上久保のコメント

この問題は、リベラル側が、妻がDVなどの被害から逃れられなくなるから単独親権維持、保守側が、家族・家庭の崩壊を防ぐために、離婚しにくくなる共同親権に賛成、という立場。保守側(岸田政権・自公)が国際基準が共同親権であることを根拠として、早期の共同親権導入に動いているという経緯がある。

気になった点は、こどもの立場が置き去りになっているように思うこと。保守側が国際基準とする、欧州諸国で共同親権が導入されている点に着目すると、実は問題の本質が見えてくるのではないか。

例えば、フランスでは、夫婦のこどもであれ、婚外子であれ、こどもは全く同じ権利を有する。これは、こどもを中心に家族が構成されて、権利が生じるという考え方だ。

ゆえに、日本で婚外子の比率が数%程度であるのに対して、欧州では概ね40%が婚外子という実態がある。結婚していなくても権利が保障されているので、こどもを生み育てやすいということで、少子化解消につながっているという指摘がある。

この考え方を共同親権に当てはめると、これは「こどもが両親を持つ権利がある」という解釈にならないか?

もちろん、共同親権とするには、DVなどの問題がないか、徹底的に審査する必要はある。その前提だが、「こどもの権利」という視点を議論の中心の1つに加えないと、保守VSリベラルのイデオロギー対立となり、事の本質がゆがんでしまうことになりはしないだろうか。


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