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おいしい本「あたたかい珈琲」day5

  珈琲を飲めるようになったのは、大阪にあるギャラリーiTohenで一週間『くだらない狩りとにげだした獲物』という個展をしたとき。珈琲がおいしいギャラリーだから練習してみようと思い立ったことが始まりだった。おいしい味でスタートしてしまったから珈琲にはすこし厳しめかもしれない。iTohenはフレンチトーストも最高においしいんだ、食べたいなぁ。

  きょうは『あたたかい珈琲』です。

・『アフターダーク』のデニーズの珈琲
・『燃焼のための習作』の三種混合
・「マーロウシリーズ」朝の一杯
・『きんじよ』のスターバックスコーヒー

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  村上春樹さんの『アフターダーク』は深夜のデニーズのシーンから始まる。デニーズへは朝ごはんを食べによく通ったなぁ。お店へ入ると当たり前のようにぷんと漂う珈琲の香りと「デニーズへようこそ」の言葉が、たまに恋しくなる。『アフターダーク』の主人公は私とおなじマリちゃんなのがうれしい。マリがデニーズでオーダーしたのはあたたかい珈琲と時間稼ぎの為の野菜サンドイッチ。話を忘れてしまっていたので、今また読み返してる。

  堀江敏幸さんの『燃焼のための習作』の枕木さんの珈琲は、インスタントコーヒーに粉末ミルクと角砂糖を入れたもの。注射みたいに「三種混合」と名付けられている。甘そう。味が気になるけど、私は甘い飲み物が苦手なので飲めなさそうだ。でも、ちゃんとカップ&ソーサーで飲んでるあたり、枕木さんとは気が合いそう。

  チャンドラーさん『水底の女』をはじめとした名探偵フィリップ・マーロウのシリーズでは、マーロウが小さなキッチンテーブルで珈琲を飲むシーンが頻繁に出てくる。夜通しの探偵仕事でボロボロになった明け方なんかに、突然訪ねてきた警察に詰め寄られながら熱い珈琲をすする。きっとブラック濃いめ。これは私好みそう。すごく飲みたい。

  いしいしんじさんのエッセイ『きんじよ』には、いしいさんが平安神宮ちかくのスターバックスコーヒーで珈琲を飲みながら短編やコラムの執筆をするお話が書かれている。いしいさんとスターバックスって意外な組み合わせだけど、いしいさんのなんでもこいな感じがしてあたたかい。私はスターバックスではホットアメリカーノ一辺倒。おやつを付けるならワッフルかドーナツ!

  海外の旅先や空港でサッと満たしてくれるスターバックスには日常でもたくさんお世話になってる。テラス席がある店舗が多くてベビーカーを押してる日はオアシスに見えるほど。最近は家で神戸の六珈の豆を通販してまいにち飲んでいる。三軒茶屋に住んでたときは駅前の伽羅という喫茶店がだいすきだった。すこし前に閉店したみたい。渋谷の羽當へはひとりで、打ち合わせで、友人と、東京でいちばん足を運んでるかも。珈琲には思い出がいっぱいだ。

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