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広報担当者が抱える課題と問題を紹介!現実にどう立ち向かうべきか

中小・ベンチャー企業の広報の目標は「信用&知名度の同時獲得」が基本
中小・ベンチャー企業が何よりも求めるべきなのは「顧客からの信用」です。
以下のような2社(同ジャンルのサービスをしている)があったとします。

A社:国民のほとんどが知っている
B社:そのサービスに深い興味がある人でないと知らない

あなたはどちらを選ぶでしょうか。

大半の人がA社をチョイスするはずです。
なぜなら、A社のほうが信頼できるから。では、なぜ信頼できるのか。
「みんなが知っているくらいだし、質の高いサービスをするに決まっているから(と考えられるから)」です。

この際、ポイントになるのが「ほとんどの人はB社のサービス内容を調べない」ということです。その理由の一つが、「調べるのが面倒だから」ですよね。もしくは「普段からA社を使っているのに、わざわざ冒険(B社を使う)する理由がない」ということでしょうか。

余談ですが、この「面倒だから」「手間だから」というのは、人間の行動原理に大きく関わってくるそうです。「○○代行サービス」を使う理由の一つに「自分でやる暇がないから」というものがありますが、もう一つは「面倒だから」です。

■B社のサービスのほうが優れていてもB社は選ばれない
では、

A社:知名度は非常に高いが、サービス内容はそこそこ
B社:知名度は非常に低いが、サービス内容は非常に優れている

という条件だとしたらどうでしょうか。

お察しのとおりこれでもB社は選ばれません。
繰り返しになりますが、やはり「顧客はB社のサービス内容を調べないから」です。

「調べない調べないうるさいな。自分は調べるよ」と感じたかもしれません。確かにそういう方もいるでしょう。
ですが、次の章をお読みいただくと「人間がいかに調べない生き物か」が分かります。

■FXから分かる「ヒトは調べない」ということ
詳しい解説はしませんが、FXとは「通貨同士を売買して利益を狙う取引」のことです。FXには「レバレッジ」というシステムがあります。

例えば、元手が1万円あって「レバレッジ50倍」なのであれば、50万円分の取引ができます。
また、「レバレッジ1000倍」の場合は、なんと1000万円分の取引が可能です。

では、「レバレッジ1000倍」と「レバレッジ50倍」ではどちらが安全でしょうか。
FXについてご存知ない人のほとんどが「そりゃあ、倍率が低いほうが安全だろう」と感じるはずです。
しかし、実は「レバレッジ1000倍」のほうが基本的に安全です(※条件にもよりますが)。
これは難しい話ではなく、「実際にFXをしている人」のほとんどが知っている事です。

それにもかかわらず、「レバレッジは低いほうが安全」「高いと破産一直線」などと紹介しているサイトが後を絶ちません。グーグルの検索上位に来るようなサイトにさえ、そういった記述を見かけます。

極めつけに日本政府は、以前までは数百倍だった「国内FX業者の最大レバレッジ倍率」を25倍にまで下げました。
FXをよく知らない人からすれば「ああ、政府はちゃんと国民の事を考えているな」と感じるはずですよね。
もちろん日本政府もレバレッジの本質を知ってはいるでしょうが、「人々の納得」を得るためには仕方のない規制だったのではないかと予想します(※あくまで私の推測です)。

■「調べない」を前提に広報戦略を練る
ヒトが「調べる生き物」なのであれば、

・「レバレッジが高いほうが安全」という記事ばかりになる
・国が最大レバレッジ倍率を下げることはない

はずです。「知名度が低くても、調べてもらえれば、買ってくれる」という考えは捨てましょう。そもそも調べてもらえないのですからです。

広報が信頼&知名度を同時獲得するための4つのポイント

「ヒトは調べない生き物である」という前提に立つとすれば、中小・ベンチャー企業にとっては「信頼」と「知名度」を同時に獲得することがとても大事だと言えます。

なぜなら、知名度が上がる→信頼もされていれば利用・購入してもらえる、と言えるからです。では、信頼&知名度を獲得するためのポイントを挙げていきます。

1:「広告」はあまり役に立たない
広告:費用を出してメディアに宣伝してもらう、広告でも大量に打てば「知名度」は上がることでしょう。
ですが、「信頼」は得にくいです。

こんなデータがあります。

【信頼度が低い・やや低いと答えた人の割合】

・サイト内のバナー・テキスト広告:77パーセント
・無料アプリの掲載広告:85パーセント
・ユーチューブ広告:68パーセント
・SNS広告:65パーセント
・メールマガジン掲載広告:75パーセント

つまり、「野良っぽさ」がある広告はあまり信頼されないという事ですね。特にユーチューブ広告のような「スキップできるタイミングになった瞬間に飛ばす」という人が多いものについては、「記憶にも残らない(=知名度が上がらない)」でしょう。

2:有効な「広告」もあるにはある
それでも、

・新聞
・テレビ
・雑誌
・ラジオ

の信頼度は低くありません。特に新聞については、「信頼度が高い・やや高い」と答えた人が41パーセント、「普通」と答えている人が35パーセントとなっています。

上記の4種類については、狙ってみても良いでしょう。しかし、ここで問題になるのはやはり「資金」です。
例えば新聞に一面広告を出そうとすれば数千万かかります。

ラジオであればそこまでお金はかかりませんが、今度は「信頼度が高い・やや高い」が24パーセント、「普通」が48パーセントとさらに信頼性が下がります。

ですから、新聞・テレビ・雑誌・ラジオによる広告の「コストパフォーマンス」がそれほどいいわけではありません。
「知名度も信頼性もある大企業が、新商品・新サービスの宣伝のため」に使うのがメインになるのであって、「中小・ベンチャー企業が、自社そのものの宣伝のため」に使うには無理があります。

3:「報道」されるのが一番
報道=「メディアという第三者」が発信する情報です。

「報道」だからと言って全ての人が信頼するわけではありません。実際、「マスコミの印象操作」などの話もたまに聞きます。ですが、「広告」と比べれば、圧倒的に人々に信頼されやすい事は確かです。

しかも、報道してもらうのは基本的にタダです。そのため、どのような規模の会社であろうが、「報道を狙う」ことは可能です。(むしろ対価を求められたら、その時点で疑ったほうがいいです)

4:最初のうちは「数」を重視する
はじめのうちは報道される「数」にウエイトを置きましょう。そうすれば、多くの人が「これほど報道されるのだから、きっと信用していいのだろう」と考えてくれるからです。
ちなみに、中小・ベンチャー企業のなかでも、年間100件以上のメディア露出(報道)を達成しているところがあるそうです。

受け手(一般人)からすると、

広告:「どうせ都合の良い事ばかり言っているんだろう」
報道:「第三者が編集するのだから、信頼できる」
という印象になるので、広告とは異なり「媒体」にこだわる必要はありません。
SNS、ネットメディア……などなど何でも構いません。むしろ、はじめのうちはそれくらいのものでないと、メディア露出に繋がらない可能性が高いです。

5:自社サイトを必ず作る
「このサイトなんだろう」と思えば、現代人はほぼ間違いなくインターネットで調べます。
ですから、簡単なもので構わないので必ず自社サイトを作りましょう。それがないと、「人々が知ってくれるチャンス」を逃すことになります。
また、「やっぱり実態がない会社なのか……?」と思われて信頼性が下がる恐れもあります。

できれば、自社のSNSアカウントも作りましょう。ツイッターやインスタグラムで検索する人も多いからです。
更新にあまり力を入れる必要はありません。忙しければ「自社サイトの更新情報」や「新商品情報」などについて軽く投稿するだけで十分です。

「広告」と「報道」の5つの違いのまとめ
改めて「広告」と「報道」の違いをまとめておきますね。

1:費用面
広告:種類にもよるが高い
報道:基本無料

2:受け手からの信頼のされやすさ
広告:信頼されにくい(疑われやすい)
報道:信頼されやすい(第三者が発信する情報は信じられる)

3:受け手から注目のされやすさ
広告:注目されにくい(例:CMの早送り、新聞広告の読み飛ばし)
報道:注目されやすい(広告のような『ついで』ではなく『メイン』だから)

4:発信する情報について
広告:基本的に自分たちでコントロールできる
報道:メディア主導になるためほぼコントロール不可

広告の一番のメリットは「発信したい情報を、そのまま発信しやすい」という事でしょう。
ですが、受け手(一般人)もそれを知っているので、「どうせ情報操作している」と考えて、なかなか信頼されないわけです。



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