葉桜の道
視界から最後のバスが消え
残った人影をぬぐい去る
ゆっくりと明日へカーブして
ここに思い描かれたばかり
光をあきらめても
まだ今日は続く
いたずらに撒き散らした日々の
重なり合うところに足を止め
花びらに埋もれた歩道橋
終わりはじめた季節の向こう
白く輝く死を引き裂いて
緑の呼吸が空を縁取る
誰の足音もなく
誰のつぶやきもなく
誰の思い出もなく
誰の空白もなく
裏返された生命線を
浮かべたガラスの向こう側では
かかえ切れないひとりを乗せて
重たい足が月明かりを踏む
季節は移ろうけど
今日は続く
葉桜の下で
今日は続く
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