黒いボート

初めまして、宮崎悟と申します。

ヒマです。

コロナ禍で生業もヒマですが、ヒマつぶしに三十年近く細々と行ってきた音楽活動も、いよいよ継続が危ぶまれております。

もともとヒマつぶしなので、無理ぐり続ける事もないのですが、これまで作ってきた詞曲を干からびさせてしまうのもなんか寂しい。

演奏を評価されることはほとんどありませんが、楽曲、特に歌詞を褒めていただくことは稀にあり、それなりに気に入っているものあります。ライブ演奏がなかなかままらない現状、せめて、これまで歌詞として書いて来たものを、少しずつ発表していこうと思っております。

生来ガサツでズボラな性質で、作った曲をきちんと清書して保存したり、ましてや楽譜(読めないし書けない)にするといった管理をしておりません。朧げな記憶を頼りに書き起こすものもあり、間違っているかもしれませんが、別に知ってる方もいないと思われますので気にしないことにします。

その詞のバックストーリーや解説等は極力書かないつもりです。作品はそれを以て表現とすべきで、その背景を表現者自らが語ることは蛇足と考えます。

一応全て曲がついておりますが、音源などは付けません。どんな曲かは皆さまに自由に想像していただければ幸甚です。わたしは、自分の作品を著作物とは考えていません。お気に召す詞がありましたら、自由に曲をつけていただいて構いません。また使えそうなセンテンスがありましたら、勝手に引用していただいても結構です。

それでは手始めに、ライブでは一番多くの回数歌って来たと思われる曲の詞を掲載します。


「黒いボート」


 昨日の夜ぼくは聞いたよ

 波間にたゆたう不思議な音楽
 
 黒く光るコントラバスの腹の中

 寝息をたてていたのはきみさ


 木炭で黒く塗って夜に隠したボートの上

 すすけた顔の上二つのガラス玉を光らせて


 きみはそのまま消えていったね

 夜が更けても波の音はアンダンテ

 残り百年寝返りもうたずに

 寝息をたてているのはぼくさ


 空に穿たれた小さな穴から

 光がもれて

 薄い夜の向こう側には

 もう朝が膝をゆする


 目が覚めたら大きなあくびをして

 あともう百年

 もしもぼくに会いたくなったら

 また生まれておいで


 目が覚めたら大きなあくびをして

 あともう百年

 もしもぼくに会いたくなったら

 また生まれておいで


 生まれておいで

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?