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紹介したいnote記事「サクラの唄」

冬月剣太郎 猫詩人🐈さんの「サクラの唄」という記事を紹介します。

生きよ
もっと激しく生きよと
青空に舞う花吹雪が唄っている
いったい
どんな育てられ方をしたのか
はたまた
どんな育ち方をしたものやら
わたしは
こんな自分が生きていてもいいのかと
自問しながら生きてきた
早七十年
いまこうして
ワインバーの片隅に腰をおろして
妻と一緒に花吹雪を視ていると
サクラの唄が聴こえるような気がして
こんな自分でも
生きていてよかったとしみじみ想う

サクラの唄| 冬月剣太郎 猫詩人🐈 (note.com)

 場所はワインバー。蜂に刺されて以来、アルコールが苦手になった私ですが、ワインバーという響きだけで酔ってしまいそうです。

 奥様と二人で店の片隅に。桜の花吹雪が見えると言う事は、窓際の奥の席でしょうか。お二人の特等席なのでしょう。

「生きよ、もっと激しく生きよと、青空に舞う花吹雪が唄っている」

 「生きよ、もっと激しく生きよ」は、かなり強いメッセージです。綺麗に咲き誇っていた桜が命尽きて散るさまが、「私の代わりに強く生きよ」と叫んでいるように思えたのかも知れません。

「いったい、どんな育てられ方をしたのか。はたまた、どんな育ち方をしたものやら」

 これは自分自身に問うているのでしょうか。桜吹雪を見ながら、過ぎし70年の歳月を振り返っているのかなと思います。

「わたしは、こんな自分が生きていてもいいのかと、自問しながら生きてきた」

 これは私も覚えがあります。20歳の時に、二人の同級生がそれぞれ別の事故で亡くなりました。一人はオートバイで、もう一人は車。どちらも自損事故です。

 特に、オートバイで亡くなった彼は、小学校から高校まで一緒でした。とても優秀な彼が亡くなって、何者でもない私が生き残っている。その事実にしばらく悩みました。「こんな自分が生きていてもいいのか」と。

 中学の頃から希死念慮に悩まされてきた私は、いつ死んでも良いと思ってきましたが、未だに生きています。

「いまこうしてワインバーの片隅に腰をおろして、妻と一緒に花吹雪を視ていると、サクラの唄が聴こえるような気がして、こんな自分でも生きていてよかったとしみじみ想う」

 私もいつかこの境地に辿り着けるのかなと、そう思えた作品でした。

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