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浦島太郎(眠れなくなる読み聞かせ 日本昔話)

 ねえ、眠れないの? 疲れてるのにね。 困ったなあ。じゃあさ、眠くなるように昔話してあげるね。

 むかしむかし、ある村に、心のやさしい浦島太郎という若者がいました。へー、ある村ってどこなんだろうね。浦島って言う名字から考えると、三浦半島じゃないかなって思うんだよね。三浦の浦に、半島の島。三浦半島は神奈川県なんだけど、横須賀の浦賀だったのかも知れないね。

 浦賀に行くとしたら、真っ赤な車体でお馴染みの京浜急行に乗っていくのかな? 品川からだと、どのくらいで行くんだろうね。行った事ないからわかんないけど。まあ、浦賀と言えば、ペリー来航だよね。「泰平たいへいの、眠りを覚ます上喜撰じょうきせん、たった四杯しはいで夜も眠れず」なんて歌が有名だよね。

 四隻よんせきの蒸気船と四杯よんはいの上喜撰をかけてるって話なんだけど、じゃあ、上喜撰って何だろうと思っちゃう。調べてみると、緑茶の銘柄で、宇治うじの高級茶なんだって。宇治って京都の宇治ね。宇治茶は、静岡茶、狭山茶さやまちゃと並ぶ日本三大茶と言われているわけ。

 まあ、京都と言えば、みやこ。京都の人に言わせれば、日本のみやこは京都なんだってさ。実は、東京に遷都せんとされていなくて、東京奠都てんとと呼ばれていると。遷都せんとは、みやこをよそに移す事。奈良から京都にみやこが移った時は遷都せんとだったんだよね。

 でも、東京を首都にする時は遷都せんとじゃなかった。京都をみやこのまま残しながら、新たに東京をみやこと定める奠都てんとなんだって。だから京都の人は、「天皇さんは『ちょっと行ってきますわ』と言うて、関東へ行かはっただけで、いつか戻ってきやはるはずや」と言うんだって。

 まあ、京都の話は置いといて、浦島太郎の話だよね。浦島は、あいうえおの名簿で言えば結構、前のほうになるね。秋山さんとか、井上さんとかいれば、浦島はクラスで3番目くらいになるんじゃないかな。まあ、もし上野さんっていれば4番目になるんだけど。

 よくある話で、夏休みが終わったら名字が変わる子がいるじゃない? お父さんとお母さんが、夏休みの間に離婚しちゃったりしてね。その子がいつの間にか、お母さんの旧姓に変わってたり。まあ、子ども同士ならそんなに気にならないかも知れないけど、親同士はちょっとね。

 夏休み前までお母さんと仲良くしていたのに、2学期からは違う人がお母さんになっていた場合、ちょっと複雑と言うか、困っちゃうよね。どう接していのか。まあ、その辺を上手く切り替えられる人なんかは良いんだけど、私はちょっと自信がないなあ。うーん、顔に出ちゃうかなあ。

 だってさ、前のお母さんと仲良くしていたのに、旦那さんに別の女性が出来てその人と再婚して、「今度から母親が変わりました」なんて言われてもさ、この人のせいで前の奥さんが辛い目に遭ったかと思うと、顔では笑っていても心の中では許せない気持ちになっちゃうよね。

 まあ、その話は良いとして、浦島太郎だったね。太郎って名前も、昔は多かったんだろうね。犬の名前でよくつけられるのが、タロー、ジローだよね。まさに、南極物語のタローとジロー。ジローと言えば、友だちのお父さんが犬を飼うってなった時に、マルチーズにジローって名前をつけたらしい。その犬がまたメスなんだって。

 メスにジローって言うのもどうかと、友だちは思ったらしいけど、お父さんがもう決めちゃったみたいで、ジローと名前がついたんだって。家族みんな、違和感を覚えながらも、お父さんには逆らえなかったみたい。もしその犬がしゃべれたら、「私、一応、女の子なんですけど」って言ったかも知れないよね。

 えーっと、犬の話じゃないよね。浦島太郎は亀の話。子どもたちにいじめられていた亀を助けたお礼に竜宮城に行って、玉手箱をもらって開けてみたら、おじいさんになっちゃったって話だよね。どう、眠くなった? じゃあ、おやすみなさい。


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神野守
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