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桃太郎(眠れなくなる読み聞かせ 日本昔話)

 ねえ、眠れないの? 明日、朝早いよね? 困ったなあ。じゃあさ、眠くなるように昔話してあげるね。

 むか~し、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。さて問題です。このおじいさん、どんな人でしょうか? う~ん、私の想像では、たぶん70歳は越えていると思うんだよね。おそらく髪の毛は白髪、昔は白髪染めなんかないだろうから、染めてはいないんじゃないかな。

 でもさ、それがまた良いんだよね。ロマンスグレーって言うかさ、昔の上原謙うえはらけんさんみたいな感じ。上原謙さんって知ってるかな? 加山雄三かやまゆうぞうさんのお父さん。38歳年下の人と再婚してね、70歳近くで子どもが生まれた人。

 そう考えると、このおじいさんも、まだまだ子どもを授かる可能性はあるよね。きっとさ、若い頃はイケメンで、年齢を重ねても男前なんじゃないかね? このおじいさん、山へ柴刈りに行くんだけど、背筋もピンと伸びていそうだよね。

 昔の人だから、今の人よりはそんなに背は高くないかも知れないね。でもきっと、当時の男性の中では高い方だったんじゃないかな。足も長くてね。足が長いと言えば、石原裕次郎いしはらゆうじろうさん。裕次郎さん、知ってるかな? 昭和の大スター、ドラマ「太陽にほえろ」の藤堂とうどう係長だよね。

 裕次郎さんは、映画「嵐を呼ぶ男」でドラマーやってたから、このおじいさんももしかしたら、山で拾った木の枝をスティック代わりにして、木を叩いていたかも知れないよ。オイラはドラマー、ヤクザなドラマーって言いながらさ。でも良く考えたら、おじいさんの時代にはまだ裕次郎さんいなかったから、おじいさんの方が先になるよね。

 毎日山に登るわけだから、かなり足腰が鍛えられていたと思うんだよね。柴を入れたかごがどのくらいの重さになるかわからないけどさ、きっと軽々とかついでいたんじゃないかな。心肺機能もかなり鍛えられていただろうね。だってさ、柴がいくらで売れるかわかんないけど、相当の数がないと安いんじゃない?

 そう考えると、何度も山を登ったり下ったりしてたんじゃないかな。たぶん、負けず嫌いな人だろうから、誰よりもたくさんりたかっただろうしね。そんなこんなで、仕事をしながら自然と体が鍛えられていったんだよ、きっと。

 それでさ、年に1度の持久走大会とかあったんじゃない? 村の足自慢が集まってさ、ちょうど今で言えば、正月の箱根駅伝みたいな感じ? おそらくおじいさんは、山登りの区間を走っていたと思うよ。当時は、今みたいに舗装された道路じゃないから、かなり走りにくかったはずだよね。

 でこぼこの山道を登ったり下ったり。それでおじいさんは、最下位でタスキを受けるんだけど、あれよあれよと言う間に、10人ごぼう抜きでトップでゴールするんだよね。そんな感じで、みんな楽しんでたんじゃないかな。優勝したら牛一頭もらえるとかさ。

 じゃあ、おばあさんはどんな人だと思う? もしかしたら、八千草薫やちぐさかおるさんみたいな人かも? いつまでも変わらず綺麗な人だったけど、もう亡くなっちゃった。綺麗なまま亡くなったって感じ。寅さんシリーズに出たのが41歳の時で、寅さんの同級生役だった。いつもは寅さんがマドンナにフラれるんだけど、八千草さんの場合はプロポーズを待っていたのにフラれちゃうんだよね。

 もしかしたらこのおばあさんも、八千草さんみたいに綺麗な人かも知れないよね。おばあさんは、おじいさんが山へ柴刈りに行っている間、川へ洗濯に行くんだよね。川へ洗濯って言うと、朝ドラ「おしん」を思い出しちゃう。奉公先で、井戸の水で洗濯をしようとしたら、「ここじゃねえ、川で洗え!」って怒られちゃうんだよ。

 夏は良いんだけどさ、冬が大変。山形は雪が降るから、川の水が冷たくて洗えないんだよね。それでおしんは、「もうやってられない」って、何かがぶちっと切れて、実家に歩いて帰ろうとするの。だからさ、このおじいさんとおばあさんがどこに住んでいるのかが問題になるんだよね。

 鹿児島なんかあったかいけど、雪の代わりに、桜島の灰が降ってくるの。だいたい、夏は薩摩さつま半島、冬は大隅おおすみ半島なんだけど、風の向きで変わるんだよね。そして天気予報では、桜島の降灰予報が出てくる。だから、洗濯物なんか外に干してられないのよ。

 えーっと、なんの話だっけ? ああ、そうそう、桃太郎だよね。川上から大きな桃が流れてきて、切ったら中から男の子が出てきて、大きくなったら鬼ヶ島に行くって話。どう、眠くなった? じゃあ、おやすみなさい。


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