諸岡 裕人(カミナシCEO | SaaS)
会社のビジョンを小説で表現した理由
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会社のビジョンを小説で表現した理由

諸岡 裕人(カミナシCEO | SaaS)

こんにちは!暑い日が続きますね。今年に入って毎月noteを書くと言っておきながら、これが3本目です(ヤバい)!

この半年、自分のリソースをかなり使って取り組んだビジョン策定について書いてみようかと思います。先週、「KAMINASHI VISION 2030」として発表させていただきました。

今回、新しいチャレンジとして「小説」という形式で未来を伝えるということに挑戦しています(※こちらからご覧いただけます)。

2030年、海外で活躍するカスタマーサクセスの"松田"
全く新しい働き方を実現したユーザーの"野口さん"

未来のビジョンがないとキツイ!

皆さんの会社にはビジョンはありますか?起業家の方であれば、10年後の未来について語っていますか?

カミナシでは、2年前にミッションとバリューを作りましたが、ビジョンは存在しませんでした。それでも、シリーズA・30名くらいの組織までは何とかなります。実際に、「3900万人いるノンデスクワーカーの才能を解き放つ」というミッションや、ピボットしたストーリーに共感してもらい、一枚岩になることが出来ました。

ただ、ある時「これ、ヤバいな…」と思うことが続きました。

採用面談の際に、『10年後の未来についてはどうお考えですか?』と聞かれ、自分もCOOの河内も、うまく答えられなかったんです。終わった後に『さっきの、あの答え、何言ってるか訳わからなかった!』とお互いに非難し合ってましたw。

気づけば、未来よりも圧倒的に「過去」を語っている自分たち。これでよいのだろうか?と疑問を持ち始めました。やっぱり未来を語るって、すごく難しいんですよね。

そうこうしている間に、人が増え、事業が進捗していくと、「この先Aという方向に進むはずだ」と思っている人と、「Bでしょ?」という人が出てきます。

そうなると、抽象度の高いミッションだけでは足りなくなってきます。40名を超えた時点で「バラバラの未来図を見ている」という危惧が生まれました。

そもそも、言語化された中長期のビジョンがないと未来のプロダクトロードマップに対する考えにも人によってバラつきが出ます。また、顧客の数も増える中で、『カミナシさんの目指す世界観が知りたい』『どこへ向かっているのか?(自分が望む方向なのか?)』という声も聞こえるようになり…カミナシでもビジョン創ろう!となりました。

なんで小説?

届いてはじめて価値がある

自分が大事にしている考え方として、「どれだけ良いものを作っても、届かなければ価値がない」というものがあります。

素晴らしい考えや、物語、言葉も、見てもらえなければ何の意味もありません。今回も、「数多あるビジョンの中で、どうしたら興味を持ってもらえるか?」という問いが最初にありました。

また、一般的にビジョンって、真面目な文章と写真とかで1枚にまとまっているイメージがあったので、それとは全く違う表現をしたいなーと。

何となく、漫画や小説にしようか?ということを考えていました。

小説にするメリット

今回のnoteで小説にする狙いを書こうと思っていたんですが、津田さんが代わりに説明してくれていましたw。実現したかったのは、「共通言語」を作ることでした。

まさにこの通りです。

未来という超不確実性が高いものを、何となく伝えても解釈の幅が広すぎて、結局同じ一枚絵をイメージできないんですよね。

サービス特性上、カミナシの場合は、特にイメージの統一が難しいと感じています。

数十の業界に対してサービスを提供していて、更にほとんどの人は「現場」にあまり馴染みがありません。

ある現場の、あるユーザーの話を直接聞いたメンバーが…

「みんな!現場のスズキさんのような人たちを、こんな風に幸せにするのがカミナシの未来だよね!」

とか言われても、ほとんどの人はハイコンテキスト過ぎて分かりません。

例え、今いるメンバーに頑張って伝えて何とか理解してもらったとしても、人員が次々に増える中で、新メンバーに伝え続けるのはもはや不可能に近いでしょう。

こうした問題を解決できるのが「小説」という表現方法だと考えました。

カミナシの社員全員が、登場人物の背景や、抱えているペイン、心情を理解した上で、サービスが社会を変えていく物語を追体験できる。その結果、「僕らが幸せにしたいのは誰か?自分たちがの姿勢はどうあるべきか?」理解できるようになる。

冒頭のイラストに描かれたCSの松田や、ユーザーの野口といった名前を出すと、頭の中で同じ絵が浮かぶ。そこに、登場人物の悔しさや、とまどい、喜びといった感情も伝えられるので、強く印象にも残りやすい。

小説を通して、そんな状態を作りたいと考えました。

完成まで(どうやって作ったか?)

ぼんやり小説にしようかな〜とか思っていた中で、たまたま、GCP(グロービス・キャピタル・パートナーズ)の野本さんと、小説家の小野さんが主催する起業家向けのSFプロトタイピングのワークショップに参加する機会がありました。

みなさんと記念撮影

ここで、未来の超短編小説(ショート・ショート)を試しに書いてみたんですが、これがすごく良かったんですよね。野本さん、また再開しようかな〜と言ってたので、興味ある方はぜひご連絡を!

翌日から、自分で2030年の未来を想像して小説を書き始めました。

影でこそこそと書きました

だんだん楽しくなっていまい、気がつけば15,000文字超えの大作に…。流石に読んでもらうのはしんどいだろうな…と考えて、公開できませんでしたw。

もったいないので、その中から未来の場面だけ切り取って、採用面談の中で候補者の方に「これ、よかったら読んでください!」と下書きのリンクをせっせと送っていました。

その後、皆さんから、『とてもイメージが湧いた』『すごくワクワクしました』という声をもらう中で、徐々にいけるかも!?という気持ちになってきました。

そこで、自分のイメージだけではなくて、当時の社員全員にも小説を書いてもらおうと、社員向けに同じワークショップも実施してもらいました(人類が魚しか食べなくなった未来や、焼き鳥職人の技を完コピするAIロボット、企業が国を作る話など多くの「名作」が生まれました!)。

各チームぶっ飛んだ内容を考えていました

ここで書いてもらった小説と自分の書いたものをマージする形で、大枠が決定。最後の仕上げとして、リライトをプロのSF小説家である小野先生に依頼し、完成に至ります。

やはり小説なので、最後は本にしたいという思いがあり、『カミナシBook』という形で全社員に配りました(実物めっちゃ良いのですが、写真じゃ伝わらないのが悲しい…)

MVVをまとめた「カミナシBook」

ビジョンは時代や社会のニーズに合わせて、常に可変するものだと考えているため、即座に変更がしやすいようにルーズリーフ形式にこだわり形にしました。1年に一度は必ず見直しをして、変化し続けるという意思を込めています(ルーズリーフなら一部を変更する際など、冊子に比べて圧倒的に手軽に出来ます)。

このビジョンを形にするため、一歩一歩歩んでいければと思います。


小説の中身についても少しだけ紹介します。

新人の中尾がベテランの野口に失望するシーン

こちらの場面、Twitterでも取り上げていただきました(ありがとうございます!)


MVVへの投資

今回、ビジョンの刷新と合わせてバリューも改定しました。

半年間、ここに自分の時間の約30%を充てました。また、MVVの刷新にあたり予算として、最初に5000万円を確保しました(最終的にそこまでかかりませんでしたが)。

この金額はシリーズAのスタートアップには大きすぎる、と思われるかもしれません。ただ、MVVは誰もが重要だと認識しているにも関わらず、なぜか投資する対象=予算を大きく割いていくイメージを持ちにくいんですよね。

一般的には、資金調達で得た資金の大部分は、人件費やマーケ予算などに使われます。でも、自分は、調達資金の一定部分をMVVへ投資すべきだと考えています。

しっかり予算をかけて社外のリソースや、プロの力を借りることで、間違いなく良いアウトプットになると感じています。そして、出来た内容を「伝える」という段になった時にも、Webサイトに掲載する以外で様々な手段を採ることができます。

シリーズA調達前に、カミナシのミッションとバリュー作ったのですが、その際にかかった費用はトータル数百万円程でした。

当時の僕らには決して安い金額ではありませんでしたが、正直、その効果からすれば「破格中の破格」でした。素晴らしいMVVが、最高の人材を惹き付け、能力を発揮させ、事業の結果につながっていく。僕らがこの2年間のマイルストーンを達成できたのは、間違いなくあの時作ったミッションとバリューのおかげです。会社を作って以来最大の発明と言っていいと思います。


ということで、色々頑張っているのですが、はっきり言ってカミナシのMVVもまだまだです!

CTOの原トリからAWSのValue(Amazonのリーダーシッププリンシプル)を見せてもらった時に、衝撃を受けました。

おそらく、学生時代や起業したての時に読んでも、この凄さは一切、全く、1ミリも分からなかったと思います!自分でも作ってみて、試行錯誤したからこそ見えた、とてつもない差分。

歴史に名前を刻む偉大な会社、世界最高のサービスを提供している会社はこのレベルなのか…と。文言の簡潔さ、それでいて必要な要素は網羅されており、あえて相反する価値観を共存させて綱引きをさせる意図、個々の体現レベルなど…芸術的ともいえる内容でした。

ということで、カミナシも頑張ってますが、まだまだ山頂は遠いです。売上やサービス規模だけではなく、文化の面でも差を感じました。

これまでも、これからも、全社員で磨き続け、いつかAmazonにも劣らないMVVを完成させたいと思います。最高のMVVこそをが、企業の最大の競争力だと信じて。


おわりに

今回は、カミナシの新バリューの内容や、バリュー策定の背景について書きました。

こんなビジョンに共感してくださった方!カミナシでは、ほぼ全ポジションで積極的に採用中です!

※カミナシのビジョンはこちら!

※ビジョンのサマリー版はこちらです!


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諸岡 裕人(カミナシCEO | SaaS)
起業家(SaaS)|株式会社カミナシCEO |2020年6月リリースhttp://kaminashi.jp|シリーズA 11億円調達🚀||IVS Launchpad SaaS優勝|現場DX SaaSでシリーズAからの上場までのグロースを目指すアカウントです