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障害のある子のためのライフプラン

ワイちゃんである。
何とはなしに、もう現役でフロントラインをバリバリ回すというイメージが
湧かなくなってしまったため、これは募集人としてのワイちゃんの遺言みたいなものだと思っていただきたい。
正直、ポスくま芸人であった時分もご存じのとおり、業務停止命令下にあって、募集に携わっていない時期もあったのだから、ミドル・バックに引っ込んだからって、という部分もあったのだが、なんというか、勘所というものを失ってしまった気もしているのである。
お客さまと相対しているからこそ、常に研がれている抜き身の部分は、いくらド底辺とはいえ、少なからずあったわけであるが、やはりこれは前線にいるからこそ身についた部分といえる。

というわけで、忘れる前にいくつか書き残していきたいと思う。
それで誰かの役に立つことができれば、募集人としてみょうりに尽きるというものである。

障害がある子が入れる医療保険

原則、保険加入には健康の告知が必要である。
一般的には、3カ月以内の通院歴や、2~3年以内の、手術・入院歴などを申込時に保険会社へ通告しなくてはならない。
告知しなくていいものは、告知に関する注意文書に限定列挙されている傷病に限られている。例えば、水虫、花粉症などについては告知しなくともいいと書かれているケースがあるが、もちろん保険会社によって異なっており、精神科・小児精神科・小児科に関する通院歴、受診歴は書かざるを得ない。

もちろん、発達障害などが直接、有意に、特に疾病に関する事故発生率が高い、ということは感覚的にない気がしているが、書けばもちろん問答無用で謝絶である。

こうなると親が、わが子に対し保険を入れたいと思うと、方法は二つしかない。
一つは、診断が下りる前に加入すること、もう一つは無選択・緩和告知で入れる保険に加入することである。

例えば幼保入園前などに、少しでも不安を感じる要素があったのであれば、とりあえず加入してしまうというところである。

加入した後に診断が下りる分には問題はない。

一方すでに診断が下りてしまった場合は、無選択・緩和告知型しか選択肢がないというのはあらかじめ知っておいていただきたい。

有名どころでは、ぜんち共済が販売しているぜんちのあんしん保険
ぜんちのあんしん保険|ぜんち共済株式会社 (z-kyosai.com)
コープ共済のたすけあい 子どもの保険緩和型
子どもの保障|わたしと、コープ共済。|コープ共済 公式ホームページ【ケガや病気、災害などを保障する生協の共済】 (coopkyosai.coop)
ジェイアイシーの生活サポート総合補償制度

などがある。どれもそれぞれに特色があるので、是非
リンクをたどっていただきたい。

ワイちゃんがポスくま芸人であったころ、日本最大の代理店であったことから、諸先輩方がお預かりした学資保険の満期手続きを数えきれないほど扱った。
出生前加入制度はなかったのであるから、恐らくは出生後、医師より告知を受けておられた親御様も多かったと思うが、いずれにせよ、満期後の加入が告知の関係でお断りするしかないというご契約もまた多かった。
そのころは、保険なんてそんなもの、残念だけども、という考えであったから、学ぼうともしなかったが、知っていれば、少なくともその親御様方のご不安は解消できていたはずである。
いみじくも募集人たるものは、保障に関するご不安を少なからず解消できるだけの知識や、心遣いを有しておらねばならぬ。
今になって、とても強く思う次第である。

親亡き後について

なぜ、医療保険に対して関心があるのか?
紐解いていけばひとえに親心というしかない。
遺伝性の疾患でない限り、ほとんどのケースにおいて親子の順というものがある。
わが子は、親が亡くなった後どうなるのか?
それは、日々の暮らしであり、時に病であり、あるいは、死後の現預金である。
どれも心配で仕方がない。

さて、こんな話をすると、そんなことないよ、何とかなるよ勢は少なからず存在している。
いわく、施設に入ればお金は障害年金で足りる、いざとなったら生活保護もある、というような意見がほとんどである。

が、考えてみていただきたい。
確かに権利擁護の考えなどは、30年前と比べれば飛躍的に進歩したといえる。
見えないものとして蓋をしてきた時代は終わりを告げたのであるから、ダイバーシティや、インクルージョンの考え方は間違いなく素晴らしい。
一方、介護・医療を含めた行政サービスはどうであろうか。
少なからず、費用負担の面に着目して、30年前より良くなった、という人はいるのだろうか?
当然ながら、日本は少子高齢化の改善の余地もなく、予算における社会保障費のウェートはとどまることを知らない。
もちろん、社会保険負担率の上昇も高止まりである。

間違いなく現役世代の費用負担は限界に近づいてきている。
こうなるととるべき方法は、受診時・サービス利用時の自己負担増か、あるいは給付サービスの切り下げである。
国の方針としては、障害者向けの入所施設は減少傾向にあるし、果たしてこの先、生活保護の水準もこのままであるかという問題が出てくる。
確かに判例でも文化的で健康的な最低限度の生活とはいうが、負担側である現役世代がそれを維持できなくなるような時代が到来した時、いくら温厚な日本人でも破壊的な何かが起こらないと本当に言えるのであろうか?

そういったことも重々織り込んだうえで、本当に何があっても我が子が暮らしていけるのか、という視点は絶対に必要であろうかと思う。

さて、いざ相続となった時、障害がある子にとって何が問題であるのか、という点で考えると、ひとえに意思能力と財産処分の問題が出てくる。
特に意思能力に関しては、不動産登記がかかわってくる場合、成年後見人選任の問題と直結してくるため、特に留意されたい。
なぜなら、およそタンス預金や動産を除けば、名義の変更が必要になるため、書面による手続きが必要となる。
つまり意思能力の有無の確認が必須になってくるのである。
預貯金の相続、保険金の受け取り、不動産の相続登記、どれも書類ごとであり、特に不動産に関しては登記を請け負う司法書士の方から、意思能力や財産分割に関する同意の確認をされることとなる。

そのため、まず大事なことは相続に関しては遺言を残すことがあげられる。
財産の多寡はともかく、遺言状に執行者さえ指定されていれば、執行者が障害のある子に代わって相続手続きを進めることができる。
この点については、障害のある子に限らず、配偶者の認知症を発症するリスクについてもケアしていけるため、夫婦双方で執行者を指定して、どちらが先になっても良いように遺言を残しておくことが望ましい。夫婦、子一人というケースもあるため、信頼できる親族や専門職の方を交えながら組むのが現実的であろうかと思われる。

ただ、一番ケアが必要なのは、子が複数人いるときであり、なおかつ健常児の兄弟がいるケースであると考える。
すべてがそうであるとは言わないが、健常児の兄弟はおくびにも出さずとも何かしらの不満を抱えている。
それは、子供のころからの、障害の兄弟がいるからゆえの我慢であり、あるいは将来にわたっての負債である。
失礼な物言いであることは間違いないが、事実である。
兄弟がいるからこそ結婚できないと、思い詰めている子もいれば、兄弟がいるからこそ県外に出るという選択が取れなかったという子もいる。
子どものころ部活に入りたかったが、兄弟のケアのために我慢した、という子もまたいるだろう。

そんな子が、相談もなしにたとえばこんな遺言を残されたとする。

「長男は不動産(地代2,000万、建物築40年)、預貯金はすべて(3,000万。障害のある)弟へ。兄なんだから弟君をよろしくね」

どうか?

確かに、世間一般の目線から考えれば、障害のある子に大目に残すのは、
ああそうかもしれないね、というものかもしれない。
しかし、かわいそうだし、当然だね、という直接今後のケアに携わらない者の勝手な道徳観に、本当の当事者が拘束されるというのは、とても残酷な話だと思う。

相続において必要なのは、「平等」ではなく「公平」である。兄弟姉妹の信愛にもとづく奉仕ではなく、十分な対価である。

そんなことはない、うちの子は優しいから

そんなできた子もいるかもしれない。
ただ、最後の最後までまともに子供として見られなかった、
差別された、と思う子もいることを記憶の片隅に残しておいていただきたい。

なお、遺言の残し方については、さしだ君さまの
年末の家族が集まる時期に相続について考えてみてはいかがでしょう?(遺言書の例文付き)|さしだ君|note

が、実務に精通された方の目線で書かれているため、書店の遺言に関する本と合わせて通読されたい。

続く




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