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Design Touch 2018に見る「デザインとは…」感

こんにちは,毎度デザイン史したい〜と五月蝿い院生です.論文を書く季節になりましたね….同期にはドーナツ型クッション早めに用意しなよ,と言われる季節です.

タイトルの通りなんですが,昨日は久しぶりに都心に繰り出してDesign Touch 2018に行ってまいりました.
久々のミッドタウンということで,ちょっと夢見ていたあの石のオブジェの穴に入って写真を撮ることができたのですが,彼氏の携帯が天井の吹き抜けからの太陽光に反応してなんだか石の申し子みたいになってました.めっちゃ面白かったので早速インスタグラムとかのプロフィール画像とかに使ってます笑

・TOKYO MIDTOWN AWARD 2018
これは実はこの時期にミッドタウンに行く機会があると毎年見ているものです.まあ,あの開けた待合所みたいなところに並べられてたら見ちゃうよねって感じもするのですが,なかなか力作揃いの面白いものでした.
これ!

これはぶっちぎりで私の中で一番でしたね.見た目だけでなく機能性もあり,パッケージも可愛い.これは確かに人に渡したいと思ったり,お土産にも日頃の感謝にもよし,なんでも使えるしギフトとしても最適なアイデア満載だなあと思いました.
(余談ですが,これを見てから石の所で写真を撮っていたら,直後待ち構えていたかのように彼氏の内定先の同期が名前を呼んで駆け寄ってきたので変な女連れてるよ…みたいな思いさせてしまいました,ごめんね…)
教授がJAGDA会員,しかも今年は運営に関わっているので毎年研究室にこのミッドタウンアワードのコンペのチラシは届くのですが,どうもうちの大学で出している人はいるのだろうか…という感じで学生部門は多摩グラ,桑沢,武蔵美…あとは芸工(現・九大)の印象が強かったです.

・GOOD DESIGN EXHIBITION 2018


さて,昨日は全てがメインという感じだったのですが,これが一応はメインその1という感じでした.彼氏の内定先のグッドデザイン賞受賞製品はCEATECのブースでも拝見しましたが,今回は他の企業の製品であったり様々な物が並んでいるわけですが.
お恥ずかしながら私,ミッドタウンアワードは毎年見ていたくせにグッドデザイン賞受賞展というのは会場も知らず,ネット上の受賞結果しか知らなかったため会場で実際に受賞作品を見るのは初めてでした.誘ってくださった彼氏に感謝です.

う〜ん.
第一印象として,会場がまず広い.学生は学生証提示で無料で見られるのは大きいですね,これはいいこと知りました.そして入ってすぐのホールで色々と作品(この場合は製品?)が並んでおり,実際に触れるものもあるので体験型のものはなかなか楽しめました.
そしてその大きな空間の中に先ほどドーナツ型クッションをオススメしてくれた同期の名前をキャプションに見つけて良かったね,と思いながら記念に写真を撮りながら見ておりました.それは空間自体が賞として受賞していました.
そしてトランスポーテーションデザイン,プロダクト製品,スペースデザインとある中で私が結構疑問というか「へえ〜」となったのは働き方改革やシステムの経営戦略に重点を置いた"デザイン"の受賞作品でした.これについては後述しますが,幅広いジャンルの賞があり,展示スペースはビルの地下と地上4,5階ということで移動も多く,ちょっとグッドデザイン賞の展示なのに人の導線を作る誘導面でのデザインがこれでいいのか感はありました.とにかく歩き回った感じがして少々疲れました…

・PARK PACK

これは楽しかったです.未来の公園とは?ということなのですが,無料配布していたソーセージと六本木に来たからとジャン=ポール・エヴァンのショコラを片手に公園へ.これも昨日のメインその2という感じでした.
彼氏とよく公園に行きますし,彼の研究もこういう空間を扱ったものなので私が行きたいこともあって誘ってみたら面白そうと言ってくださったのでグッドデザイン賞受賞展と日にちの被る日にしたのです.
ソーセージを食べながら眺めていたのは,数あるコンテナのうちの一つの中に映し出されたモニター.現在公園に何人いるか,そしてその人数で何ができるだろうか,というものを提案しているものでした.
実際タッチパネルに触れて183人で「読書」の項目に変更したりしている人もいました.そしてプラスチックのような半透明のものを使って自由に工作してね,というオブジェクトが散乱.子供達だけでなく大人も参加できるものですが,芝生にばら撒かれた結合部の紐がカラフルでした.そして未来の公園はどうなっている?と自由に付箋に書いて,それをイラストレーションにまとめるというコンテナに遭遇.公園とはどういう空間であるべきか
子供の頃遊んでいた公園とは違う,都会のオアシスとも言われるような都心の公園のあり方について夢を膨らませながら,ミラノサローネの展示の一部を見て散歩しておりました.

・スタバで考えた「デザインとは」何か?
夕方だったのですが,わりと彼氏も私もちょっとお疲れ気味だったので富士フィルムの展示を軽く見たものの,スタバで休憩してポケーっとしながらミルクムースのコーヒーをいただいておりました.
意外にも彼が,「ちょっと疲れた,正直グッドデザイン賞のやつが一番なんか…」と発言したので確かに…と思って「そうね〜」と話していました.一体何が私たちを疲れさせたのか.元々遠出する時は気合入れるような私たちなのですが苦笑
グッドデザインと言われるくらいのものを展示しているのに展示会場がこれでは…と思い,受賞作品を考え直してみて考えたこととしてはこんな感じです.

・会場が広くて導線がわかりにくい…
歩きながら見ていたのですが,両サイドに製品があるのでどう見ていったらいいのかがまずわからない.こっち行ったらあっち側見てなかったね,もう一回またここ行かなきゃ…という現象が発生.そして展示品も人も多いのでわたわた.地下見てから,「あれ〜,彼氏の会社のなかったね〜,どこかね?」と二人で首を捻っていたら「地上階の展示ブースは云々〜」とスタッフの方が出口付近で声を上げていました.その地上階への行き方もまた,う〜んという感じでまるで社員用の廊下を歩いているような感じでした.(ここ本当に展示会場の通路で合ってる?感) 地上階での展示は地下よりも狭い部屋で,現物の置けないものはパネル展示,それから製品もスペースの関係上なんとなく窮屈そうでした.音響機器は隣同士に並び,指向性スピーカーではないので音が混ざる
移動だけでかなり疲れました.そして一応カテゴリごとに分かれているという展示スペースも,本当にこの製品てこのカテゴリ?と思うものもありました.

・カテゴリが曖昧

デザインと一口に言っても昔はそれこそ広告媒体やマーケティングにおいて広報のツールの一つとしてのデザインだったのかもしれないのですが,平成時代に突入してからの「デザイン」というものがもの凄く広義的なものになってきているのではないかということでしょうか.
インターネットの普及によってただの広告媒体だけに止まらなくなったデザインは今や美術,マーケティングの世界だけでなくイノベーションやテクノロジーを支援するようなツールにもなりつつあり,一概にデザインというものを定義できなくなってきたのではないかということです.言ってみればグラフィックを扱ってもプロダクトを扱ってもインターフェースをやっていても,全てデザインが絡んでいるのですから全てデザインという分野に収めることができるのです.

・デザインの巨大化
じゃあ広義的って具体的にどうして?っていう話ですが,今回の受賞展を見ていて感じたのは,サービスやシステム,プロジェクトなど具体的に目に見えない"モノ・デザイン"に対しての受賞作品が多かったということです.年々そういうものへの受賞作品の数は増えているそうなのですが,空間的なものはまだわかるとして,例えば越後妻有の大地の芸術祭とかは今年受賞していましたが,あれも対象になるの?という感じでした.そして人事関係のサービスに対してのものやUIデザインに対しても,まあデザインの力によって向上していったものや"グッドデザイン"だったから受賞した,というわけであってそれもデザインといえば確かにデザインではあるけれど,それじゃあデザインはこの先どこまでいくんだ?という漠然とした疑問が浮かびました.

・そうはなってほしくないなあと地味に思うこと
日本は結構流行が好きだなと思ってますし,海外の影響も受けやすいような気もします.島国ゆえの孤立化の防止のようにも見えるのですが,デザイン先進国である海外のものを色々吸収してデザインに対する考え方や価値観を上昇させようという気持ちはとても前向きでいいと思っています.ただ,IKEAに行っても感じることですが,それだけを取り入れてデザインに前向きでしょ?そういうことでしょ?と大きな顔を国としては全然できないと思います.デザインに対する政府の考え方は最近変わってきているとニュースか何かで耳にしましたが,果たして本当に政府はそう考えているだろうかということで,デザイン教育やデザインの力によって引き起こされる影響や教育への貢献を果たして本当に理解した上でデザインという言葉を使えるのか,と.
すみません,よく斜に構えていると言われてるのでこんな見方しかできないのですが,ただ流行りのデザインや流行りのものを取り入れて世界に追いついたというのは錯覚にしか過ぎないのではないかと.なんでもかんでもデザインデザイン言っていればいいというわけではなくて,社会や特定のペルソナでも構いませんが,ターゲットとしている層に対してこういう点で,こういう観点から,こういう目的で"良いデザインである"とか"これはデザインである"と根拠を述べられるものであってほしいなと思います.
デザイナーやデザイン,言葉の格好良さだけが一人歩きしない,本質的なデザインを包括した製品・サービスというものがこれからのデザインを引っ張っていってくれたらいいなと思います.
こうやってまだまだこんな良いデザインのものだって世の中にあるんだぞ,というものを公開する機会は日本ではまだまだ少ないと思うので,グッドデザイン賞はとても画期的で良いと思います.ぜひもっとデザインとは何か,と考えたり議論する機会があれば良いなと思いました.伸び代があるということですかね笑
日本のデザイン界,まだまだ捨てたもんじゃないですね.

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