HSPさんの勉強法

HSPは、勉強とどう向き合っているのか。

わたし自身を含め、周りのHSPの人を見ると、HSPは勉強を頑張る傾向にある、という印象を受ける。

でも、それはわたしの周りの人たちがたまたまそうなのかもしれないし、HSPの気質がいい方向に作用する場合と、そうでない場合があるはずだ。

今回は、わたしというHSPの場合、どのように勉強に向き合ってきたのかを書きたい。

同じような悩みを抱えている方のヒントに少しでもなれば幸いです。

・目標はしっかりと

わたしは、HSP気質のため、特に学生時代は周りとあまり合わなくて、いじめを受けたり、嫌な思いをしたりということが多かった。

その中で、自分に自信を持てて、人にバカにされないしっかりとした「立ち位置」をつくるためには、勉強しかないと思うようになった。

だから、勉強にかける思いが人一倍強かった。

自分のアイデンティティの確立のための主軸だったともいえる。

だから、並の「いい点数」では満足できず、中学では、「5教科平均96程度」、高校では、「学年10位以内」を目標に掲げていた。

この目標を達成できなければ、自分は自分ではないくらいに思い詰めていたので、今考えるとちょっと行き過ぎていたし、もっと柔軟性のある考え方をすべきだったと思う。

でも勉強する上で、この「揺らがない、強い意志に基づいた目標」に関しては、とても大切な要素だったと思う。

わたしのように、「アイデンティティ」の問題にまでする必要はないと本当に思う。

しかし、やっぱり目標を達成して「いい点数」を取ると、モヤモヤしていたものが晴れたり、ちょっと自分に自信が持てるようになったり、そういうポジティブなスイッチが押されることは確かだ。

もちろん、スポーツや芸術など、勉強以外のことで、そういう自信をつけてもいいのだけれど、学生さんにとって勉強はいちばん身近にあって、多かれ少なかれ、ある程度は誰しも取り組まなければならないものだ。

しかも、さまざまなことを学ぶので、どこで自分の「チャンネル」が開かれて、覚醒するかわからない可能性を秘めている。

だから、「自分には向いているものややりたきことが、何も見つからない」という人にこそ、勉強に打ち込むことを考えてみてほしいな、と思う。

そして、自分なりの目標を掲げてから、試験勉強に取り組んでみてほしいな、と思う。

・勉強と計画〜心身の具合とノリに任せる

日々の勉強、定期試験への勉強、受験勉強。

勉強に対して、非常に細かく計画を立て、それを実現してゆく人たちがいる。

すごいと思う。

わたしは、そういう人たちを見ては、よく落ち込んできた。自分は全くそれができず、「計画」というものにとことん向かなかった。

多くの学校で出されるであろう、「試験前の学習計画表」がわたしの学校でも課されていたけれど、計画通りに勉強していたことなど一度もない。

気にならないかと、言われれば、完璧主義な性格から、「なんでいつも、コツコツできないんだろう」と悩んだことも多かった。

自分は、ちゃんと計画通りできる人たちに比べて意志が弱く、根性がないのかと思って自分を責めていた。

しかし、わたしはある時、自分のパターンを分析することにした。

それは、以下のようなものだった。

まず1点目として、わたしは、常にやる気が出なかったり集中力がなかったりするわけではなく、ものすごくムラがあった。その時その時で、猛烈に集中できる時もあれば、全く何も手につかないという時もある、体力と精神状態にものすごい落差が存在していた。

ダメな日は机に座る気すらしないが、スイッチが入れば、ぶっ続けでいくらでも勉強していられるという特性ももっていた。

ただ、2点目として、スイッチが入る日の方が圧倒的に少ないという問題があった。 

猛烈に集中できるスイッチが入るのは、たいてい休日だった。そのときは、極端な場合10時間程度ぶっ続けで勉強をしても、大丈夫だった。むしろ、「のめり込む」性質ももっている自分にとって、中断させられることの方が不快だった。

ただ、平日は、めったにそういう日が訪れない。

学校という、気が合うわけではない大人数の集団に囲まれる場に毎日滞在しなければならないので、学生時代は心身の疲労がすごかったのだ(今から考えれば、HSPだったのだから、あの疲労は当然だ…)。

学校から帰ってきて、もうエネルギーが全く残っていないという日があまりに多かった。

HSPという言葉は知らなかったので、自分を責める代わりにわたしは「疲れやすい」という言葉で、自分の性質を認めた。

翌日もちゃんと学校に行くためだと自分に言い聞かせ、やる気ゼロの日は体力を優先したので、全くといっていいほど、日々の予習復習などしていなかった。

家に帰って、家族と会話をしながらゆっくりとお茶やお菓子を味わい、その頃趣味としていた手芸を楽しみ、好きで見ていたテレビ番組の世界に没頭し… そういった時間がないと、日々の学校のストレスに耐えられなかった。

しかし、試験期間や受験生という時期は、容赦なくやってくる。

わたしは、この2点を踏まえ、どう立ち向かってゆけばいいか考えた。

結論は、「そのままでいいんじゃないか」というものだった。

どうしても、世間的には、「計画的にコツコツ取り組む」がよしとされる。でも、その日の心身の調子が、その日にならないとわからない(しかも、たいてい良くはない)自分にとって、それは不可能に近かった。

毎日、学校という決まった場所に、決まった時間に居なければならないだけで、精一杯だったから。

だから、綿密な計画は立てず、基本、平日はゆっくりし、休日の調子が良いときの波に乗るという、「ノリと気分に任せる勉強法」が最適だった。

結局、これがいちばん、自分の「心身の調子に寄り添う」ということだったのだと思う。

ただ、無計画といっても、「試験に向けてすべきことをあらかじめ書き出す」ということだけはやっていた。

各教科、見直すべき教材のリストアップ、自作テスト作り、そういった「To doリスト」を作り、調子に乗っている日はバンバン勉強して、同じ教科をぶっ続けでも、教科を跨いででも、とにかくリストに上がっているものをつぶしていく。

何をどういう順番でつぶすか、どの教科をいつ勉強するか、などは、一切計画せず、その日の気分で決めた。

数学の波に乗っているときは、その日は数学だけ勉強したりした。

そうすると、その1日だけで、その教科のレベルがぐんと上がった実感があった。

「バランスよく勉強しなさい」と言われるけれど、それもいつも正しいとは言えないと思った。

やがて来る「何もできない日」に備え、とにかく乗っている日はぶっ飛ばす。

リストの項目がつぶされていくのは快感だったし、必要なことをはじめにこうしてリストにしているので、目標にどんどん近づいているという安心感があった。

実は、コツコツ型も、きちんと試してみたこともある。

やれる日に無理をしすぎるから、何もやれない日が来るのかもしれないとも思い、毎日少しずつ、バランスを考えてやっていくよう努力してみた。

でも、ダメだったのだ。体力を温存したとて、何もできない日の来る頻度やその程度に何も変化はなかった。

コツコツやろうとしても、今日はここまでやらなきゃ、というのが、乗らない日には本当に苦痛だったし、無理にやることで余計体調も悪くなった。

やらなかったらやらなかったで、自分を責める気持ちがわいてくる。

また、逆に、調子が良く乗っている日には、計画が足枷になってしまって、勢いが止められている気がして不愉快だった。

結局、毎日計画に沿ってやる「コツコツ型勉強」は、全くわたしに合わなかった。

完全にもう、「コツコツ」は諦めてしまった。

それと同様に、朝、勉強のために早く起きるということも、一度もしたことがない。

わたしは朝に弱い。

完全な夜型というか、その日の勢いを止めないスタイルだったので、自然と深夜に突入してしまうこともあった。

流れができないと、乗れないので、自ら流れを作り出そうとする「勉強のための早起き」は、わたしには無理だった。

これも、試してみようとしたことがあるのだが、そもそも朝が苦手なので(HSPの気質ではそういう人が多いのだろうか?)、早く起きた分その日1日ずっと眠くて体調が思わしくなく、やらないことにしてしまった。

完璧主義だし、前述のとおり、勉強は自分の強みにしたいという並々ならぬ気持ちがあったので、取りたい点数や順位の理想はものすごく高い。

理想ばかり高くて、体と心は、日によってうまく動いてくれたりくれなかったり、気まぐれ。

だから、いい意味でこのような「諦め」をするまでは、とにかく、理想は高いのに思うようにコンスタントに動いてくれない自分が嫌いだった。

でも、このような、いついつどれをどのくらい勉強する、という計画は全く立てずに、やるべきことの全貌とゴールだけを決め、そのプロセスは自分の心身の調子に寄り添うという勉強法は自分に合っていたらしく、思い切ってそれでいいと割り切ってからは、すごく楽になったし、無理していたとき以上に理想通りの成績をおさめることができた。

たぶん、自分にムチを打ちながら計画的に進めていたら、途中で具合を悪くし、学校に行くこともできなくなっていたかもしれないと思う。

・HSP気質の利用〜想像力を、全部勉強に活かす

HSPは、想像力が豊かな傾向にある。

ワークひとつ見ていても、ここも出るかもしれない、もしこのままの形式じゃなくて、全部英作文問題として出たらどうしよう、本当にできるのか??

そういった不安が押し寄せてくる。

そして、「自分はダメかもしれない」「この前はよかったけれど、それはたまたまで、今回はうまくいかないかもしれない」(この感覚に関しては、わたしは「インポスター症候群も持っているようだ)などと、自分への自信度も低い傾向にあるHSPは、無意識のうちにマイナスなことを考えよう考えようとしてしまう。

わたしは、それを全部勉強内容に取り込むことにした。

「不安なら、それを全て拭い去れ」

をモットーに、「もう、どんな形式で出ても大丈夫」

「これだけやったんだから、これ以上の勉強をして試験を迎える人はそんなにいないはず」

「わたしにできないものは、きっとほとんどの人にとって難しい問題だし、きっとほとんどの人ができない」

と、最終的には自信を無理矢理にでもつける感じで言い聞かせた。

結果、隅々まで勉強したわたしの努力はいつも報われ、自分の高い理想をクリアし続けることができた。

・記憶力〜HSPの高いエピソード記憶を利用

HSPは、エピソード記憶がものすごいとよく聞く。

わたしもそうで、小さい頃のこと、何気ない日常のことなど、日付なども含めあまりに事細かく覚えているため、周りの友だちと同じレベルで思い出話ができたことがほとんどない。

わたしからすれば、

なんでみんな、あんなに心の震える体験をしたのに、そんなに簡単に忘れてしまえるのだろう、

といつも不思議に思う。

わたしは、勉強にもそれを活かすことができたので、中学はもちろん、高校のとんでもない範囲の暗記モノなども、限られた短い期間で恐ろしいほど事細かく覚えることができた。

小テストなども、10分休みや、行きの電車の中でしか勉強したことがない(前日やろうとしても、1日の学校生活で疲れ果てていて、物理的にできないことが多かった)。

わたしは、「書く」ことはほとんどせず、「繰り返し見る、英語は音読する」勉強を続けてきた。

また、読みながら、「へぇ!」「ここはsを書きそうだけどcなんだ」などと、なるべく心を動かしながら読むようにしたり、気づきを実際に声に出したり、家での勉強の休憩時間に、世界史で覚えたことを母に説明したりしていた。

今考えると、それらは全て、「暗記」という作業を、HSPの得意な「エピソード記憶」に変える過程だったように思う。

きっと、HSP気質を持つ人であれば、この力は備わっているのではないかと思うので、「記憶力が、勉強に今ひとつ活かされない」という人も、試してみてほしいな、と思う。

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