親父に虫を押し付けた話
元教習所の先生・三上です。
親父は歴が異常に長いだけの、取次上がりのしがない書店員です。
なのに……フォロワーさんに異様に人気なんだ、なんで?
ジェラスィィ。
▲拡散していただけたおかげで、えらいスキを頂いてしまった前回(多謝)。
今回は、書店関係ねぇぇえ!!www
な、三上が親父に虫を押し付けたお話を2つお届けします。
いずれも、三上が一人暮らしをしていた時、親父を部屋に呼びつけた話になります。
薄情? 知ってる、スマン。
(1)Gを押し付けた話
みんな大嫌い頭文字G。
三上もそんなに好きじゃありません、「せめてもう少し小さければな……」と毎度見るたびに思います(デカイのがいけない気がしてならない)。
私の実家の地域は、家庭ではほとんどGを見かけません。
冬が厳しすぎるからです(ちなみに、実家では冬の朝、飼い猫が「水が凍って飲めない!」とクレームを入れるほど、家の中が寒かったです)。
ただ、三上は生まれが関東で、そこに住んでいた頃Gを見たことはあります。
特段怖いとは子供の頃は思っていませんでした。
で、成人してから関東に引っ越してきて、奴らと再会するようになってから、「もう少し小さければ平気なのに」と思うようになりました。
さて、一人暮らしをしていた頃です。
職場から帰ってきて洗濯物を取り込んだ際、アブのような虫が部屋の中に入り込んできました。
「羽音がやかましいな……」
怖くはなかったんですが、電気の周りをブンブカ飛んでうるさいので、駆除しようと思い立ちました。
その時、手持ちにあったのがこちらのスプレー。
レビューを読むと、ナナフシとかも駆除できるようです。
▲レビューを読み、G以外の虫にも有効と知って購入しました。
これを取り出して、天井付近でブンブカしている虫に吹きかけました。
その虫はすぐ落ちてきましたので、そのまま外へ出しました。
その後、換気して薬剤が落ちたあたりの床を拭いて、洗濯物を畳み、夕飯を食べていました。
すると、
ぼて。
と、何かが天井から落下した音が、テーブルから1m先ぐらいの位置から響きました。
「あん?」
と思ってそちらを見やると、5cmぐらいのG様が逆さまになって大暴れしているではありませんか。
「×※○♨︎!?!!?!!」
悲鳴をあげました。
しかもそいつ、暴れているうちに起き上がって、走り回ったりするんです。
夕食を慌ててキッチンへ退避させ、三上はもう一度あのスプレーを取り出します。
しかし、こいつ、遅効性なんです。
Gが潜伏していそうな場所に散布すると、翌日ぐらいに奴らが明るいところに出てきてひっくり返るのがウリの代物なんで。
しかし、即効性のあるスプレーを持っていなかった三上は、これを使うしか手段がない。
ギャーギャー言いながら噴霧し、Gはひっくり返っては起き上がり、バタバタ暴れながらあちこちを彷徨います。
「せめてお前もう少し小さくなれよ!!
勘弁してくれぇぇえ!!!」
と絶叫しながら、30分ほどスプレーを浴びせていましたら、Gがヒクヒクし始めました。
よし、仕留めた。
しかし、こいつを捕獲する勇気がない。
しばらく沈黙した末、自転車で10分の距離に住んでいた親父に電話しました。
「親父、すまん」
「あー、どうした?」
「Gがでた」
「夏だから出るだろう」
「スプレーで多分仕留めた」
「それで?」
「死骸の回収が気持ち悪くてできん」
親父はもちろん即答しました。
「自分でやれ」
「後生だよぉぉぉ」
三上があまりに情けない声を出すので、「仕方ねぇな」と親父はロードバイクを飛ばしてやってきました。
「どれだ」
「これだ」
私がオイルヒーターの下でヒクヒクしているGを指さすと、ティッシュを掴んだ親父がジップロックの中にそいつを収めました。
「こんなんで呼ぶな!」
「すんません」
私は頭を下げ、お詫びにと親父に近所のコンビニで好きなものを奢ることにしました。
余談ですが、この顛末を郵便配達員の友達にメールで送信した際、私のスマホ様は、
「実父ロック」
という神変換を行いました。
うん、ある意味合っている。
(2)ヤモリを押し付けた話
一人暮らしをしていたときの部屋は、ヤモリも結構出現しました。
外壁にじゃないですよ、室内でですよ。
引っ越しの翌日、冷蔵庫の上にいらっしゃった時は唖然としました。
とってもすばしっこいので逃げられてしまい、「まぁ虫を食べてくれるからいいか」と思いつつ「でも排泄するよね、となるとやっぱり外に行ってもらえた方がいいな」などと考えていました。
結局そいつは、帰宅した私が洗濯物を取り込もうとカーテンを引っ張った際、カーテンレールから落下して自分で外へ出ていきました。
2度目に遭遇したのは、それから1ヶ月ぐらい経過してから。
現在の同居人が遊びにきていた時、ナチュラルに流しにいらっしゃいました。
幸いちょいと弱っていたので、同居人が捕まえて外へ出してくれました。
で、3度目。
これは結構嫌な形で遭遇しました。
朝、洗濯機から洗濯物を取り出している時です。
洗濯槽に、何やら黒くて細長い物体がくっついているのに気づきました。
「あん?」
と思って顔を近づけたら、首がちぎれているヤモリでした。
どうやらヤモリがいると知らずに洗濯機を回してしまい、首だけがちぎれてしまった模様(頭はおそらく糸くずネットにin)。
ぎゃぁぁぁと悲鳴をあげつつ、「頭がなくても吸盤でくっついていられるのか」と脳裏の片隅で感心していた自分もいました。
結局、ヤモリはジップロックに入れて、職場の敷地内に埋葬しました(脊椎動物相手だと、捨てることはなんとなく憚られました)。
その翌日は休みで、部屋の掃除をしていました。
袖机を動かしたら、なんと、昨日埋葬したヤモリとそっくりなヤモリが。
「は?」
目を見張る三上、逃げるヤモリ。
追いかけましたが、すばしっこくて、体育の授業が終わって10年以上経過した三上の鈍臭さではついていけません。
しばし考え、ダメもとで親父に電話しました。
たまたま父も休みだったらしく、すぐに電話に出ました。
「親父、済まん」
「どうした?」
「ヤモリがでた」
「どこに?」
「部屋」
「益虫だぞ、放っておけ」
「虫を食べてくれるのはありがたいんだが、排泄物で部屋を汚されても困る」
「あぁ、確かにな」
「で、はしっこくて捕まえられんのよ」
「わかった、行ってやる」
再び親父は、ロードバイクを飛ばして部屋まで来てくれました。
「すまんの」
「どこにいるんだ?」
「机の周辺」
親父は部屋に上がると、袖机をどかしました。
すると、ヤモリがやはり隠れていました。
「ティッシュくれ」
「はいよ」
ティッシュを渡すと、親父は構え、ものの1分程度でヤモリを捕獲しました。
「ほらよ」
「早っ」
なんでそんなに早く動けるんだ親父。
逆に自分の鈍臭さが強調されたじゃないか。
「ほぉー、可愛い顔してんじゃないの」
親父はティッシュに包まれたヤモリを見ながらニコニコしています。
この人も小さい頃はいろんな虫を捕まえていたんだろうな、とその無駄のない動きから察しました。
単にハンター的経験値の差だった。
「どうする?」
「外出しといてもらっていい?」
親父は窓を開けて、ヤモリを外へ出しました。
「元気に過ごせよ」
その後、親父とお茶をしながら調べて判明したのですが。
ヤモリって1度に2個卵を生むそうです。
おそらく、部屋の中で母ヤモリが産卵なさったのではないかと……洗濯機で死んだ個体と、机に隠れていた個体は兄弟なんだろうなぁと推測を立てました。
ただ、ヤモリの卵、白くて硬いからに包まれているはずなんで、「産卵されたら流石に気づくだろ」と思うんですが……どっから入ったんだあいつら。
*
というわけで、一人暮らしの頃は、親父を無理やり呼びつけては虫を押し付けていた三上でございました。
親不孝ですみません。
それでも毎度来てくれた親父には頭が上がりません……
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