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集まることでうまれるもの(上町しぜんの国園内勉強会02 記:青山誠)

どうも、上町しぜんの国保育園の青山誠です。

上町しぜんの国園内勉強会の第二回目は、板垣さんの実践発表でした。

板垣さんのほうから「集まることでうまれるもの」というテーマがだされ、異年齢集団(上町しぜんの国は0から5歳の異年齢集団での保育を行っています)でのさまざまな「集まる」場面が提出され、その場面をもとに対話をしてみました。

アーカイブは後日あがりますので、対話の詳細はそちらに譲ります。
簡単にどのような「集まる」場面が提出されたかというと、
・異年齢集団 ひとつのイメージを共有しながら遊んだ場面
・異年齢集団 棚からジャンプしている子たち(2〜4歳)のところへ、0才児がにこにこ寄ってきた場面。当然、ジャンプはできないのだが、楽しそう。ジャンプしている子達も、「どいてよー」と言いつつ、しょうがないなぁという感じで笑っている。
・同年齢集団 1歳の子たちが、ソファーにつかまって、体を揺らしている場面
・同年齢集団 4,5歳の「おまつりごっこ」のなかで、イメージのずれからケンカになった場面

会場からは
・異年齢同年齢というフレーム以外で見てみたら?
・同年齢の間柄は線的、異年齢の集団での場はまるで液状
・(子どもが自然と)集まると(おとなが)集める、は違う
などなど

私個人としては、
・同年齢、異年齢のフレーム以外で見るというのは重要な指摘だが、同時に実際には年齢というのは消えるものでもない。あえて年齢集団の区分で見てみよう、というのをはずしてしまうと、今回の問いは成り立たないのではないか。なので、はずして、また戻して、という作業が必要な気がした。
・同年齢はなにかを「する」ことを通じて、共鳴共振をくりかえす。
・年齢があがれば、さらに意図的に自分たちの間柄をつくったり、言葉にして「おれたち、〇〇歳だよなー、〇〇組だよなー」というように意識を固めていく。
・だからこそ、イメージのずれ(同年齢集団でのケンカ)で、同感がくずれ、葛藤を経て、共感(自分の気持とのちがい、相手が他者であるという発見)へと到る。

まあ、ここまではなんとなくつかめたのですが、問題は液状化のほうです。
いちばん簡単な理解は、赤ちゃんの「自他未分」に場が包まれているということでしょう。でもその説明で終わってもつまらないので、あえて「する」方に注目して考えてみたいと思います。

異年齢集団では、同じことをしているようでも、同じようなイメージや遊びの理解、意図のもとに、同じ場にいるわけではありません。
0才児は、大きい子たちの「楽しそうな雰囲気」にひきこまれて、自分も同じように遊びに参加しにきますが、大きい子たちからすれば「もう〜」ということにもなります。
(ジャンプの場面では、着地のための布団を0才児が畳んでしまう)

つまり「する」ことにずれが生じつづけます。
これは、たとえば4,5歳の「おまつりごっこ」のときのように、「おまつり」という一つのイメージから、それぞれが「魚くじ屋」「バーベキュー屋」「ぬりえ屋」「だんご屋」「チケット係」とさまざまに遊びが分化していくこととはまたちがいます。

最後のほうで、「時間を共有することと、空間を共有することはちがう。空間を共有していても(同じ場所にいても)、時間を共有している(夕日を見ながら「あー、暮れていくねぇ」みたいな感じ)とは限らない」と私から投げかけました。
それから、あえてこれはもうほぼ上町の職員に向かって、「上町って時間を共有するのがむずかしいでしょう」と投げました。うんうん、うなづく職員たち。あのねぇ、きみらねぇ、と口から出かかりましたがやめました。

「する」にずれが生じ続ける場合、さまざまに起こる「する」や、そのずれに追い回されている限り、時間を共有するのは不可能でしょう。たまたまの機会を待つしかありません。
たまたまの機会でいちばん多いのは自然の事象でしょうか。
とても暑いとか、ふいに驟雨がおそうとか。
そのつぎは、園ならお昼ごはんでしょうか。たまたまのカレーを待ってもいいかもしれません。カレーの匂いにみんなが引き寄せられるわけです。

異年齢集団のほうの液状化を、「いる」とすると、この「いる」はタダではやってこないわけです。むしろ、「する」がずれつづけるわけですから、慌ただしくなるはずです。無策なら。

集まることでうまれるもの。
それは共振共鳴かもしれません。
線的な間柄かもしれないし、葛藤かもしれません。

上町としては、どのように時間の共有を生じさせるか、そこを考える必要があるよね?という投げかけで終わりました。

苦労はだれでもするわけです。努力は、計算ドリルみたいな他者からの苦役ではなく、工夫の発明です。私達は時間を発明する必要があります。
そんな一席でございました。

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