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大学入試から見た埼玉県の高校


1.前提:高校3年間の時間的価値

中高一貫の学校が当たり前になり、高校や大学入試の方式も推薦を含む多様なスキームが増えたのう。とはいえ、6-3-3は日本の教育制度の基本であり、高校の3年間は義務教育を終えた直後の高等教育の入り口としての役割を与えられておる。この3年間の捉え方は、生徒さんや親御さんによって三者三様じゃろうな。

  • ディスにーランドだ!校則うぜぇ。金足りないからバイトだ。

  • 部活に全力投球。出来るならスポーツ推薦だな。

  • 良い大学に入りたいから勉強中心で効率よく過ごそう。

最初のパターンは、とっとと働いた方が全ての関係者に win-winじゃと言いたいが、w。また、偏差値の高い大学やその先の一流企業的な視点だけで考えれば、むしろ高校には行かず、予備校か〇田塾みたいなところで勉強するか、早々に中高一貫に入学しておくべきじゃったかもしれんな。

しかし、高校生として過ごす3年間は勉強以外の人間力を形成する上で、中学校以上に子供の人格形成に重要で、かつ大学や社会で流されない自分の核を持つ強さを育む時期でもあると考えておる。それは学校行事や部活、恋愛や人間関係、そして受験勉強を通じた己との戦いと、そこを通じて見えてくる依然として漠然とした、しかし少しだけ現実味を帯びた自分の「なりたい像」を形成する過程ともいえるのじゃないかのう。

そう考えると、高校生活に効率だけを求めたり、志望校選びに進学実績を重視するキセルのような高校選びはして欲しくないのじゃ。特に上のお子さんがいる親御さんなどは、指定校推薦とかいう健全な競争心や克己心をそいで、人間力を弱めたり曲げてしまうような商業制度に迎合してしまわぬように。敢えて偏差値の低い高校を志望して大学に推薦で行きやすいようにすることが、この高校3年間の貴重な時間と環境(周りの同級生のモチベーション)にどれだけの差を生み、また本人の自立・自律する力を歪めるリスクがあるのかのう。

と、ひとしきりネガティブな前提を話したところで、大学入試から見た埼玉県の高校選びについて考えてみたい。上記の趣旨からも、AO入試や指定校推薦などのケースではなく、あくまでも一般入試を想定しておる。

2.東大・京大・医学部医学科の可能性

まず東大、京大、国公立の医学部医学科に可能性を残す高校選びとなると、対象となる埼玉県内の高校は限定的じゃな。県立高校でいうと、浦和高校や大宮高校(理数科・普通科)に入学して、その中で学年順位が50番以内をキープできるようであれば現役で進学できる可能性がある。浦高の場合には学年順位が真ん中以下であっても、1浪することで医学部や東大に合格する例も普通にある。原石の違いじゃな。このレベルの合格者は努力さえすれば誰でもというわけではなく、高校入学までの学力やDNA的な能力もあるような気がするがのう。

私立高校の場合は栄東高校になるが、合格実績のうちの東大や京大、医学部については多くが中高一貫の生徒ではないかと思われる。こうした学校は中学校の後半で高校の学習内容を履修しており、高校時代も学校が予備校的に学習支援を行っている。

上記以外の高校(例えば、浦和一女、市立浦和、川越、川女等)でも合格実績はあるが、各学校で一桁番台の成績を収めるトップ集団のみに可能性があるような状況じゃ。また、多くの生徒さんは早い段階で現役生向けの予備校や塾に通っていることと思う(浦高や一女などは、学校として予備校通いを否定していて、実際に多くの生徒さんが自学自習の精神で現役合格を勝ち得ておる)。

3.旧帝・難関国立大学の可能性

北海道大学や東北大学などの旧帝と呼ばれる国立大学や、地方の教員養成を主眼とする歴史を持つ国公立大学の一部を除く難関国公立大学(筑波大学、横浜国立大学等)への可能性を考えると、埼玉県内の高校の幅は広がる。高校入試で学校選択問題を採用しているような学校であれば、頑張り次第で十分にこうした大学に現役合格を果たすことが可能じゃ。具体的には市立浦和、春日部、浦和西、蕨などになってくる。

私立高校の場合は高入生と一貫生の分離が難しいが、やはり栄東、開智、大宮開成、淑徳与野のような公立高校トップクラスの滑り止めとなるような高校であれば、可能性があると考えて良いじゃろう。

4.地方国立大学の可能性

一般入試で国公立大学に進学する可能性は、埼玉県の公立高校で考えると、これも学校選択問題を採用する学校が条件となるじゃろう。大宮北高校などが、そのボーダーにあたってくる。逆に選択問題ではない伊奈学園などからも可能性はあるかも知れんが、この学校は市立浦和と同じく中高一貫を併設しているので、高入生での入学を考えると微妙じゃな。対象になる大学は埼玉県からの通学を考えると宇都宮大学や群馬大学(もちろん医学部医学科は除外じゃな)、茨城大学(自宅通学は無理かのう)などになってくるかのう。最近は埼玉大学もなかなか難しいでな。

私立高校は3.と同じような学校じゃな。埼玉県内の私立高校は、各校ともに特待生クラスがあるので、最上位の生徒さんは平均的な学校の偏差値では表現が難しい。そうした意味では浦和実業や春日部共栄のような学校から、トップ層が国公立大学に進学するケースもある。一般受験なのかどうかということと、これは誰でも成しうるメジャーなケースではないことには留意が必要じゃな。

5.私立大学への可能性

神の国はお金をかけない自立した勉強を是としていることから、高校も大学も私立には重きを置いていない、w。特に大学で理系分野を学びたい気骨のある生徒さんであれば、志望大学に私立を選ぶ蓋然性は限りなく低い。国立大学の施設や教員の充実度、学費の面などから考えても理系は国公立大学を目指すべきなのは明らかじゃからな。大学の看板ではなく、何に興味を持ち、何を研究してきたのかで将来を切り開けるのが神の国の理想じゃ。

私立大学(特に文系)の場合には、何を勉強するのかという視点以上に、どこの大学の何学部に入れるのかという学歴厨的な視点が大きいのではないかのう。それが故に、エスカレーター方式の系列高校に入学をさせる家庭も多いわけで。これは偏差値の競争が、そのまま就職できる会社のランクに置き換わった日本的なシステムの上にある思考停止的なルートともいえる。個人的には、最終学府で思いっきり自分の興味・関心がある事項を広く・深く学び、苦労して論文を書きあげる経験をして欲しいとは思う。それが大学名という看板の価値観だけを刷り込まれた子供たちの場合、その後の人生がどうなるのか少し冷静に考えてみてはと思う。まあ親世代としては、銀行や一部上場企業に入ったら幸せという昭和的な発想から「夢はユーチューバー」を超えて「インスタで集客する」という社会に、なかなかついていけないのも事実じゃがのう、w

それはさておき、埼玉県の公立高校で選択問題を採用している学校であれば、指定校推薦なども含めて、いわゆる早慶MARCHの可能性はある。とくに私大の場合には、早々に必要な教科を絞り込めるので、選択と集中を行うことで、下手に国公立を狙う上位校の生徒よりも結果を出しやすい側面があるじゃろう。ただし、共通テストを含む幅広い知識と学習経験は、2教科や3教科しか勉強しなかった生徒の地頭とは異なって来ることも考慮したい。社会に出てからの人間力の器が変って来る。効率よく生き抜いていくのも良いが、全能の神を目指して欲しい身としては面白くないな。

ということで、埼玉県の高校選びをする際に、一般入試で国公立大学を目指すのであれば、少なくとも選択問題採用の公立高校か、私立の上位校への入学が前提条件のようになってくることがわかるのう。もちろん、高校へ入学してからの逆転は生徒さん次第じゃし子供の可能性は無限大じゃが、過去の実績や各学校のボリューム層で考えると、やはり選択した高校で将来(大学)の可能性は広がったり狭まったりするものじゃな。じゃやからこそ、ぎりぎりまで埼玉県の公立高校で高望みをして欲しい。健闘を祈る(神様が祈るのもおかしな話じゃが)。

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