親切な暗殺#毎週ショートショートnote
21××年、地球上のとある国では高齢化社会に悩まされていた。65歳以上の人口が全人類の70%を超え、働き手は少なくなり、医療費や社会保障費が足りなくなり、国自体が存亡の危機に晒されていた。
「大統領、高齢化問題ですが、どのように対応しましょう。このままでは国家が破産してしまいます。何か早急に手を打たないと・・・」
「大統領補佐官、賢者は歴史に学ぶというだろう。よく考えたまえ。それが君の仕事であろう」
「社会保障費を上げましょうか?」
「何をいっている。それでは選挙に勝てないだろう。歴史に学べと言っているだろうが。弱毒なウイルスをばら撒き、そのワクチンと称して薬をつくり、高齢者から順に接種させればよい。ワクチンには死に至る何かを含ませておけばよい。ハハハ。私は高齢だが接種しないがね、百年前は自然発生だったが、それを作り出せばいいのだよ」
「それでは、親切な暗殺ではないですか」
「止むを得んだろう」
ポスッ!補佐官の手元から硝煙があがり、大統領が前のめりに倒れた。