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理科室まがった(由美編)(#毎週ショートショート)

「理科室まがったとこで待ってるね」
「わかった、クラスルーム終わったらいくね」
亜美といつも通りのやりとり。クラスは違うけど小4から5年間の親友。
放課後、理科室まがったところにある屋上につながる階段でドラマとか推しのアイドルの話とか進路とか将来の夢とか他愛のない話をする。ほぼ毎日の日課だ。

(亜美遅いなあ、何してるんだろう)
亜美のクラスの様子を見に行った。なんか男子が揉めているみたいだ。亜美は退屈そうにあくびしている。
(長引きそうだな、今日は雨も降りそうだし、網に悪いけど帰ってもいいかな)
向こうからもの凄いスピードのクルマがくる。
交差点を渡ろうとしたとき、トラックとクルマがぶつかった。ガシャン!
「えっ!」
(明日も亜美と話できなくなるの・・・)

それから、30年亜美は夢を叶えて、中学校の先生になった。
こんなに嬉しいことはない。親友は頑張って夢を叶えたのだ。
亜美は先生になった今でも放課後に理科室まがったとこに毎日来てくれてる。
前みたいに話はできないけど、ありがとう。


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