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あの扉の向こうに『いつの日かの下書き』

あの扉の向こうには


部屋を整理していると

引き出しに古いノートが見つかる

メモ書きのような

雑に走り書きされた文字のページと

挟まった封筒と便箋にあの子の名前

生まれて初めて書いた

あの子へのラブレターを思い出す。

恥ずかしがり屋の性格で

好きな子にはちょっと意地悪くをする

典型的な男子がボク

勉強ができて可愛くて、更に面白い

人気者だったのがあの子。

家が近い事もあって

小学生の頃まではよく遊んでたっけ

ボクが出した最初で最後のラブレター

その『いつの日かの下書き』があった。

なんだか
なつかしさと恥ずかしさで

頭の中の妄想が一杯になっていると

「片付いた?」と

少しお腹が膨らんできた

あの子が呼ぶ声がする

慌てて下書きを隠し

何食わぬ顔で片づけを再開してみせる

「お茶が入ったよ」と続く

あのラブレターがあったから

新しい命が生まれてくる

今更、これを見せる事もないけど

読まれると恥ずかしく

捨てる事も出来ない下書きを

そっと引き出しに仕舞い込み

ボクはあの子のいる下の階へと

急いで降りていく

アイツが淹れてくれた

最高のコーヒーを取りに



そんな『いつの日かの下書き』が紡いだ幸せの物語。。

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