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【読書日記】12/21 寒い冬至になりました。「おひさまパン/エリサ・クレヴェン」

おひさまパン
エリサ・クレヴェン (作絵),江国 香織 (訳)
金の星社

冬至です。
昼の短い一日。
お天気が悪くて寒かったせいもありますが、ことさらどんよりと感じました。
夏にはあんなに疎ましく思った太陽が恋しくなるのだから勝手なものです。

そんな日には「おひさまパン」

ゆきまじりのかぜがびゅうびゅうふいて、ながれおちるあめは あちこちで はねてうずまき、せかいいじゅうの いろといういろを うばってしまったかのようです

今日みたいな日がちょうどそんな感じ

地上の生き物たちの気持ちまでうんざり灰色

さむーいさむーい 町も人も


そんななかで、白いエプロンにぼうしのパン屋さんは「おひさまあじのとくべつパンをやきましょう」とはりきります。

できあがったのは大きなおひさまいろのパン。
らくえんからただよってくるみたいないいにおい」に、みんなが集まってきます。
パン屋さんはみんなにおひさまパンをふるまいます。

けんかしていたものたちもなかよく分け合って食べる

パンはかがやかしく こころうきたつようなあたたかなあじがして
たべると からだのなかが なつになるみたい
なんてふっくら なんてすてき
みんな じぶんたちが かがやきだしたきがしました

おなかがいっぱいになると 力が満ちてきます

みんなは浮かれてうたったりおどったり。
すると、ほんもののおひさまも目を覚ましました!
「パンをすこしいかが?」
パン屋さんたちはおひさまにパンをちぎってなげあげます。
そのパンをたいらげたおひさまは、すっかり力を取り戻しすみからすみまであたためてくれました。

おひさま おかえり

動物たちの表情も豊かで、楽しく、満たされた気持ちになる絵本です。

私は、みんなでパンを食べる場面が好きです。

食べ物を分かち合うのは生きる糧をわけあうこと
この場で共に生きるという思いをたしかめあうこと

今日は、忘年会でした。
私は、元々人付き合いが下手なので本当のところをいうと家で本を読んでいる方が良いというクチです。
ただ、やはり飲食を共にして、直接仕事とは関係のない話をすることは、名詞の情報だけだった相手に息が通うような気がして、これはこれでよいものだと思います。
しかし、なけなしの社交性を総動員しているので、どっと疲れが出ます。

絵本を眺めて、ゆっくり柚子湯にでもつかりましょう。
明日からはまた、すこしずつお日様がもどってきますね。

さあ、パンをどうぞ