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【読書日記】6/17 和菓子に関連して。「和菓子を愛した人たち」「ちょちょら」「三月のライオン」等

昨日は、和菓子の日でした。
甘いものが食べたくなったのですが、さすがに夜中に甘いものを食べてしまうと何かと不都合な年代なので、我慢して和菓子に関係する本などを眺めておりました。

「和菓子を愛した人たち」虎屋文庫編著 山川出版

あの羊羹のとらやさんのホームページの連載や、お菓子資料室である虎屋文庫が開催した展示の内容をもとに書籍化した本。帯には「天下人・文豪・市井に生きる人たちの誰にでも思い出に残る和菓子がある」と記載されています。
掲載されているエピソードはバラエティに富んでいるのですが、それもそのはず虎屋文庫のスタッフさんたちの好みによるらしく、茶道を嗜む方は茶人、日本史専門の方は戦国武将、文学好きは作家、と守備範囲がそれぞれで、読んでいる方はそれも楽しいところ。
平安から近現代まで時代も幅広いのですが、幕末ロシアのゴンチャロフが来日したときに提供された和菓子とロシア側からの引き出物が絵入りに載っていたりして興味深いです。
また、「徳川家康と嘉定菓子」として、三方ヶ原の戦いでの逸話を紹介しています。
戦の前、戦勝祈願の場で「嘉定通宝」を拾い、縁起がよいと喜んだ家康。この時に家臣に配られたのが六種類の菓子(饅頭、羊羹、鶉焼、寄水、金飩、あこや)だったそうです。ご存じの通り戦は大敗しますが、その後も嘉定の行事は行われたようです。
あわせて、江戸時代に徐々に華やかな行事になっていき、五代将軍綱吉のころには、大名が登城して用意されたお菓子を賜る行事になっていったこともかかれています。

ちょちょら 畠中恵 新潮社

六月十六日の江戸城の「嘉祥菓子」が印象的な小説が「ちょちょら」
優秀な兄の急死を受けてとある藩の江戸留守居役を引き継いだ若者。優秀な兄と比べられながら幕府と藩の橋渡し役として奮闘する。大名はどこも財政状態が悪いことは以前に「大名倒産」で見た通り。藩にとって致命的な打撃となる「お手伝普請」を回避するための手立てはあるのか?という話なのですが、この中で嘉祥菓子が重要なアイテムになるのです。
 と、書いていますが、実は内容うろ覚え。これは新聞連載小説だったので、その時に読んだきりになってしまっているのです。
色々忘れているのですが、江戸城の広間で大名たちが雁首揃えてお菓子を賜るという行事を想像して面白いな~と記憶に残っていたのでした。
なお、「ちょちょら」とは、口先だけの世辞・でまかせを言うこと。また,そのような人をさすそうです。

「三月のライオン」羽海野チカ 講談社。

将棋漫画ですが、中学生で棋士になった桐山零(16巻時点で高三)がその孤独な魂の拠り所とした下町の川本家。
川本家の三姉妹(あかりさん、ひなたちゃん、ももちゃん)を支えるおじいさんが和菓子屋さんを営んでいるのです。将棋の世界の話も興味深いのですが、川本家との交流のエピソードが素敵なのです。
次女のひなたちゃん(同高一)は、将来和菓子に係る仕事をすることを望んでいて、かけ紙を自作したり、新作和菓子(ふくふくだるま)を考えたり、お祭りで白玉の屋台(梅シロップやショウガシロップ等)を出したり、最近では新たな展開も構想したりしている模様。それがまた、おいしそうなんです。

3月のライオンオフィシャルファンブックより
ふくふくだるまと全部のっけ蜜豆


また、三姉妹が甘味処に行き、蜜豆に、あんこ、生クリーム、アンズ、栗、抹茶ババロア、白玉、各種アイスとどんどんどんどんトッピングしていくシーン、さらに磯辺焼きや力うどんを追加して「甘いもの」「しょっぱいもの」という食のループに陥っているところなど、見ていて嬉しくなってきます。
厳しい勝負の世界と心温まる人々との交流の場面の甘辛、川本家をめぐる事情の甘辛、物語はやはりこの両方があってこそ魅力的で、こちらも無限にループしてしまいます。

今日は美味しい読書、でした。

同じくオフィシャルファンブックよりももちゃん考案錦玉羹