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【読書日記】5/27 氷菓がうれしい季節。「300年まえから伝わるとびきりおいしいデザート/ジェンキンス」

300年まえから伝わるとびきりおいしいデザート
 エミリー・ジェンキンス 文 ソフィー・ブラッコール 絵 横山 和江 (訳)あすなろ書房

5月も終わりが近づき、梅雨入りも間近となってきました。湿気が多く蒸し暑さを感じるようになったので、冷たいものが欲しくなります。
それは、昔から変わらないようで、300年前のイギリスで冷たいデザートが誕生しました。
ブラックベリー・フールは、ブラックベリーとクリームを混ぜて冷やしたお菓子なのですが、それを作っている様子を時代と場所を変えて紹介していく絵本です。

1.1710年 イギリスのライム

野原でブラックベリーを摘み、飼っている牛から絞った乳から作るクリームと小枝を束ねたものでかきまぜて、あなぐらの氷貯蔵庫で冷やす

2.1810年 アメリカサウスカロライナ チャールストン

農場のブラックベリーと近くの牧場から運ばれてくる生クリームをブリキの泡だて器でまぜて、地下室にある木の箱(鉛の板とコルクで断熱)に入れて氷で冷やす

3.1910年 マサチューセツ ボストン

市場で購入したブラックベリーと玄関に配達される生クリームをハンドル式の鉄の泡だて器でまぜて木でできた冷蔵庫で冷やす

4.2010年 カリフォルニア サンディエゴ

スーパーマーケットで 紙箱いりのブラックベリーと低温殺菌された生クリームを買い、電動泡だて器やフードプロセッサーであっという間にかき混ぜて冷蔵庫へ。

300年


筋立ては単純なのですが、見比べると考えさせられることがたくさんあります。
時代考証をしっかりとしてイラストを描いているので、住まいの様子、道具、衣装などが時代と共に移り変わっていくのがよくわかります。
特に、ブラックベリーフールを作る重要な小道具の泡だて器、あの見慣れたイチジク型の泡だて器だって最初からあの形だったわけではないのですよね。
 また、最初はすべて自分たちで賄っていた材料がだんだんお店で買うようになる自給自足から市場経済へと移行する様子、材料を買う場所が市場や小規模の個人商店から大規模な企業のスーパーマーケットへと変わっていく過程に注目しても面白いかもしれません。
 さらに、ブラックベリー・フールを料理するのはだれか、という視点。2010年では、初めて男性が登場します。

 他にも見る人ごとの年齢や立場で異なる視点があるのではないかと思うので、親子や友人でどんなことに気付いたかお話ししても楽しいかもしれません。
 もちろん、お好みのアイスやジェラートをお供にして!

ああ、本当にアイスが食べたくなってきました。