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【読書日記】3/9 静かに過ごしたい夜に。「ソナチネの木/岸田衿子 安野光雅」
ソナチネの木
岸田衿子 安野光雅 青土社
小鳥が一つずつ
音をくわえて とまった木
その木を
ソナチネの木 という
この一節から始まる岸田衿子さんの詩。
その詩を彩る安野光雅さんの繊細であり大胆な遊び心にあふれた絵
文字も、時に逆さまになり、風に吹かれたかのようなねじれを見せる
詩に合わせた挿画だけれども、絵に合わせて詩が綴られたのかと錯覚させるほど、お互いがお互いを必要として響きあう
歌と伴奏?それとも二重奏?
タイトルは「ソナチネ」だけど、美しくも哀調を帯びた雅楽の趣きがある。
うしなったもの、さがしているもの 手に入らないもの 去ってゆくものをうたう、魂がもうひとつの魂に向けたやさしいなつかしい恋歌。
二人のうち一人が
旅に出てから
一本の木に 木蔭はなくなり
水たまりに 雲はうつらなくなった
詩は、言葉で綴られて
詩は、絵で綴られて
一冊の美しい本となる
その本をひらくひとときのしあわせ。
少し疲れ気味の夜です。ゆっくりと過ごしましょう。