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【読書日記】5/18 G7広島サミット。「戦争をくぐりぬけたおさるのジョージ」

戦争をくぐりぬけたおさるのジョージ 作者レイ夫妻の長い旅 
ルイーズ・ボーデン (文),アラン・ドラモンド (絵),福本 友美子 (訳)岩波書店

広島でG7サミットが開催されますね。
平和を祈って、この絵本。

おさるのジョージ。うちの子も大好きなキャラクターです。
今でも、原作から飛び出して新たなお話が作られ続けていてアニメも放映されています。
私は、きいろいぼうしのおじさんの寛容さがすごいな、と思ってみています。

さて、原作者のH.A.レイ夫妻は、1940年6月、ドイツの軍隊が侵攻してくるほんの数時間前に自分で組み立てた自転車に乗ってパリを脱出しました。
パリから南下してスペインへ、そしてポルトガルから船に乗ってブラジルへ。ブラジルからニューヨークへ。
困難な旅の間、後に「おさるのジョージ」となる原稿、「フィフィのぼうけん」も一緒でした。
レイ夫妻とおさるのジョージが経験したことを記録と写真でたどった本です。
難民でごったがえすオルレアンの駅で、迷子になった子供たちを探すポスターがたくさん貼られている場面は、胸が痛くなります。
戦争は、普通の人々の暮らしを粉々に砕く、それを歴史が教えてくれているはずなのに、ウクライナで、スーダンで、世界各地で同じような光景が繰り返されているのはなぜでしょう。

おさるのジョージの原型、フィフィや2000年になってから出版された「ぺんぎんくん」など、生き物を愛したレイ夫妻の挿絵は、愛らしく見ていると自然と微笑みが浮かんできます。
おさるのジョージは、ちいさいこどもそのものです。世界の「ジョージたち」の天真爛漫さが戦争でこれ以上損なわれませんように