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【読書日記】2/17 あっという間に金曜日。「ゆっくりがいっぱい!/エリック・カール」 

ゆっくりがいっぱい!
 エリック・カール 作 くどうなおこ 訳 ジェーン・グドール 前書
 偕成社

 金曜日の夜です。あっという間に金曜日になってしまいました。今週はどこにいったのでしょう。私は何をしていたのでしょう。
 指の間からさらさらと砂が零れ落ちていくように時間だけが通り過ぎ、やらなければならないことが積み重なっていくことに、罪悪感に近い焦りにかられる金曜日。
仕事がまだ残っているのですが、少し息をつくために ナマケモノくんに助けをもとめましょう。

 ゆっくり のんびり おっとりと ナマケモノくんは過ごしている。
 ジャングルの仲間たちに「なんでそんなにゆっくりなんだい」「なんでそんなにおっとりなんだい」「なんでそんなになまけてるんだい」と問い詰められてもゆっくりのんびりおっとりと考えてこたえて言うことには

ぼくのなかには<ゆっくり>がいっぱい!
くつろいで しずかに やすらかに
すごすのが すきなんだ
でも なまけてるんじゃないんだよ

エリック・カール「ゆっくりがいっぱい」より

エリック・カールさんの色鮮やかな動物たちとナマケモノくんのやり取りが素敵な絵本。

前書きには、ジェーン・グドールさんが ナマケモノの生態について解説しています。
ナマケモノの毛に藻の一種が生えて森と同じ緑色っぽくなっているので木と一体化しているように見えること、その毛にはいろいろな蛾や昆虫が済んでいることや、やさしいため息のような「あーいー」と聞こえる声をだすこと、いざとなったら川をわたることなど、興味深い生態を教えてくれています。
そして、この絵本を読んでナマケモノに注意を向けて愛することで、かれらが住む森のこと、その森に住む生き物たちが生き残れる大きな希望が生まれると思います、と結んでいます。

絵本の裏表紙には、エリック・カールさんの「なんでいつもいそいでいるんだろう?」から始まることばが、書かれています。
 偕成社さんのエリック・カールスペシャルサイトの中の本の紹介の中で読めるのでこちらもみてみてください。
https://www.kaiseisha.co.jp/special/ericcarle/books/yukkuri.html

さらに、「多忙をきわめ、へとへとだった私には、そんなナマケモノこそうってつけの解毒薬だ」と、この絵本を描いたきっかけも語っています。

急いで、何かをしなければ!時間を無駄にしないようにしよう、という熱意が、自分を取り巻く世界への思いやりや好奇心を失わせ、その結果、地球に住む他の生き物の時間を永久に奪ってしまっていることに結び付くのは不幸なこと。
現代人には、ゆっくりのんびりおっとり、のナマケモノ時間が必要。

私も、さっさと仕事を終わらせて、ナマケモノ成分を補給することにいたしましょう。