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「カンタン」な手術当日

いよいよ子宮頸部円錐切除術を受ける。初めての手術室に、初めての全身麻酔。記憶が鮮明なうちに残しておこう。

待機

先の記事でも書いた通り、食事は前日21時以降NG、そして水分も当日朝6時から摂ってはいけない。5時50分ごろ起きて、必死でコップ一杯の水を飲んだ。予定では私の手術は、その日の2件目になるので、開始はお昼前後になるだろうと言われていた。

病棟自体の起床時間は朝6時。6時半頃看護師さんの巡回があり、体温、血圧、血中血糖値の測定がある。夜中に何度か見回りがあり、ドアが開くたびに意識を戻され眠りが中断されたので、まだまだ眠い。7時ごろ、とりあえず顔を洗って、早々に手術着に着替える。

そうこうしている内に、初めましての先生が、点滴用の針を入れに来た。左手関節の内側に針を刺され、短い管をつなぎ、クルクルっとまとめてガーゼバンドで留められた(見出し画像)。遥か昔、風邪をこじらせて点滴を受けたことがあるけど、その時は手の甲に針を刺されたっけなぁ、なんて思い出す。

11時前くらいに看護師さんが点滴を付けに来た。背の高い棒の上の方に点滴の袋をぶら下げて、コロコロ転がすやつとともに。このタイミングで夫到着。点滴をつなげ、袋の中の液体が体内に入り始めた時、少しひんやりする。点滴がつながると、管のほんの少しの重みがかかり、針を刺したあたりが疼く。

お昼頃、手術開始は12時20分に決まったと看護師さんが知らせに来た。看護師さんがテキパキとベッドの準備をする傍ら、最後のお手洗いに入り、出発準備完了。点滴をコロコロ、股間をスースーさせながら、ベッドを運ぶ看護師さんと共に手術室へ向かう。

いざ!

手術室エリアに入る直前で、病院ドラマでよく見かけるブルーの不織布でできたキャップをかぶり中へ。私が手術を受ける部屋の前で、前日に問診をしてくれた麻酔の先生と女性看護師の方が2名待機していた。手術室の中には婦人科の担当医師。

手術室の中は鈍いメタリックな感じで、宇宙船を連想させた。手術台は無機質な硬いベッドかと思いきやフカフカで、かけてくれた布団(?)も大型布団乾燥機のようなもので温められていた。この温かさでだいぶ気持ちが落ち着いたと思う。

上半身は手術着を付けたままで行うと思っていたら、布団に入ると看護師さんが「脱ぎますよー」と。いろいろなモニターのためのセンサーを手早く装着される。点滴が麻酔に付け替えられ、違う種類の液体が入ってくる感覚があった。麻酔師の先生から「どんな感じですか?」と聞かれ、「脳の前側がチリチリする感じがします」と答えて目を閉じた。

次の記臆は、トントンと肩を叩かれて「かめのあゆみさん、終わりましたよ」と言われた場面。マッサージでうっかり寝てしまい、起こされた時の感覚に似ている。まだ手術室だったものの、いつの間にか手術台の横に設置された自分のベッドに手術着を着て横たわっていた。担当の婦人科の先生が「これが切ったものです。出血も少なくて順調でした」と切り取ったものを見せてくれた。

「では病室に移動します」と言われ、ぼんやりしながら動く天井を見ていた。

絶対安静の2時間〜夕食

病室に戻って時計を見ると13時半頃だったので、手術前後のなんやかんやを入れても1時間程度で終わったことになる。その後、30分後おきに看護師さんが来て、体温と血圧の測定と、肺とお腹周りの聴診をした。最初の1時間くらいは、下腹部が重たく鈍い感じがあったけど、時間が経つにつれてそれもなくなり、意識もはっきりして起きられそうな感覚があった。術後2時間経ったときに、看護師さんに付き添われてトイレまでと廊下を歩いてみた。そして久々の水摂取。いずれも問題なし、ということで、夫はお役御免。

この時点で食欲もあったけれど、看護師さんからは夕食までは固形物やお水以外の飲み物は控えるように言われたので、空腹を抱え、残り2時間を過ごした。もう歩けるので、保険金還付に必要な書類を申し込みに行ったり、夕食後に食べるデザートを買いに他の階へお出かけしたり。自由が嬉しかった。

待ちに待った18時の夕食。入院二日目ともなると、遠くから聞こえてくる食事を運搬する音も聞き分けられるから「キターーーッ!」と、いそいそとテーブルを片付ける。メインは鯖の味噌煮。副菜は野菜のナムルとアスパラのお浸し。そしてお麩のすまし汁と白米。「お礼を伝えたいからシェフを呼んでください」とか言いたくなるほど美味しかった。

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ふりかえり

夕食後、この原稿の下書きをしながら、手術時のことを思い出そうとしたけれど、どうしたって思い出せない。それもそうか、そもそも知覚していないのだから。あんなに心配したカテーテルだって、いつ入れて抜かれたのか。

術後の点滴も夕食の頃にすべて落ちきり、夜の回診のときに針を外してくれた。点滴のつながっていないフリーダム。たった1日だけど、何かにつながっていることの不便さを痛いほど感じた入院二日目。

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