マガジンのカバー画像

小説

28
運営しているクリエイター

#毛布

憑 狂 ~ツキクルウ~ Ⅸ

憑 狂 ~ツキクルウ~ Ⅸ

 小奇麗なマンションのガラス扉の前に立ち、オートロックのインターホンを鳴らす。

 ぴーんぽーん。

 チャイム音に応答はない。

 ぴーんぽーん。ぴーんぽーん。ぴーんぽーん。ぴーんぽーん。ぴーんぽーん。ぴーんぽーん。

 八回目のボタンを押そうとした時、エレベーターのドアが開き高坂百合子が降りてきた。慌てるでもなく、いぶかしむでもない。
 微笑んでいる。静かに歩いてくる。
 自動でガラス扉が開く

もっとみる