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子供達が閉じ込められていた部屋の扉は大きく開け放たれ、中には何も残っていなかった。二人…
いつもの通りスイミーが庭で依子と雷三を籠から出したちょうどその時、塀に穴が開き、大人の…
一度外に出てしまってからは弾みがついたようで、依子はびくびくと身をすくめながらも散歩に…
小さな異形はどうやら子供のようだった。 日に何度も金の籠をのぞきに来ては、目を細め、…
雷三の遺体はすぐに使用人によってどこかへ運ばれていった。 壁の血もあとかたも無くなる…
舞台に立ち口を開ければ勝手に喉から第九が流れ出る。そうやってどれくらいの月日が経ったの…
それから三日待っても雷三は帰ってこなかった。 この都市には人間を保護する条例があるという。人間を見かけたらすぐに保護区に連絡が来るはずだ。しかし雷三の情報はどこからも届かなかった。 依子は毎日扉の近くにいて、時には扉の外に出て雷三の姿を探した。けれど通り過ぎるのは異形ばかりで、人間はどこにも存在しないように見えた。 振り返れば数えきれないほどの人間が部屋の中にはいる。けれど彼らは依子の心の中に入ってはこない。 「依子、落ちついて待とう。雷三はきっとどこかで迷子にな
背中の傷は嘘のように消えた。あんなに痛んでいたのに、三日もすると痕かたもなくなった。依…
明るすぎるほどのその場所は舞台のようだった。 依子がいるところから一段低い、光の当た…
異形との暮らしは慣れてしまえば快適だった。ただ座っているだけで飲み物にも食べ物にも苦労…
それから何日がたったのだろう。依子がいる部屋はいつもぼんやりと明るいままで、時間の経過…
あらすじ 突然に見も知らぬ異形の籠に閉じ込められた依子。 安楽で恐ろしい日常に慣れそうに…