17世紀に大流行した四天王寺住吉大社図屏風~空想による模写
17世紀に大流行した屏風に、四天王寺住吉大社図があります。難波の二大古跡を一対の屏風に画きます。
四天王寺を画くには、二通りの視点があり、西南西から画くものと、南南東から画くものがあります。写真はともにサントリー美術館所蔵品です。
多くの注文に対応するため、絵師は模写に伝聞空想を交えて仕上げます。
南南東からは亀井堂の内部も見えるのですが、亀井水を実見により描いた作例にいつもとりあげる四天王寺所蔵品があります。
伝聞で亀井水を理解するのは、まず不可能です。亀形水盤、甲羅の無い亀、頭に水を受ける亀、は想像すらできない。普通、亀が吐水する姿を考える。
空想により描かれた同じ雛型による作例が、大阪歴史博物館にあります。びっくりしました。巨大な亀が横座りし鎌首もちあげ激流のごとく吐水しています。
研究者たちは、吐水する亀に幻惑されてきました。すべて空想であると、断言します。
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