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両親、邂逅

どうも、仮名です。
noteはかなりお久しぶりですね。もう五月も終わりますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
私は最近小学校から使っていた机を母親の家から引き取って、作業環境がかなり良くなって仕事がとても捗るようになりました。
とはいえ、子供用の椅子が付属しているので、背もたれが足りなくて痛いですけどね。
今日はそんな机を引き取った時のお話をしようと思います。

▽▽▽

私の両親は離婚しています。
壮絶な出来事をいくつか経て、それはもうこじれにこじれまくって離婚しました。
小学校四年生の時に母親が出て行き、私は父親と父方の祖父母と暮らし始めます。
いくつかの記事で祖母と上手くいくことがあまりなかったということを書いてきたのですが、まさにその通りで本当に上手く付き合ってこれたわけではありませんでした。
中学二年生に一度やり直した両親でしたが、結局上手くいくことはなく、三人での再スタートを切った三か月後に、私たち家族は完全に終了しました。
いろんな事情で引き離されていた母親と再会して、そんな出来事を綴ったエッセイが入選したりもしました。
父親とはずっと一緒にいたから、そんなに距離感や接し方が変わることもなく、実家に寄り付かないようになっただけで、ずっと関係は良好です。
そんな感じで私側でもいろいろ経験してきて今があります。

そんな両親に対して、私はどうしても叶えたい夢がありました。
それが『家族写真を撮ること』。
写真の中の家族は、私も子供で両親も若くて。
そうじゃなくて、私は『今の二人と今の私』でどうしても写真が撮りたかったんです。
だから私が専門学校を卒業する、となった時に二人を卒業式に呼び出しました。
もちろん私も袴を着るので、これが一番いい写真になると思っていたからです。その頃は結婚するつもりなんて全くありませんでしたから。
しかし結果は惨敗。
母親は私が父親を呼んでいることを見破って、結局当日は姿を見せませんでした。

それから四年が経ち、家族写真を諦めかけたとき、チャンスはもう一度訪れました。
母親が長年住んできたマンションから引っ越すことになったのです。
その家には私の学習机が置いてあり、兼ねてよりその机をくれと頼み続けていたんです。
ただ、机を送るにも送料はかなりかかるし、そもそもそんなお金なんてもったいないんじゃないか、と思いつつ私はふと思いました。

これ、家族写真を撮る最後のチャンスじゃ?

早速父親に予定を空けてもらって、その日が来るまで緊張しているけど楽しみのような、そんな不思議な気持ちを持ちながら過ごしていました。
母親の引っ越しがある程度済み、思い入れのある母親の家はすっからかんになって、その場に残されているのは私の机とその下に敷かれているカーペットのみ。
そんながらんどうの家に、私と父親で行ったんです。その場にはもちろん母親の姿。
実に十年以上ぶりに家族が集合した瞬間でした。

母親はちゃっかりしている性格ですので、私と父親にやれゴミ捨てだのやれ○○を新居に運べだのと指示していました。
それでもかなり気まずかったのか、行った当初は私を通して会話していました。
見兼ねた私は「私を通して会話すんな!」と一蹴して、ようやく喋ってくれるようになった時はちょっぴり泣きそうになりました。

私は『家族』というコミュニティが、どうしても『お金』で繋がっているように見えていました。
祖母はそういう繋がりでしか家に入れてくれませんでしたから。
だから何もなく三人で集まれた時、私の心はすぐに中学生の頃に戻っていきました。

母親の新居に行って、一緒にご飯を食べながら私の小さい頃にやらかしてきたシリーズ(走行中の車から落ちた、浮き輪にしがみついていたはずなのに溺れる、滑り台を顔から滑って顔に怪我etc...)を二人が笑いながら話していたり
今やっているアニメや、二人の好きな映画を話していたり
新居の換気扇やシンクの掃除方法を聞いていたり
そんな家族の現状を見ていると、思わずにはいられなかったんです。

どうして両親は離婚してしまったんだろう。

大人になって理由を聞かされた今でも、やっぱり家族を失いたくなかった私はそう思ってしまいます。
だからこそ、ああやって三人一緒にいられた時間を、いつまでも忘れないようにしようと強く心に決めました。

そして机を私の家に運ぶために発進しようかとしたとき、私は離れようとする母親の腕を引いて、父親をそこに立ってと言って話しました。

二人のわがままに付き合ってきたんだから、今度は私のわがままを聞いて

iPhoneを構えて、インカメラでの家族写真。
私と母親はピース。父親がグーを出して「勝った」とか言ってて。
あんなに緊張していた瞬間は、瞬きをするよりも早く終わりを告げました。
でもカメラロールに確かにあるんですよね、家族写真。私が熱望した、写真が。

やっと我が家に来たデスクを眺めながら、私はそんな写真を見ながら今日もキーボードを叩きます。
大好きな家族の形を、やっと思い出せたあの瞬間を想いながら。

△△△

家族って、基本大切じゃないですか。
家族になりえる誰かと一緒になった時、私の希望はたった一つ。
絶対に別れずに、仲のいい家族のまま一生を終えること。ただそれだけです。
ところで最近お昼にバイトを始めたんですけど、飲食店なのになぜか痣がめちゃめちゃできます。なんでだろうね???
では、また。

仮名(かめい)25歳。
趣味が高じて小説家の道へ進む。なんの変哲もない永遠の女子。
誰かの心に届くような文章を心がけています。
Twitter → @kamei_tyan @kamei_novel
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