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うたまとめ

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これまでnoteに公開してきた詩群をここに紹介しておきます。
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#詩人

【詩】雨上がりを超えていく時間

梅雨の さらさらとした雨は 去っていった 夏の空は見えず どんよりとした雲 水不足のからだ 僕は呼吸をしているが 水の中にいるようで 生きているのだろうか ぶくぶく ぶくぶく 泡を吐く 水のなかの退屈な現実 一回転してみる 二回転してみる あの空に幽体離脱して また現実に戻ってくる そして無限大のあくび 生きようと 思わなくても 自動的に 生かされる 日本という国 生きるとは 結局は生かされている としか言えないだろう 僕は自力以上に 他力の壮大さに圧倒され

【詩】言葉が届く世界

言葉が届く世界 詩人たちの希望 言葉が届く それは 人々に 愛がとどく ということ 夕空に 相手がいない キャッチボールのように うたえがき 虹の放物線 言葉よ とどけ 言葉よとどいて 詩人たちの声は 空に 反響する 愛のある言葉は 夕凪のように やさしく きらめきながら 愛のない言葉は 枯葉のように しずかに ゆらめきながら 言葉はうつくしい しかし 言葉よりも あの夕空に どうしたら勝てる というのか 言葉には重力がある 自然には重力がない 言葉は自然か

【詩】日常に侵入してくるユーモア

とある休日の よく晴れた日 車の扉を閉める 「バンッ!」 という音が 遠くに聞こえた 唐突に 「ババンババンバンバンッ♪」 という音が鳴ってもよさそうだな という妄想がふくらむ 映像も音と連動して動いていたら 何かのMVができるかもしれない というさらなる追及的妄想 反すうの鎮静化を試みて詩

自由律俳句「広い野原の向こうから人が歩いてくる」

遠くから 誰か歩いて 来て見たら 知り合いだった のほほんとして 緊張が 一気にほぐれ ニヤニヤと 笑みがこぼれる なぜそこにいる 広い野原には、何が似合うだろう。 太宰治は、「富士には月見草がよく似合う」という名言を残しているが、これも同じ風景なのだろうか。 言語化が、いつもよりむずかしい。本人は、おそらく、なんとも言えない感情で、気まぐれにそこに、立っていたから。

自由律俳句「遠くから聞こえてくる小田和正」

高い声 透きとおる声 ああこれは 小田和正の 『今日もどこかで』 いつもなら 出てくる短歌 出てこない この人のあの 名曲みたいに 小田和正の『今日もどこかで』。そして、言葉にできない、あの名曲……。 この曲、いや、小田さんの数々の名曲に救われたことは、数知れず。 ちなみに、この間NHKで放送されていた『こんどこそ、君と!! 〜小田和正ライブ&ドキュメント2022-2023〜』という番組は、何度も繰り返し、小田さんが歌っているところ、お客さんの表情、希望に向かって歩き

【詩】ロケットパンチを受けても大丈夫

パンチ パンチ パンチ はあっ はあっ うう へっ てめえのパンチなんか ニセモノのロケットパンチだ 痛くはないが 少しかゆいぜ どうしてくれんだよ ははっ それに比べて あのロケットを見てごらんよ 宇宙規模の蒼天に カウントダウンまでされてよ 深紅の炎を垂直に バーニングしまくっているぜ おまけにテレビでは 中継もされ ドラマにもなり 社会的反響は大きいみたいよ お前のロケットパンチなんか 湿ってらあ 料亭に出てくるおしぼりみたいなもの