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うたまとめ

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これまでnoteに公開してきた詩群をここに紹介しておきます。
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#短文

【詩】日常に侵入してくるユーモア

とある休日の よく晴れた日 車の扉を閉める 「バンッ!」 という音が 遠くに聞こえた 唐突に 「ババンババンバンバンッ♪」 という音が鳴ってもよさそうだな という妄想がふくらむ 映像も音と連動して動いていたら 何かのMVができるかもしれない というさらなる追及的妄想 反すうの鎮静化を試みて詩

自由律俳句「たぶん触った時に指がジュッと火傷した」

火傷した 人差し指を 冷やそうと 急いで水の ある場所に行く かわいそう そうだ自分は かわいそう なんて思って みて笑いたい 人生で、火傷をしたことは、あったような、なかったような、実は少ない。 だが、周りで火傷した人を見たことは、何回かある。 火傷とは、不思議な傷であり(物理的な傷とはまた違うかもしれない)、これからも、そのようなケガをする機会は、なるべく減らしたい。

自由律俳句「コンクリートに落ちた箱の中にお菓子」

ついやって しまった時は すでにもう 箱の中身は イメージできる すこしだけ 時を待っても 変わらない 現状を知り 箱を開けます お菓子を喜んで手に入れたものの、そのお菓子が台無しになる瞬間は、日常の中にさりげなく登場する。 ソフトクリームが、うっかり、夏の日差しに溶けてしまったようなものだ(アリにとっては、おそらくよいこと)。 コンクリートに落ちた時の箱の「バン!」という音が、せつなすぎる……。

自由律俳句「畳の上を裸足で歩く」

靴下を 履かないままで 畳上 フェタフェタ歩く 少しすずしい なつかしい 足の感触 思い出す 季節が夏に 向かい出すから 畳の手触り、いや、足触りを経験したことがある人は、どれくらいいるだろうか。 足と地面、もしくは畳と、自分が一体になっている感覚。 そして、自然の、やさしいふるさとのような、足触り……。