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(過去記事)2018.8.20 木は、呼吸している

夏休み

亀田屋(亀田家具)は小売のお店。家具業界は水曜定休のメーカーが多いので、それに倣って水曜がお休み。当然土日祝は営業だ。一方、亀田屋の母体である亀田産業には航空部(製造業)があり、こちらは取引先のカレンダーに合わせて土日が休み。

つまり、家具部と製造部で休みがずれており、物理的に会社に出社しない日もあるが、頭の中は常に営業中だ。まあ、そもそも会社経営とはそういうものだし、前職で管理職になるときも「管理職とはマネジャー=経営者だから24時間365日会社のことを考えないといけないよ」と言われて育ってきたので、当たり前だと思っている。お客様は常に動いているからね。

だけど、年に何回か、家具部と航空部、どちらも休みになる期間がある。この期間は、よほど大きなトラブルが起こらない限り、仕事のことは忘れて家族と過ごす幸せを全力で感じることにしている。そのひとつが「お盆」。今年はかなり暑くなったこともあり、避暑地である日光・鬼怒川方面へ足を伸ばした。

奥日光の大自然

日光といえば徳川家康の「東照宮」や日本最古のホテル「金谷ホテル」が世界的にも有名だが、そのあたりの標高は約634m。つまりスカイツリーとほぼ同等の高さにあるのだ。

それだけでも十分涼しいことが想像できるだろうが、今回お邪魔した奥日光は東照宮から更に北西方面に進み、イニシャル○で有名な「いろは坂」を登った上のゾーン。その標高はなんと東照宮付近の倍1,200m以上となっており、実際、明らかに空気が変わる。空気が変わるのはもちろん標高によるものもあるが、自然が多く残されていることも重要な要素になる。今更ながら「木は呼吸している」ということを実感する。

たくさんの木々が二酸化炭素を吸収し酸素を放出しているエリアだから、新鮮な空気が流れる。更に空気をきれいに感じさせる秘密が奥日光に点在する「滝」。奥日光には70を超える「滝」があり、マイナスイオンを放出しまくっている。

こちらはいろは坂を登ってすぐの「華厳(けごん)の滝」。奥日光の入口で我々を迎えてくれる奥日光随一のパワースポットだ。

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幸いこの日は晴天に恵まれたので、絵葉書のような一枚が撮れた。

華厳の滝にはエレベーターで下りる「観瀑台」というビューポイントがあり、そこから見るとこのように落差97mの大迫力パノラマを拝める。「華厳の滝」は那智の滝(和歌山)、袋田の滝(茨城)と並び「日本三名瀑」の1つ。圧倒的な水量、落差から生じる水音、澄んだ自然の香りなど五感を研ぎ澄ませながら、ドラゴン紫龍と春麗の物語に思いを馳せるのも悪くない。

つづいて「湯滝」。

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「湯滝」は、「湯ノ湖」の南岸から斜面を流れ落ちる滝。

湯滝のよいところは、幅広のダイナミックな水流を間近で楽しめることにある。観瀑台が水しぶきがかかるぐらいの位置に設置されており、特にズームなどしなくてもこの写真が撮れるぐらいの距離感。「湯」滝というぐらいだからお湯が流れているのかと思いきや、前述の通り湯ノ湖に由来した名称なのであって、流れているのは水だそうだ。なんとなく暖かい空気感を感じたのは私だけ?

最後は「竜頭の滝」。

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男体山の噴火によってできた溶岩の上を210メートルにわたって流れ落ちる滝。

滝つぼ近くが大きな岩によって二分され、その様子が竜の頭に似ていることからこの名がついたと言われている。当方には二本の瀑が龍の髭か牙に見えるが、とにかく自然の力でこういう造形が出来上がることに、人知を超えた恐ろしさを感じる。自然の力で創られた龍の頭を眺めながら、またまたドラゴン紫龍に思いを馳せてしまうわたし。

ということで、華厳の滝・湯滝・竜頭の滝で「奥日光三名瀑」。初めて伊勢神宮を訪問したときにも感じたが、奥日光も明らかに踏み入れたときに、俗世間とは違った空気を感じるパワースポットだ。

遠いようで実は近い栃木県。皆さんの旅のプランに入れてもらえると嬉しい。帰りには亀田屋の実店舗へ立ち寄ることも忘れずに笑。ちなみに紅葉の時期は、それはもう言葉にならない美しさになるが、いろは坂の渋滞も言葉にならないレベルになるので相当な覚悟と、場合によっては簡易トイレの準備が必要だ。

木は、呼吸している

さて、今回は自分の夏休みの過ごし方から栃木県の観光スポット紹介になってしまったが、たまにこうして大自然に触れる経験をすると、改めて「木」のありがたみを感じざるを得ない。

既述のとおり「木」は呼吸しており、実は切った後も呼吸を続けている。その証拠に、「木」は切ったあと放置しておくと反るし、水をつけると曲がる。木製家具を部屋に置くと空気がきれいになる、と言われるのは俗説ではなく、きちんと根拠のあることだ。

しかしどんな木製家具も等しく空気をきれいにしてくれるわけではなく、「木」そのものの選別や管理から、「家具」になるまでの工程や材料(接着剤や塗料)も重要な要素になる。良い木製家具というのは、「木」の本質を理解し、家具になったあとも「木」として生き続ける加工技術を持ったメーカーが作る家具で、その本質を理解した販売店だけが良い木製家具をお客様に販売できる。

我々は家具屋なので「木」を扱わせていただく商売をしているわけだが、「木」を乱伐してはいけないし、無計画な大量生産もいけない。

家具を作れるほど太い幹に育つには何十年もかかるので、一度「木」から「家具」を作ったら、その家具は次の木が育つまで何十年も使えるものでないといけない。なので重要なのは、家具屋のサポートやアフターサービスである。真の木製家具なら、よほど無理な使い方をしない限り、修理しながら何十年も使い続けることができる。家具屋の仕事は売って終わりではないのだ。

現代はインターネットやECが充実して、いかに売るか、という視点で競争(というか消耗戦)が繰り広げられているが、たくさん木を使うような大物家具については正直ネット購入はお勧めしない。ネットだと、真の木製家具なのかハリボテなのか判別が難しい場合も多い。

やはりダイニングセットやソファなど身体に触れる家具は、近所の「木の知識を持った」「顔が見える」販売店で、実際に触れたり座ったりして、家族やスタッフと相談しながら購入することを提案したい。

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