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好きなことを仕事にするということ

子供に勉強を教えていると、小学生でさえ進路の話になる。
小学生でもう「〇〇高校行けますかね?」と、真面目に聞いてくる保護者もいる。

中学生ならなおさら、
〇〇になりたい

だから大学(専門学校)に行くべき

そのために、◎◎高校に行く

といちいち理由が要る。

 私は中学の時、将来のビジョンなど何もなかったけど?
それでも、充実した高校生活を送り、行きたい大学は親が「金を出さん」と言ったので諦めて、普通の大学に行った。
 大学卒業までは親の言うこと聞いたのだから、お金で迷惑かけなければよい・・・と思い、就職してお金貯めて、留学した。
 留学のことは、父には出発当日に言った。

 そんな真面目だったようで、ちょっとぶっ飛んでる私。
子供の頃から、好きなことはお菓子作りだった。
だんだん
「お金出すから作ってよ」
とか
「いくらか払うから教えてよ」
に変わり、塾のアルバイトや、派遣の仕事をしながら副業にしていた。
でもお菓子屋さんになる、という希望は全くなかった。
クリスマスに、デコレーションケーキを10個位頼まれた時、楽しさは消えていたからである。
自分の作りたいものを、色々試して作りたかった。

 現在でこそYouTubeなどで、マニアックなお菓子を紹介したりもできる。私の若いころはそんなものなかった。
というわけで、お菓子屋さんにならずに、お菓子作りで生計を立てるのは無理だと実感した。
 その後、お菓子教室も開いたが、結局生計が立てれていたわけではない。
結婚を機に辞めた。(今も不定期でやっているが)

 以前知り合った人に、とても手芸が上手な人がいた。
売れるレベルのものを作っていた。
しかし素敵なカバンも、手作り市などで3000円とかで売られる。
何時間もかけて作っているのに。
材料費を引いて、製作時間で割ると、時給が500円以下になったりする。
自分の価値を否定された気がすると。
1万円くらいで売りたいが、それだと買う人はいない。
悲しい気持ちになるのはわかる。
 
 お菓子教室をやっていたころ、生徒さんではない人に「子供会のために、ロールケーキを作ってほしい」と言われた。
予算は少ないし、4本頼むので安くしてほしいと。
シンプルなものでも、私としては当時2000円は頂きたかった。
でも、その人の希望は4本で1000円であった!
驚愕である。
結構良い卵、質の高い小麦粉、ちゃんとした生クリームを使うので、材料費も出ないかも?
「でもスーパーでスイスロール(ヤマザキ)って、安い時100円とかですよね。なんでそんなに高いのですか?」って。
きわめて冷静に、穏やかに、かつにこやかに言ってみた。
「どんなアルバイトでも時給800円はしますし。1時間でもできないですしね」
「え?手間賃とか取るんですか?」
あらぁ、手作りは人件費要らない思ってるんだわ。
もうお話通じないかもな~
どっちにしろ、ボランティアでやってあげても材料費も出ないかもだし。。。
「うちは、厳しいから、もう予算がないなら、検討してヤマザキとかのでも良いのかもしれませんねぇ」
と言ってみた。
「ヤマザキのより手作りのほうが、普通安いし、安心じゃないですか?」と重ねられた。
色々思うことはあったが、結局うちでは大赤字案件なので、丁重にお断りした。

 今は皆、学校から「将来なりたいものを決めよう」と言われる。
「好きなことはないの?」
息子が中3の時、懇談で担任から聞かれて、
「写真撮ること・・・かな」
「じゃ、写真家とか?」
「・・・」
「じゃ、専門学校行こうかー」
この会話に、私はのけぞっていた。
ええーちょっと待って待ってーー
写真好きって、あんた修学旅行のバスで、先生の禿げ頭ドアップで撮ったり、飛んでもない構図の写真ばっかり撮ってるのに?
そう。息子は聞かれたから、好きなことを無理やり言ったのだ。
先生も先生、写真が好きだから写真家って・・・安易すぎる;;

 先生なーんもわかっちゃいない。
こいつは、そんな計画立てて人生を歩んでいこうなんてタイプじゃございませんっ!
結局彼は、ちょっと頑張ったら行けそうな普通科公立高校に行き、びっくりするくらいどの教科も平均の点数で卒業し、理科が一番好きかな?位の理由で理系大学へ行った。
しかし、コロナで、決まっていた就職の雇い止めにあい、フリーターになった。高い授業料払ってフリーター?
親としてはちょっとモヤモヤ。
 その後、就活もしたが、口べたで、自己アピールがダメダメすぎて、全然内定もらえない。
 親の私が言うのもなんだが、彼は実は意外と動く、働き者だ。
口だけうまくて、結局あんまり使えないヤツとは違う。
面接で後ろから
「こいつ、こう見えてやりますよ」と
「検索はコチラ」みたいに指さしたいけど、過保護はなはだしい…無理な話だ。ヤバイ親になる。

 夫にグチグチ言われる日々、私も間に入ってストレス。
で、この度、彼が出した答えは、なりたい職業なんてない。とりあえずできそうなこと、やりたいことは、
「人のために役立ちたい」
「そんなの、世の中のほとんどの仕事は、人の役に立っているんじゃないの?」
私のツッコミに、いつもモゴモゴしてちゃんと返答できないが、
「直接目に見えて実感できるもの。そういうのが好きやから」
というわけで、介護施設に就職した。
 夫は理系大学を卒業後、大手製薬会社に就職したので(今は早期退職して自営)、息子のたどる道に納得いってない。
でもいいじゃないの~。本人納得したんだよ。本人の人生だよ。

好きなことを仕事にするって、そういうのもあるなと。

 お菓子作りにせよ、勉強にせよ、私は人に教えるのが好きなんだと思う。できなかったことが、できるようになる。
その瞬間を見るのが、最高に幸せ。

そう、息子と私は違う人間。
てか、私たち血はつながってないから、似てなくて当然。
彼の実の母親は、彼が幼少のころ病気で亡くなった。
でも血のつながっている子供さんにも、是非こんな気持ちで見守ってあげてほしい。
そんな息子は、血のつながった夫にはぜーんぜん相談などしない。
なんでやねん!(笑)
さ、来月お母さんのお墓に報告に行くよっ!



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