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思い出はポケットのキャンディー玉のように

甘酸っぱい思い出は、ふとした瞬間にポケットの中で見つけることができる。

ポケットには、良い記憶も忘れてしまいたいような記憶も全てがごちゃ混ぜに入っていて、中身は手に取ってからのお楽しみ。

見つけた記憶を一つ一つ、丁寧に包装を解いて、その味を舌の中でコロコロと転がして、じっくりと味わう。特には吐き出したくなるほど苦いものもあれば、今までなぜ忘れていたんだろうと思うほど愛おしく甘い味もある。キャンディー探しは、誰にも見えない私だけの趣味だ。

それらをまたポケットの中へ、そっと戻す。封印したい記憶は何重にも包み紙を重ねて、奥の方にぎゅっとしまい込んでおく。

思い出は子供の頃にときめいたキャンディーみたいに、様々な色や味がある。時には新しい自分の解釈次第で、味付けを変えることもできる。

「ポケットのなかにはビスケットがひとつ」なんて童謡があるけれど、キャンディー玉はポケットを叩かずとも、経験や時間と共に自然と増えていく。これからも私だけの、味わい深いキャンディーをもっと増やしていきたいと思う。

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